ホームメーカー別YASHICA【銘玉比較】Distagon T*25mm F2.8×ML 24mm F2.8 実写レビュー

【銘玉比較】Distagon T*25mm F2.8×ML 24mm F2.8 実写レビュー

【CONTAX Distagon T* 25mm F2.8/AEG】と【YASHICA ML 24mm F2.8】の実写比較レビュー。

使用ボディ:SONY α7III
同じ構図の写真は以下の条件で撮影しています。

・三脚使用、ボディの位置(光軸)は固定したまま
・Adobe Lightroomにて同パラメーターでRAW現像
・周辺減光、色収差、歪曲の補正なし

レンズ外観レビューは以下
【銘玉比較】Distagon T*25mm F2.8×ML 24mm F2.8 外観レビュー

順光・遠景

※画像クリック拡大後、画像内矢印アイコンやキーボードの左右キーで切替え可能。

Distagon T*25mm F2.8

Yashica ML 24mm F2.8

各絞り値によって周辺減光の変化が確認出来ると思います。
2本ともおおよそF8程度で解消でしょうかね。細かく見ればDistagon25mmの方が若干、周辺減光が残りがち。

また色合いはDistagon25mmがマゼンタ寄り、ML24mmがグリーンに寄っているように見えます。まぁ比べて初めて分かる差なのとデジタル撮影においては大した問題ではありませんがね。

中心部は2本ともに非常に高い解像度。開放でも十分シャープですが一段絞るだけで性能ピークに近くそれ以上絞ってもあまり変化ありません。
中心部を拡大した画像をズラズラ並べても変化が少なく、面白くありませんので広角レンズの性能が出やすい周辺部、以下では左下辺りを切り出した画像を見てみます。

Distagon T*25mm F2.8

Yashica ML 24mm F2.8

2本とも開放では甘さがありますが、一段絞るだけで解像感のある写りになり
絞るにつれてシャープさが増します。

周辺部を含めた解像度のピークは「F8~F11」程度で、
F16では回折現象による解像度の低下が発生しています。

この傾向は広角レンズのセオリー通りなので扱いやすいですね。

もう一例はF11に絞った状態の比較

上の画像の中央と左右周辺を切り出した画像の比較をします。
全く同じピクセル部分を切り出したので2本のレンズ焦点距離1mmのわずかな違いですが画角が変化します。

中央部

右周辺

左周辺

中央部は2本ともカリカリに解像して高レベルですが、
周辺部は両方に倍率色収差が少し出る。これは容易に補正できるとして、

ML24mmがDistagon25mmに比べて若干甘いと言うか、少し像が流れ気味?

うーん、さっきの比較ではレンズ単体の絞りごとの比較だったので気が付かなかったからでしょうか、ちょっと意外でした。

ところで、Distagon 25mmは周辺描写はあまり良くないと言うのが巷の評判。
京セラ公式のカタログでさえアピールポイントは

「中心部は開放絞りから高いコントラストと解像力」「玄人好みの味わい」

と言って暗に周辺描写の自信のなさが伝わってくるのだが(実際MTF曲線図を見ても高性能とは言えない)私は周辺描写に不満を感じたことは一度もない。むしろオールドレンズなのにここまで解像力あるのかと感心します。

私のDistaon25mmは旧西ドイツ製のAEGタイプで割と初期に生産されたものと思われるレンズだが、もしかしたら「当たり玉」かも?と思ってしまいます。逆に後期日本製のMMJの方が描写が安定しているとも聞きますが、どうなんでしょうかね。

逆光耐性 フレア・ゴースト

最もフレア・ゴーストが発生したのは斜めからの強い光(半逆光)で完全な逆光ではフレアっぽくならずに意外と持ちこたえます。
「開放F2.8」と「F8」に絞った2枚の写真で比較します。もちろんフィルター、レンズフードなし。

Distagon T*25mm F2.8

Yashica ML 24mm F2.8

2本ともオールドレンズらしい個性が出た結果になりました。

Distagon25mmは開放でのシャワー状のフレアが豪快ながらも美しく、F8まで絞るとゴーストは残るがフレアは解消しコントラストの高い均一な描写になります。

ML24mmは優しくかかるベール状のフレアで、ゴーストの方が目立ちます。
絞るほどに明確になるゴーストは清々しいくらいで演出として活かしてみたいですね。

レンズ構成の違いかコーティング性能の差かは分かりませんが、順光撮影では見えづらい相違点がここで浮き彫りになりました。今回最も収穫ある比較と思ってます。

純粋な逆光耐性では「Distagon25mm>ML24mm」ですが、個人的にはML24mmのゴーストの出方がオールドレンズとしては魅力的。

それと感心したのは2本とも開放絞りで画面中フレアっぽくならずに、コントラストの高い部分がしっかりとある事がナイスだと思います。

歪曲収差・ディストーション

いい被写体が見つからなかったのであまり参考ならなさそうですが、
歪曲の程度はだいたい同じような樽型歪曲でしょうか。
強いて言うならDistagon25mmの方がわずかに歪曲がキツイかも知れません。

またこの写真でもML24mmの方が周辺が若干甘い写りでした。

ボケ・近接撮影

開放絞りF2.8での撮影です。

…う~ん、パッと見で違い分かりますか?

ドイツ製と日本製 どれくらい違うもんかと期待して撮影したのですが、
これ画角以外に違いを見つけろと言われても、かなり難しいような…

Distagon25mmは開放ボケにもっとクセがあると思っていたんですが、ML24mmも同様のボケ具合ですね。好意的に見ればZeissと近い設計思想と言うことか?

ピント面は両方とも十分にシャープです。
しつこく確認すると若干、ML24mmの方が玉ボケの輪郭が強く出る傾向です。
ホントそれくらいの違いしか分からないw

最短撮影距離

最短撮影距離で手持ち撮影しましたが、ここではレンズのスペック通りの結果です。

Distagon25mm:0.25m
ML24mm:0.3m

5cmの差は実写でも体感でも結構あり被写体を大きく写せるDistagon25mmの方がボケも強調できます。

それにしてもSONY NEX時代のミラーレスは色の濃い花を撮るとすぐに色飽和しがちで感心しませんでしたが、それらと比べれば目覚ましくセンサー性能が向上したんだなぁと思わされます。
まぁ今でもクリエイティブスタイルの風景は相変わらずコテコテで使う気になりませんがw

以下、過去に撮影したものを含めて適当に何枚か

比較まとめ

えー結論を言うと、実写による大きな優劣はありません。

ML24mmはDistagon25mmに“匹敵”すると言う巷の評判は間違いなかったです。
どちらもオールドレンズの広角単焦点として平均以上の性能があり満足できると思います。

ML24mmは比較すると周辺描写が甘いと書きましたが個体差の可能性も捨てきれません。色合いの微妙な違いもデジタル撮影では特に問題にならないでしょう。

むしろ同メーカーの商品で当時「約2倍の価格差」がありながら、ここまでの光学性能を発揮するとは富岡光学恐るべしです。

実写においての比較ポイントを挙げるなら
・最短撮影距離
・逆光耐性の性質
・焦点距離 25mm or 24mm
くらいでしょうかね。

どちらか一本だけを残すとすれば私はDistagon25mmを選びます。
Zeiss伝統 25mmの“特別感”が得られること、鏡胴の作りも良く所有欲も満たしてくれることなどが理由です。

また、これから購入したい人に勧めるのもDistagon25mmです。
Distagon25mmは中古流通数が比較的豊富でAEGやらMMJなど選択肢が多く、レンズコンディションも吟味できます。

対するML24mmは流通数が少なく、中古適正価格が判別し辛いです。
私は東京中野の有名カメラ店でAB品を2万円以下で入手しました。
まぁ2万円以上出して買うレンズではないと思いますね。

ヤシコンマウント以外の24mm F2.8クラスのオールドレンズなら
「Canon FD」が非常に落札相場が安く狙い目かと思います。NEW FDの方はフローティング機構もあるしね。

以上【CONTAX Carl Zeiss Distagon T* 25mm F2.8/AEG】【YASHICA ML 24mm F2.8】の実写比較レビューでした。



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