コニカ一眼レフシステムの超大口径標準レンズ

今回、レビューするレンズは【KONICA HEXANON AR 57mm F1.2 AE 後期型】です。
小西六写真工業(コニカ)のフィルム一眼レフ用交換レンズの最上位にラインナップされていた大口径標準レンズで、年代ごとにおおよそ3世代が存在します。
・前期型:白黒ツートーン鏡胴・EE表記
・中期型:黒鏡胴・EE表記
・後期型:黒鏡胴ゴムローレット・AE表記
私が所有しているのは、鏡胴デザインが刷新されピントリングがゴム巻きローレットになった『AE後期型』です。
コニカ ヘキサノンのF1.2標準レンズは、特にレンジファインダー用のものは軒並み超プレミア価格でそう易々と入手できるものではありませんが、
一眼レフ用の当レンズは特に珍重されることもなく、オールドレンズとして常識的な相場で安定しています。ただし、流通数自体は他メーカー比でやや少なめです。
| マウント | コニカマウントII |
| レンズ構成 | 6群7枚 |
| 絞り枚数 | 6枚 |
| 最短撮影距離 | 0.45m |
| フィルター径 | 62mm |
| 全長×最大径 | 51×72mm |
| 重量 | 460g |
| 発売年 | 1973年頃 |
| 販売時価格 | ¥40,500 |

レンズ構成は6群7枚の変形ガウスタイプです。
構成こそ同一ですが、世代によってレンズの一部に「酸化トリウムガラス/アトムレンズ」の使用有無があり、経年による黄変が見られます。基本的に後期型には使用されていません。
各メーカーのF1.2標準レンズが新設計の50mmへ順次更新されていく中で、コニカは最後まで従来設計の57mmを継続していました。
大衆をメインターゲット層としていたコニカは、F1.2クラスで他社に追従する気はなかったのかもしれません。その分、他社より1万円ほど安い価格設定でラインナップしていたことは良心的とも受け取れます。
コニカとしては「HEXANON AR 40mm F1.8」のような明るい標準パンケーキレンズで独自性を狙っていたのではないでしょうか。
今回入手した個体は状態未確認の格安ジャンク品。恐る恐るキャップを外して見ると、ものの見事に大量のカビ玉でした。
深い拭きキズやバル切れこそないものの、これを修理業者に送るなら買い直した方が良いレベルだったのでセルフメンテを実施。流石にレンズ面全てにカビが繁殖していたのは初めてでしたね。
結果としては透明度を取り戻したものの、カビのコーティング浸食もあり一部カビ跡の残る状態となりました。まあ実用品としては特に問題ありません。合わせてヘリコイドグリス交換も行い個人的には仕上がりに満足しています。
あと過去メンテの形跡もあり、あらゆるネジ止めに過度に塗布されたゴム系接着剤の除去が一番厄介でした。

レンズコーティングはオールドレンズらしいアンバー/マゼンタの組み合わせです。
フィルター径「62mm」は他社と比べて大きいサイズで、前玉にも迫力があります。

絞り枚数は「6枚」で角の緩い6角形の絞り形状になります。

絞りリングはF1.2-F2の間に半段クリックがあり、以降は指標通り1段づつのクリックです。
このレンズの特筆すべき点は最短撮影距離が「0.45m」とF1.2クラスで短い仕様であること。
F1.2標準レンズが55mm~58mm辺りの時代は凡そ0.6mが一般的でした。この15cmの差が、もう少し寄りたい時の実用性を高めてくれます。
他に0.45mを実現したのは「OLYMPUS OM G.ZUIKO 55mm F1.2」くらいでしょうか?

マウントタイプはコニカARマウントが通称かと思いますが、正式には『コニカマウントII』のようです。
後玉はマウント内径の限界に近い大きさで、開放値伝達ピン部品が後玉の縁に被さるようになっていますが、後玉のスペースは確保されています。


スペックの近い「Canon FD55mm F1.2 S.S.C.」と並べてみました。
何処となく雰囲気が似ていますね。当時は2社ともシャッター優先AEを推していたことも共通点です。
FD55mm F1.2はとにかく太く重い鏡胴で重量はコニカと約100gの差があり、国内メーカーの中でも最上級です。

前玉を見比べるとコーティングの違いが見て取れますね。FD S.S.C.はマルチコーティング仕様です。

フィルム一眼レフのKONICA Acom-1(1976年)に装着してみました。
『愛情コニカ』の愛称が付けられたAcom-1はファミリー層向けの廉価機ですが、存外様になるフォルムです。しかしボディは軽いプラ外装なのでフロントヘビーではあります。
本当にこのレンズでフィルム撮影をしたいのなら、金属ボディのKONICA FTAやAUTOREX T3あたりの方が貫録が出ると思います。

ミラーレス一眼のα7CIIに装着。
コニカとミノルタが合併しコニカミノルタへ、その後はカメラ事業をソニーへ譲渡した経緯から全くの赤の他人という訳でもなさそうですね。
F1.2標準レンズであるのなら問題なく許容できるサイズですが、ボディへのベースグリップ追加は必要かと思います。
まとめ
当時はほぼフルラインナップを揃えていたコニカARレンズですが、現在オールドレンズとして人気があるものはごく数本程度かと思います。
このAR57mm F1.2は超大口径のロマンもあり花形のポジションをキープしていますね。
パンケーキレンズのAR40mm F1.8は相場も安価ですが中玉クモリ個体が多いのがネック。
広角は「UC HEXANON AR28mm F1.8」が希少性もありARレンズの中で最も高価な相場で取引されています。
実はこのUC 28mm F1.8を数年前まで所有していました。確かにオールドレンズとしては高性能でコニカの本気が詰まったレンズでしたが、重宝するほどの思い入れは無かったので高騰している内に手放しました。
とりあえず、AR57mm F1.2の絞り開放メインの描写が分かる作例準備に取り掛かろうか思います。
以上、【KONICA HEXANON AR 57mm F1.2】の外観レビューでした。
KONICA HEXANON AR 57mm F1.2 実写レビュー

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