オールド標準レンズの玉ボケをテスト
光学性能の劣るオールドレンズを使い続けていると、ピント面の描写よりも専らボケへの興味が強くなる。
特に残存収差から発生するバブルボケ、グルグルボケなどの描写にハマると手当たり次第レンズを試して見たくなる。
そこで今回は手持ちの標準域の単焦点レンズで背景に出る玉ボケの検証してみた。
使用ボディはSONY α7III
検証に使用したレンズは以下の8本
SONY Sonnar T*FE 55mm F1.8 ZA
CONTAX Planar T*50mm F1.4 MMJ
CANON FL 50mm F1.4 I
CANON FL 55mm F1.2
CANON Serenar 50mm F1.5
CANON FL Macro 50mm F3.5
OLYMPUS OM Zuiko Macro 50mm F3.5
PENTAX SMC Takumar 55mm F1.8
50mm前後のレンズが増えていくのはオールドレンズ沼あるある笑
ツァイスレンズ以外は安価で入手したのが救いだが、ほとんど使い分けできていないような…
玉ボケサンプル
玉ボケを作る光源は家庭用のイルミネーションLEDライトを使用。
光源とカメラの距離はだいたい1.5mくらいだがレンズの画角、最短撮影距離の違いに合わせて若干微調整しています。
主に開放絞りとF2.8まで絞り込んだ写真を載せています。
自分でも何が参考になるかよく分からないけど、玉ボケのエッジ(輪郭)、レモンボケと言われる周辺部の口径食、絞り込んだ状態の形など見て頂ければと思います。
【SONY Sonnar T*FE 55mm F1.8 ZA】
5群7枚 9枚絞り
今回使用したレンズの中で最新かつ唯一のAFレンズ
9枚円形絞り仕様なだけあってF2.8に絞り込んだ状態でも完璧とは言えないがキレイな円形を維持している。口径食を抑えたい場合に効果的。
気になるのは玉ボケ内側に「年輪ボケ・玉ねぎボケ」などと言われる独特の模様が現れること。これはこのレンズ特有と言うよりも、非球面レンズを多用している最近のレンズにはよく発生する。
高画質とのトレードオフと割り切るべきか、撮影時には気付かず後にPC画面で観賞すると少しがっかりするかもしれない。
またSONYのGM/G Masterレンズの一部に採用されている「超高度非球面 XAレンズ」はこれらのボケ模様を大幅に低減しているという。
【CONTAX Planar T*50mm F1.4 MMJ】
6群7枚 6枚絞り
非球面レンズなどは使用されていない典型的な変形ダブルガウス構成で年輪ボケもなく滑らかでキレイです。
口径食は大口径ゆえに大きく出ますね。
絞り込んだ際のボケ形状は6角形でいかにもオールドレンズだが、生産ロットが後期MMJタイプなので初期AEGの手裏剣のようなギザギザした形にはならない。
今回はこのレンズの玉ボケを基準としてみます。
【Canon FL 50mm F1.4 I】
5群6枚 8枚絞り
Planar 50mm F1.4と同じスペックだが設計が古くレンズが1枚少ない構成。
時代的には解像力重視の過剰補正型の設計と思われる。
それの影響かプラナーと比べて開放の玉ボケのエッジが強く出ているように見える。
これが残存収差が多いと言う意味ならば、後ボケが硬くザワザワしている、2線ボケが出るなどの可能性がある。
オールドレンズ好きとしてはこちらの方がクセのあって面白く写るのでは、と期待してしまいますね。8枚絞りで8角形のボケもプラナーより好みかも。
【Canon FL 55mm F1.2】
5群7枚 8枚絞り
8本のレンズの中で最も大口径のF1.2で迫力のある大きな玉ボケが流石。
同時に口径食も強烈でレモンボケで埋もれそう。
絞ればFL50mmとほぼ一緒ですね。
上のFL標準レンズ2本は最短撮影距離が0.6mと長めなのがネックで、今回はヘリコイドアダプターを用いてプラナーの0.45mと同等にした。
【CANON Serenar 50mm F1.5】
3群7枚 13枚絞り
【キヤノンカメラミュージアム Serenar 50mm F1.5】
ライカL39互換マウントのCanon Sレンズ
Carl Zeiss Sonnar 50mm F1.5を手本に設計したとのことで、ある意味和製ゾナー?
う~んボケがえらく酷いことになっています…下手なブラシツールで書いたみたいw
実はこのレンズ状態があまり良くなくクモリが少しとキズも多々。
この玉ボケ汚さはレンズ貼り合わせ面のバルサム劣化が原因でしょうか。
一般的な撮影ではあまり影響は感じられず気に入っていたのだが、玉ボケを比べてみるとここまで悪影響が出ているとは思わなかった。
絞りは豪華13枚で精巧な円形絞りがスゴイが、レンズコンディションが完全でないのが残念。
【CANON FL Macro 50mm F3.5】
3群4枚 6枚絞り
このレンズはレンズの縁に少しカビがあり、それが玉ボケにも写ってしまっています。
1枚目の写真は他のレンズと同じくらいの玉ボケが出るまでピントリングを回したが、一般的な50mmの最短撮影距離0.45mにすると2枚目のような大きさになる。
やはりF3.5と言う開放値はボケにおいて大きなハンデがあるようだ。
【OLYMPUS OM Zuiko Auto-Macro 50mm F3.5】
4群5枚 6枚絞り
FL 50mm F3.5マクロよりも設計が新しい為か口径食が穏やか。
【PENTAX SMC Takumar 55mm F1.8】
5群6枚 6枚絞り
このタクマー55mm F1.8はピントリングにゴムが巻かれた後期型
開放の玉ボケは程よい大きさで扱いやすそう。
一段程度絞るとCONTAX AEGに似たギザギザのボケが出る。
他レンズのオマケで付いてきて使い道もなく手放そうかと思ってたが、機会があれば使ってみようかと思う。
まとめ
なるべくレンズ構成が違う標準単焦点を選んでみたが、玉ボケのサイズはF値が絶対的で他に大きな違いは案外なさそうに見えた。
まあこれは撮影条件に限界のある室内撮影なので似た結果になったのかもしれない。
あとバブルボケを期待するなら、やはり中望遠レンズかなと。
今回実感したことは、レンズにカビやクモリ、異物などがあると玉ボケの中に写り込む可能性が高いと言うこと。オールドレンズに稀にあるレンズ内の気泡も出るかも。
また撮像センサー上のゴミも写り込む場合もあるので撮影前は要チェック。
以上、標準レンズ8本の玉ボケレビューでした。
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