年代の違う3本の期限切れフィルムで撮影してみました。
3本の期限切れジャンクフィルムで撮ってみた
以前に「有効期限/1997年」のネガフィルムで撮影してみましたが
これが思いのほか普通の写りだったと言う結果で、一旦は期限切れフィルムへの興味はなくなったものの、雑多なカメラジャンクなど買い漁っている内に何本か未使用のフィルムが集まりました。
今回はその中から3本を選びこれで最後の期限切れフィルム撮影を行うことにした。
使用するのは全てフジカラーのISO100ネガフィルム。
・FUJICOLOR 業務用100 / 12枚撮り
・FUJICOLOR F-II 100 / 36枚撮り
・FUJICOLOR SUPER HG 100 / 24枚撮り
オマケ同然に手に入ったので感覚としてはタダ。ホントに興味ない人はタダでもいらないでしょうね笑
【FUJICOLOR 業務用/記録用100】は圧倒的な高コスパでフィルムユーザーの懐を支えたが2020年に惜しまれつつも生産終了。
現行時は24枚撮りが300円程度で買えたのが今ではとても信じられない。
これは箱なしで有効期限不明。12枚撮りはハーフカメラに適した撮影枚数ですね。
次は【FUJICOLOR F-II 100】これはかなり古い。箱からして昭和の薫りが漂う銘柄さえ知らなかったネガフィルムです。
箱に記載の有効期限は薄れて見えにくいが…
【1983年 9月】
ひぃ!!何と約40十年前に期限切れした超ビンテージフィルム。83年は初代ファミコンの発売年ですよ笑
流石にこのフィルムで撮影する行為はもはや禁じられた遊び。
無事に撮り終えても一番の問題は現像過程。自家現像出来る人はともかく、有名チェーン店などは若いスタッフなら受付けてくれるかも知れませんが
フィルム銘柄を熟知するベテランだったら「ハァ…嫌がらせですか?」と断られてもおかしくはありません。
これには理由があり、酷く劣化したネガを現像機に通すと表層の剥離などで現像液がダメになったり、最悪は現像機に不具合も発生しかねないお店側にとってはリスクを伴う作業となります。
今回は郵送現像で特に問題なく返送されたが、実は渋々現像してくれたのかも知れません…申し訳ない。
最後の3本目は【FUJICOLOR SUPER HG 100】
有効期限は【1992年 3月】ちょうど30年前です。DXコードも付いてますね。
さっきの83年物を見た後だと「90年代ならまだ新しいじゃん」と思える錯覚が恐ろしい。
期限切れフィルム撮影設定
期限切れフィルム使用時に必須なのが露出設定。
【10年切れ=+1.0EV】のセオリー通りにすれば40年前のフィルムなら4段明るく。
ISO100なら実質『ISO6』と言う戦前さながらのフィルム感度となる。
流石にこれは晴天でも厳しいシーンもあったのでシャッター速度と相談しつつ多少露出を調整した。
デジタイズはNikon ES-2とLightroom+Negative Lab Proで書き出し。
FUJICOLOR 業務用100
ボディ:CONTAX Aria
レンズ:Planar 50mm F1.4 / Distagon 25mm F2.8
お寺に住まう猫ちゃん。
木の門や日陰の青っぽさ、奥の植物の色など再現出来てますね。
この業務用100は比較的新しいのでは?と思ってたが、まともに感光していたのはたった4コマのみ。保管状態はあまり良くなかったのかも。
最初はAriaの動作不調も疑ったがそれらしい不具合もなくボディに原因はないはず。
やや色調にムラが見えるが写りは良好。
ピントの合っている鉄線はなかなかシャープです。
これがロール最後の1コマ。空の青さは出ているがコントラスト低下、粒子が荒くなるなど期限切れフィルムの特徴が現れている。
12枚撮りはサクッと撮り終えて次は禁断の1983年物フジカラーF-IIです…
FUJICOLOR F-II 100
ボディ:CONTAX Aria
レンズ:Planar 50mm F1.4 / Distagon 25mm F2.8
これが現像後のネガ。一目見て「アカン。全滅や。」と諦めるほど何も写っていない。
色自体も一般的なオレンジベースとは程遠い奇怪な色合いだ。
それでも強い光源下で確認するとわずかなディテールが見える。これはもしやと思いデジタイズ決行。
ネガの劣化具合からすれば想像以上にディテールとカラーが復元出来た。
しかし36枚撮りで何とか画像に出来たのは12枚ほど。
またネガには除去し切れないゴミの付着が多く、極小の表層剥離ダメージも見られた。
暗い写りでも公衆電話と分かる。
大阪新世界の通天閣。まるで夜景だ。
建物上の黒い物体はネガに付いたゴミではなくカラスです笑
紅葉の色が意外とイイ感じに。
これが一番令和らしい光景。
いやはやこれは良くも悪くも貴重な体験となりました笑
描写はかなり厳しいものの、これだけ写っていたのはむしろ幸運。
例えば製造40年経過したデジカメで写真が撮れるのか?と考えるとフィルムってスゴイね。
FUJICOLOR SUPER HG 100
ボディ:MINOLTA X-700
レンズ:NEW MD 28mm F2
この1本のみ別のカメラで撮影。
有効期限は1993年だが見ての通り驚くほどキレイに写った。
感光不良のコマはゼロ。ネガのカールも少なく保管状態はかなり良かったのではないかと思います。
店頭に並ぶ服の色から右奥の店内の照明などカラーバランスは絶好調です。
期限切れフィルムの巻き上げは安定した動作の自動式の方が良い、と以前に書きましたが今回は手動式のミノルタX-700でも特に問題なさそうでしたね。
次はちょっとした比較写真を撮ってみました。
この2枚の写真は露出設定を変えて同位置から撮影。
・上はISO100(±0EV)
・下はISO12(+3.0EV)
デジタイズ時は全く同じ設定で出力。
要するに期限切れフィルムを本来のISO設定で撮るとどう写るかと言う確認です。
上の写真は全体的にアンバー寄りでマゼンタも強い。とは言え極端な画質破綻はない。
下はスッキリとした写りで色被りもなく肉眼の光景に近い。露光時間の違いは明るさよりも色調への影響が大きいようだ。
拡大してみると細かな違いも出ています。
粒子の粗さに差がありますね。
上はISO100フィルムにしては粗いがディテールが強調されて見える。デジタルでもあえてノイズを乗せてディテールを補完する技法はあります。
下はISO100本来の粒状感でしょうかね。
フィルム全盛時代なら上は失敗写真と言われるだろうが、今の感覚で見るとレトロっぽい雰囲気がよりフィルムらしくて好みと思う人もいるだろう。
午後3時を過ぎた頃にはシャッター速度の余裕も無く常に開放絞りとなった。
まとめ
これで期限切れフィルムは十分堪能しました笑
個人的な考えとしては以前と変わらず積極的に使いたくなる魅力は感じませんね。
期待せず失敗してもOKな遊びと割り切るならアリですが昨今のフィルム撮影に掛かるコストは決して安くはなく、撮るならしっかりと写しておきたい。
今回、何も言わずに現像して頂いたお店様には感謝とお詫び申し上げます。期限切れフィルムはこれっきりします…。
以上、期限切れフィルム3本撮りレビューでした。
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