ホームメーカー別Zeiss/CONTAX【改造レンズ】ZEISS IKON S310 / Tessar 40mm F2.8 for ライカM

【改造レンズ】ZEISS IKON S310 / Tessar 40mm F2.8 for ライカM

ドイツ製コンパクトカメラ【ZEISS IKON S310】のTessar 40mm F2.8をライカMマウントに改造してみました。

ツァイスの固定レンズを交換式に改造

今回、改造レンズとして選んだコンパクトカメラは

旧西ドイツ製の【ZEISS IKON CONTESSA S310】です。

ピント合わせは目測式、露出は絞り優先AEの電子制御カメラ

発売が1970~71年と言われているのでツァイスイコンのカメラ事業末期の製品となり、またコンテッサと名が付く最後のカメラでもある。

兄弟機にはレンジファインダー型の「CONTESSA S312」があり、これはすぐ後にローライが基本設計を引き継ぎ「フォクトレンダー VF101」として生まれ変わった。

ZEISS IKON S310

今回改造に用いた個体はジャンク品から。通電はするものの露出計不良でシャッター速度が変化しない故障品だ。

当初は修理業者に整備依頼するつもりだったが、舶来の電子カメラでスペアパーツもなく完治する保証もないと言われ断念。幸いレンズはキレイなので改造レンズとして再活用することにした。

…ちなみに上の写真は別個体でこれも格安ジャンク。露出計は作動するがやや不安定で光学系の状態が悪い。よく見比べると細かい部品やレンズコーティングなどに違いがありごく短期間にマイナーチェンジがあったようだ。

ZEISS IKON S310

積極的な小型化を図りつつも、四方を絶妙なラインで面取りしたデザインは秀逸で美しい。外装はほとんど金属でサイズ以上のズッシリ感も相まり、国産の大衆機では得られない高級感に満ちている。

明るいファインダーにはシャッター速度、絞り、距離指標がメーター表示され機能に何ら不足はない。絞り優先AEの目測式コンパクトの中では最高クラスのクオリティになるんじゃないかと。

しかし電子制御ゆえに故障すると修理も難しく、同じドイツカメラの名機ローライ35ほどの愛好家もいないのが実情だろう。

ZEISS IKON S310

フィルム室の作りはドイツ流と言うかローライ35とほぼ一緒。

スプールはイージーローディングに近い仕組みになっていて、この時代としてはフィルム装填の確実性はかなり高い。

モルトは使われておらず、ボディ側の裏蓋溝にゴムパッキンのようなものが詰められていた。

ZEISS IKON S310

分解作業に取り掛かりレンズ部分を外した状態。無残な残骸になるかと思ったが原型は留めている。

電子制御の露出計とシャッター羽根はボディ側に固定されており、

改造に必要なレンズ+絞り+ヘリコイドを有するレンズボードはキレイに取り外すことが出来た。これは素人目にも関心出来る整備性に優れた構造です。

ちなみにレンズボードの素材はアルミで加工は簡単であった。

ライカMマウントへ改造完了

ZEISS IKON S310

そして無事に完成。パーツ構成は熟考したので結構時間掛かりました。その分無理なツギハギ感もなく満足の行く外観に仕上がった。

使用した改造パーツは
・L39⇒ライカMアダプター
・L39ボディキャップ
・37.5⇒48mmステップアップリング

後はアルミ板から切り出した自作スペーサー程度で費用は安上がりなものです。

ZEISS IKON S310

SONY α7IIIとの装着バランスは良好。

十分にコンパクトだがパンケーキと呼べる薄さまではあと一歩かな。レンズ単体の重量は「95g」で軽量。

ピント合わせはレンズ先端のレバーに指を掛けて操作。絞りリングは大きく回しやすいがクリックのないタイプ。共に指標目盛り付きなので不便さはない。

またAFアダプターのLM-EA7でも問題なく使えます。

ZEISS IKON S310

やはりレンズ銘板にCarl Zeissの名があると所有欲が違いますね笑

絞り優先AEカメラらしく本格的な5枚の絞り羽根が備えられている。

フィルター径は「30.5mm」でこれはローライ35Sと同じサイズ。

ZEISS IKON S310

最短撮影距離は「0.9m」当時の基準では極々普通。

LM-EA7のマクロモードを使えば「約0.33m」まで近接撮影が可能となる。

ZEISS IKON S310

Eマウントに変換した状態ではマウント面から後玉の位置は結構距離がある。

このTessar40mm F2.8はピント合わせが「前玉回転繰り出し式」なので後玉と撮像面の距離/バックフォーカスは固定かつ不変が原則。

…しかしマウントアダプターを挟んだ時点で、バックフォーカスを厳密に保つことは不可能なので日本製アダプターを基準にした無難な位置で良しとした。

特にヘリコイドアダプターを使うと「全群繰り出し式」へ変化するので、この辺りは描写に大きな影響がない限り気にしない方が良いだろう。

ZEISS IKON S310

マウント内側も出来る限り見栄え良くしてみた。

プラ製のL39ボディキャップを加工してはめ込み、そこにアクリルガッシュ/ジェットブラックを塗装、内面反射対策もこれでバッチリ。

ZEISS IKON S310

最後に今までに製作した改造レンズ大集合。

左上から
FLASH FUJICA/1976
RICOH ELNICA F/1974
KONICA C35/1968
YASHICA ELECTRO35 MC/1973
ZEISS IKON CONTESSA S310/1970

細部は違えどレンズ構成は全てテッサー型。流石にもうお腹いっぱいです笑

ミラーレスで簡単に撮り比べた限りではツァイスとヤシカが抜きん出た描写性能ですね。一番甘い写りはリコーです。

まとめ

とりあえずはジャンクと言えど、こんなステキなカメラ分解して改造に失敗したなんて惨めな結果にならず一安心です。

改造レンズとなっても由緒あるツァイスのテッサーなので撮影モチベはなかなか上がりそうだ。

今までの工作ノウハウを投入した納得の完成度でテッサー型改造レンズの終着点にしたいと思う。

以上【ZEISS IKON CONTESSA S310】の改造レンズレビューでした。

ZEISS IKON S310 / Tessar 40mm F2.8 実写レビュー



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