【プラナー比較】CONTAX & COSINA Planar T*50mm F1.4 を撮り比べ

コンタックスとコシナの「Planar T*50mm F1.4」を比較してみました。

 

時代・製造元の違う2本のプラナーを検証

オールドレンズで確固たる人気を誇る標準単焦点

【CONTAX Carl Zeiss PlanarT*50mm F1.4】

このレンズが最近妙に相場高騰してしまい、中古カメラ店でも当時の定価以上が当たり前となった。

確かに美品個体が少なくなり希少性が増していることは事実で、一本所有していても損のない魅力的なレンズですが割高感は否めない。

特に前期のAEJが重宝される傾向があり、後期のMMJはバルサム切れによるクモリ発生率が高いとか言われていますが、私のMMJは依然としてクリアで若干チリが増えたかな?と言う程度。

まぁそれでも現状維持が続く保証もなく、不注意による破損もあるかもしれない。その時の保険として、

コシナ版の「PlanarT*50mm F1.4 ZE(Canon EFマウント)」を確保しておいた。このレンズは現行品で中古流通数も多くコンディションは十分に吟味出来る。

コシナ製品ページ:Planar T*1,4/50


さて本題に移り、手元にある2本のプラナー。当然気になるのは描写に違いはあるのか?と言うことだ。

ネット等で調べてみても納得出来る答えは見つからなかったので自分で比較してみることにしました。

それぞれメーカーが付けた謳い文句は

コンタックス/ヤシカ “標準レンズの帝王とも言うべき逸品”

コシナ “標準レンズの頂点に立つと言っても過言ではないマスターピース”

とちょっと仰々しさもあるが、ツァイスの光学史において欠かすことの出来ない標準レンズなのでしょうね。

CONTAX/MMJCOSINA/ZE
レンズ構成6群7枚6群7枚
絞り枚数6枚9枚
最短撮影距離0.45m0.45m
フィルター径55mm58mm
全長×最大径41×62.5mm47.2×71.4mm
重量275g385g
販売価格¥44,000 ※1¥78,000 ※2

※1:1996年カタログ 2:2022年時点

CONTAX Planar T* 50mm F1.4
CONTAX PlanarT*50mm F1.4

レンズ構成は共に6群7枚の変形ダブルガウス。MF一眼レフ全盛時代に完成の域に達したザ・スタンダードな構成で大半の国内メーカーも標準レンズに採用した。

各メーカー微妙な形状の差はあるがレンズ凹凸の配置は同じ。その中でどのように味付けを行うかが設計者の腕の見せ所と言うことでしょうね。

レンズ外観

CONTAX / COSINACONTAX / COSNA

それぞれマウントアダプターを装着しSONY Eマウントへ変換した状態。

アダプターはどちらも高品質な日本製を使用。コンタックス(以下ヤシコン)はRAYQUAL、コシナはSIGMA MC-11です。

ヤシコンはスッキリとしたフォルムで取り回しに優れる。

コシナはかつてのコンタレックスを強く意識したデザインでドッシリとした貫禄がある(ZEタイプは各マウントの中で最も太く重い)その割にはピントリングがヤシコンより細いのですが。

アダプター込みの重量は
・ヤシコン350g
・コシナ505g
とコシナの方が結構重い。
レンズ単体でも100gほどの差がある上に頑丈な作りのMC-11が上乗せ。

ただ、コシナZEは完全電子マウントのメリットもあり電磁絞りによりボディ側から細かい絞り設定や各撮影モードにも対応。EXIFデータも記録される。

今ではEマウントボディよりもCanon RFボディで使用する方がより親和性は高いだろう。

CONTAX / COSNACONTAX / COSNA

前玉から見たコーティング色の違い。両方ともツァイス独自の「T*コーティング」だがコシナの方はデジタル仕様に即したものだ。実写において明確な差は現れるのだろうか。

 

メーカー測定表

メーカーカタログよりMTF、周辺光量、歪曲の各グラフを比較。コシナ設計時にはヤシコンを参考にしているでしょうから、それに対してコシナツァイス流のチューニングはあるのではないかと。

しかし測定された時代が全く違うのでこれらを鵜呑みには出来ない。個人的にはヤシコンの方が全体的にバランスが良いように見えますが。

MTF曲線

周辺光量低下率

CONTAX / COSINA

歪曲

CONTAX / COSINA

 

遠景

実写比較設定は以下

ボディ:SONY α7III
Adobe LightroomでRAW現像 レンズ補正なし
三脚を用いて同位置から撮影、フード+フィルターなし

上の写真を絞りごとに撮影して赤枠内の2ヶ所を拡大。
比較画像は左がヤシコン、右がコシナです。

中央部

画像クリック拡大後は画像左右の矢印やキーボードの左右キーで切り替え可。

CONTAX / COSINA

中央画質はほぼ同じと言って良い。開放は若干コシナに球面収差によるハロが多いかも知れないが常に一定ではない自然光撮影なので断定は出来ない。

絞るほどにシャープさは増し、F11を境に回折現象により解像低下する。

周辺部

CONTAX / COSINA

周辺光量落ちはF5.6でほぼ解消。倍率色収差は出ません。

F5.6で画面全体が均一になりピークはF11、それ以降で回折により解像低下。

これも開放付近はコシナの方がほんの少しディテールが弱く見えなくもないが、遠景に関しては目くじらを立てるような差はないです。どちらも画面全体を明確に写すにはある程度絞ることが必要。

近接撮影・ボケ

上:CONTAX
下:COSINA

同じ6群7枚構成なのでボケの質自体に大きな差はありません。

しかしコシナの方が後ボケのザワザワ感がやや強くF2.8辺りまで差が見える。

CONTAX / COSINA
F1.4

この時は無風だったと記憶しているので風の影響ではありません。

開放のピント部はコシナにわずかなハロっぽさがあるが、ヤシコンよりもエッジが立っているように見える。

また最短近くの撮影では視認出来るほどの差はなかった。良い比較写真が揃えば追加予定。

玉ボケ

イルミネーションライトとの距離は約2m
ピントリングの位置は最短の「0.45m」です。

上:CONTAX
下:COSINA

開放はどちらも口径食が目立ちますがコシナの方がわずかに小さい。

CONTAX / COSINACONTAX / COSINA
F2.8

F2.8の玉ボケを拡大。
6枚絞りのヤシコンはオールドレンズでよくある6角形、コシナは現代的な9枚絞りであるが円形絞りではなく角が少し出る。

玉ボケ内に「年輪ボケ/玉ねぎボケ」はどちらも出ません。

またヤシコンは前期AEタイプだと手裏剣型の玉ボケになることが有名で、これ以上に好みは分かれるでしょう。

歪曲収差

これは完全な正対撮影ではないはずなので、とりあえず同位置から格子状の壁を撮ってみたくらいの感じで。

両方同じ程度のタル型歪曲あり。ほとんどのケースで歪曲が悪目立ちすることはなく、気になれば後補正も可能。

逆光耐性

街灯をフレームインさせて逆光状態で発生する
「フレア・ゴースト」を比較。

上:CONTAX
下:COSINA

結果はデジタル時代のT*コーティングが施されたコシナが全体的なリードを見せた。

F1.4でのみコシナの方がゴーストがやや大きめだが、それ以降の絞りではヤシコンよりも抑えられている。とは言え圧倒的な優劣はなくフレアも同程度。

ヤシコンはF5.6から光源右上にパープルのゴーストが目立ちますね。

両方ともいずれの絞りでもフレア・ゴーストが発生したがこれは極端な悪条件で撮影したサンプルです。

意図的な場合以外はこのような構図は避けるべきで、少しアングルを変えたりフードを装着するなど対策は必須。

 

コマ収差

遠景中心にピントを合わせ画面周辺の点光源に発生しやすい
「コマ収差 / サジタルコマフレア」を比較。

画面左下のイルミネーション部分を拡大。

CONTAX / COSINA

予想以上の差が現れた。コシナの方が明らかにコマ収差が目立ちます。これは画面中間域でも同様でした。

点光源の再現に最低でもF5.6に絞る必要があるのは両者同じ。

それ以降は絞り羽根枚数の違いで光芒/光条の表現が異なってくる。これは次に分かりやすいサンプルを出します。

このコマ収差の比較は遠景などと同日に撮影した写真もあるのですが、その時にコシナのコマ収差の多さに気付き「もしやピント自体が甘かったのか?」と思い、こちらを後日撮り直した。結果としては同じであった。

合わせてイルミネーションを設置している木のディテールを見てもコシナの方が甘いです(葉は風でブレているものもあります)日中の遠景では目立ちませんでしたが像面湾曲はコシナの方が強いのかも。

光芒/光条

上:CONTAX
下:COSINA

F16

ヤシコンは6枚絞りでシンプルな6本の光芒。

コシナは奇数の9枚絞りで2倍になる18本のウニ型は主張が強過ぎますね。

素人目には円形絞りでないのなら8枚にすれば良かったのでは?と思います。

ただヤシコンにはよく見ると点光源の少し上に小さなゴーストが等間隔に3つ出ています。これは没サンプルでも目立つものがありました。

光芒の形には好みが分かれるが、ここでもコシナの逆光耐性の優位性が見られた。

 

まとめ

結論:2本とも同じような特性のレンズで扱い方は変わらない。特定の条件下では差が現れるがレンズマニア以外は気にしなくても良い。

比較前は「コシナの方が新しいのだから写りも良いに決まっているだろう」と思っていたがそれは単なる先入観であった。年代の古いヤシコンが思いのほか実力を見せ、かつての富岡光学の存在を意識させられた。

まぁどちらも最新設計の50mmと比べたら一蹴されるでしょうけど、それらとは別の価値観が光る味わい深いレンズですからね。

もしPlanar50mm F1.4をまだ持っていない人はどちらを選べばイイの?と聞かれれば、コシナが手っ取り早く安心とお買い得感を得られると答える。

ヤシコンは相場高騰した上にコンディションにムラがあるのがネック。

安くてもクモっている個体で我慢するくらいならコシナの美品ないし新品を選ぶべき。鏡胴の作りは相当な高クオリティですしマウントも複数ある。

ニコンFマウント用のZFはフィルム一眼のNikon F3やFM2なんかに付けたら最高でしょうね。

※今回の比較は私が所有する各1本ずつに限った比較です。同メーカーでもロットによって微妙な個体差はあるでしょうし、特にヤシコンはAE、MMタイプがあり製造期間も長く初期玉神話もあるくらいです。あくまで素人のレンズ遊び程度に捉えて頂ければと思います。

以上、PlanarT*50mm F1.4の比較レビューでした。


 

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