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【新型AFアダプター】TECHART LM-EA9 レビュー

テックアートの新型AFアダプター【TECHART LM-EA9】のレビュー

より完成度を高めたオールドレンズユーザーのマストアイテム

意欲的な電子マウントアダプターを次々と開発する《TECHART/テックアート》から待望の新型AFアダプター【TECHART LM-EA9】が登場。先代の「LM-EA7」から6年ぶりのモデルチェンジとなった。

当然注目度は高く発売当初から品薄状態が続いている。私は供給が安定してから入手するつもりだったが、ポイントアップ期間に合わせて予約注文。購入は国内正規代理店の焦点工房ヤフー店から。

2022/11月末に予約注文を行い納品予定は2023/2月以降。冬が終わる頃にでも届けば良しと思っていたら唐突に発送連絡が入り注文から1か月以内の入手が叶った。

TECHART LM-EA9

運良く最短発送のロットに当ったのかも知れませんが、焦点工房に対する個人的な信頼感は増しましたね。

まだ入手したばかりで長期使用は行っておらず、先代のLM-EA7も既に売却済みで詳細な比較も出来ないがファーストインプレッション的なレビューをします。

【TECHART LM-EA9 公式製品ページ】

【焦点工房 製品ページ】

洗練された円形デザインで軽快な撮影が可能に

TECHART LM-EA9

旧型のLM-EA7から一見して進化を感じるのはやはりこの完全に円形となった筐体。

一新した4基のAF駆動モーターでより高度な制御と静音化、高耐久を実現。

旧型経験者はいくつかの独特のお作法に慣れているだろうから使用感はほぼ変わらないはず。

撮影時はボディ側の絞りはF2に固定、レンズ焦点距離の設定変更後は忘れずにF2へ戻す操作などそのままです。

ただ現段階で旧型にはあったMF切り替え後のマクロモードやレンズデータのカスタム用アプリは実装されていない。

TECHART LM-EA9

下部のスペースに十分な余裕がありボディケースや三脚等のアクセサリーと合わせやすくなった。小型のAPS-C機でもバランスは良好です。

まぁ旧型のコブのような出っ張り部分も左手を添える場所として悪くなかったので、個人的にはそれほど拒否感はありませんでしたがね。

新品時は前後ともに着脱が硬めですがマウント部の仕上げ加工は丁寧になっておりキズが付きにくそう。

TECHART LM-EA9

内蔵ヘリコイドの繰り出し量は最大4.5mmで旧型と変わらない。

少し動かしてみて直ぐに気付いた点は最大まで繰り出した際に隙間があり内部がチラ見えしていること。

旧型にもモーター格納部に小さな開口があり塵や水滴の侵入が懸念されていた。

しかし旧型と違い常に開口している訳でもないし、電源OFFで自動沈胴されるので過度な心配はいらないだろう。

TECHART LM-EA9

一眼レフ用のレンズはライカM変換アダプターとの多段マウントがお約束。

この「CONTAX Planar T*50mm F1.4」と「RAYQUAL CY-LM」の合計重量は「約353g」でスムーズな動作を保証する500g以内を余裕でクリア。

また旧型は重量のあるレンズ装着時にマウント面がわずかに“たわむ”ことがあった。新型は四方に配置した4基のモーターで支えているためかガタつきはなく頑強です(あくまで新品時の印象)

TECHART LM-EA9

所有する他のライカM⇒Eマウントアダプターと並べてみると外径は多少の太さがあるものの、AFモーター内蔵であることを考えれば革新的なコンパクトさ。

それぞれの重量は左から
「LM-EA9 (130g)」
「Cosina VM-E Close Focus Adapter (125g)」
「RAYQUAL LM-SαE (44g)」

LM-EA9の重量は旧型から変わっていない。

そしてこれらのアダプターを使い同じレンズで撮影してみると、やはりLM-EA9は中華アダプターらしくオーバーインフ設計のようです。

例えば50mmレンズの場合、無限遠がピッタリ出る日本製のRAYQUALと比べるとLM-EA9はピントリングの距離目盛が10m付近で無限遠となる。

まぁこれはメーカーによる設計思想の違いと製造歩留まりの都合などでしょうから、少々のオーバーインフに神経質になるのは野暮ですね。実用上問題はありません。

TECHART LM-EA9

付属するロゴ入りの前後キャップは共に金属製でそれなりの品位がある。

この電子接点が付いた方はリアキャップではなくファームウェア更新用のUSBドッグと呼ぶのが正解で普段使いが目的ではないですね。

接続方法はPCに繋ぐ有線式で旧型のアプリを用いたBluetooth経由より手順が簡単になった。ただUSB端子が古いmicro Bなのは残念(ケーブルも付属しない)

AF速度・精度の向上は?

使用ボディが既に型落ちのα7IIIなのでフルスペックを出せているとは思えないが、旧型LM-EA7を使っていた時の印象と比較すると(ファームVer.1.6.0)

◆AF速度に目を見張るほどの向上はない・モーターの駆動音はかなり静かになっているので使い心地は良好

◆実用になるAFエリアの範囲は特に変わらず(三分割法の交点辺りが限界・ゾーンエリアなら中央安定)

◆遠景の合焦率が多少上がっている・静物でもAF-Cの方がレスポンスが良い

…と言った印象で劇的な進化は感じないものの全体的な安定感は向上しています。

旧型は電源ON時に「ウィ~ン ウィ~ン」って最短と最長に動く初期動作があったが新型はそれがなく速写性も向上。

モーター動作をハイスピードorスローに設定変更することも可能となったが、今のところ明確な差が分からない。

ちなみに動画モードのAFが全く使い物にならないのは旧型と同じです。

これらソフト面の性能はファームウェアで改善が見込まれるので今後に期待したい。

物理干渉で装着不可のレンズがある

旧型LM-EA7はモーター格納部の一部と干渉して装着出来ないレンズやアダプターがあった。

どうやら新型においても完全克服した訳ではなく、今度はアダプター外周の段差が干渉の原因となっている。

TECHART LM-EA9

この段差自体は全く無意味なデザインとは思えず、前後に動くマウント部をガードしたり前述の隙間を最小限にする目的があるように見える。

装着不可レンズは公式製品ページからも告知があり、主にフォーカスレバーがマウント側の低い位置にあるようなレンジファインダー用レンズが該当する。

私も所有するレンズで確認した所やはり装着不可なものがありましたね。

TECHART LM-EA9

1本目は「W-NIKKOR.C 3.5cm F2.5 (L39)」無限遠ロック付きのフォーカスレバー先端がアダプターの段差に干渉している。これが典型的なケースでしょうね。

TECHART LM-EA9

わずかな面積での干渉が装着を阻む

TECHART LM-EA9

次はフォーカスレバーではなく鏡胴サイズが原因となった「Canon 50mm F1.2 (L39)」

マウント根元が太く段差はおろかアダプターのロックレバーの上に乗り掛かっている。

TECHART LM-EA9

ここまでガッツリ干渉すれば「あ、無理だわ」と察するので無茶はしませんが、

併用する『L39⇒ライカMアダプター』を先にLM-EA9に装着してからレンズをねじ込む場合は一層注意した方が良い。ロックレバーとの接触に気付かず回し続けるとガリガリっとキズが入る可能性も。

参考までにこのレンズの干渉しているマウント部の直径は約60mm、アダプターのマウント面は約54mmでした。

他にも鏡胴の太い望遠系レンズもNGな可能性は高い。Canon Sレンズ(L39)なら85mm F1.8、100mm F2とか。まぁ望遠系は重さもあるので装着出来ても重量オーバーになることもありますが。

貴重なオールドレンズにキズを付けないよう装着確認は慎重かつ無理は禁物。

TECHART LM-EA9

ギリギリ装着出来たのが「AVENON SUPER WIDE 21mm F2.8 (L39)」これはマウント根元が少し細く高さもあるデザインで、アダプターとのクリアランスがギリギリではあるが確保出来た。

後は一眼レフ用レンズのMマウント変換アダプターは現行販売されているものなら問題ないと思います。

その他チェックポイント

Exif情報に記録されるレンズ名が《LM-EA9》になった

旧型はExifに記録されるレンズ名が「DT 40mm F2.8 SAM」と架空のものとなっていたが新型ではアダプターのモデル名《LM-EA9》で記録されている。

地味な変更点だがRAW現像や整理時などに識別しやすくなった。

アダプター付けっぱなしのバッテリー消費量

使用上の注意事項の一つに電源をOFFにした後でもバッテリーを消費する可能性があるため、保管や持ち運びの際はアダプターをボディから取り外すことが推奨されている。

試しにバッテリー残量100%でLM-EA9を装着して24時間以上放置してみたところバッテリーは特に消費していなかった。

これは使用ボディやファームウェアなどの条件で変わるかも知れませんので、少しでも気になるのなら取り外すのが一番でしょうね。

まとめ

【TECHART LM-EA9】は今までに購入したカメラアクセサリーの中で過去最高額となったが、これ一つで何本ものMFレンズがAF化出来ると考えればコスパが悪いとは思わない。

ただ正直、オールドレンズ用の常用アダプターにはならないかな。

物理干渉で装着不可のレンズをはじめ耐荷重オーバーのレンズ、フォーカス方式やフロート機構などで相性の悪い組み合わせは多数ありますので。

まずは初期不良など見逃さないよう保証期間内の1年間は積極的に使っていくつもりです。

以上【TECHART LM-EA9】のレビューでした。



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