ホーム撮影記【7本比較】オールドマクロレンズ 実写レビュー

【7本比較】オールドマクロレンズ 実写レビュー

7本の標準マクロレンズで実写比較してみました

実力派揃いのオールド標準マクロを比較

今回は所有するオールドレンズの中で標準マクロレンズの実写比較を行ってみようと思います。

比較する7本のレンズは以下簡単に紹介しますがメジャーなCanonやNikonは無いんかいっと思うような偏ったラインナップになります笑

【OLYMPUS ZUIKO AUTO-MACRO 50mm F2 / 7群9枚】

1本目はオリンパスOMシステムの標準マクロ。開放値がF3.5の廉価版も所有していたが入れ替わる流れで入手した。

特筆すべきはマクロレンズとして大口径の開放F2が自慢。さらにフローティング機構も搭載し遠景からマクロ域まで安定した画質が得られる先進性の高い設計。

【YASHICA ML MACRO 55mm F2.8 / 4群6枚】
【TOMIOKA MACRO YASHINON 60mm F2.8 / 4群6枚】

こちらは2本ともヤシカ/富岡光学製の標準マクロ。

ヤシコンマウントのML55mmは以前にも レビュー しておりマクロプラナー60mmに劣らぬ性能を実感している。

もう一本はTOMIOKA銘入りの結構レアなマクロ。Mamiya Sekor銘でもOEM供給されていた。

マウントはM42・プリセット絞り式の今回最も古いレンズだが単体で等倍撮影可能ながら比較的コンパクトな鏡胴サイズが美点。

【LEICA MACRO-ELMARIT-R 60mm F2.8 / 5群7枚】
【CONTAX Makro-Planar T*60mm F2.8 AEJ / 4群6枚】

ライカとツァイスの同スペック標準マクロ。今回最も違いが気になる2本だ。

マクロエルマリートは既に レビュー 済み。高水準の描写性能に魅了され手放せない一本となった。

ヤシコン マクロプラナーは重厚な鏡胴で等倍撮影可能。太く幅広いヘリコイドを最大まで繰り出せば望遠レンズのような迫力がある。

流石に一般撮影には持て余すサイズだったのか、後に最大撮影倍率を1:2のハーフマクロにすることで大幅に小型軽量化したCタイプも追加された。

【CONTAX Planar T*50mm F1.4 MMJ / 6群7枚】
【LENSBABY Velvet 56mm F1.6 / 3群4枚】

最後は変わり種の2本をエントリー。

お馴染みプラナー50mm F1.4は通常の標準レンズであるが中華製のヘリコイドアダプターを介してマクロ域での描写をチェックしてみたい。

唯一オールドレンズではないLENSBABY Velvet 56mmは レビュー済み 。

「大口径×ソフトフォーカス×ハーフマクロ」の3点盛りで独特の世界観を醸す非常にユニークなレンズ。

撮影設定

ボディ:SONY α7III
ISO100・三脚使用・絞り設定は開放からF8まで

Adobe Lightroomで同パラメーターRAW現像

今回はマクロレンズと言うことで屋外の遠景や逆光耐性などは除外して、定常光下のいわゆるブツ撮りメインです。

実写比較①

各画像はクリック拡大後に左右キーや画像内矢印アイコンから切替え可。

被写体との距離は「約0.27m」最短撮影距離が最も長いマクロエルマリート60mmに合わせた。焦点距離によって画角は変わりますがパースは同じです。

OLYMPUS ZUIKO AUTO-MACRO 50mm F2

開放ではピント前後が大きくボケる。軸上色収差は少し見えるようだ。

ピント部のシャープネスは全く問題ありませんね。

YASHICA ML MACRO 55mm F2.8

全絞り値で描写は一貫しており非常に安定的。ヤシカの設計技術の高さが窺える。

TOMIOKA MACRO YASHINON 60mm F2.8

開放ではボケのザワザワ感がやや強く設計の古い過剰補正タイプのような印象がある。

絞ると周辺まで整った画質になり古くてもマクロレンズらしい描写。

CONTAX Makro-Planar T*60mm F2.8 AEJ

このマクロプラナーは色合いに特徴があり他のレンズと同じWBに設定していても赤みのある暖色傾向に写る。

LEICA MACRO-ELMARIT-R 60mm F2.8

マクロプラナーとの違いが気になるマクロエルマリートは後で個別に比較してみます。

CONTAX Planar T*50mm F1.4 MMJ

ヘリコイドアダプターで接写したプラナー50mmは専用マクロレンズではない故かズイコーマクロ50mmと比べ撮影倍率が低くなるようだ。

F1.4では盛大なボケに覆われ諸収差の暴れも存分に堪能できる。中心は絞ることにシャープになりマクロレンズと遜色ないレベルに解像するが周辺画質は怪しい感じがする。

LENSBABY Velvet 56mm F1.6

独自性の強いレンズだけあって他とは一線を画す描写を見せる。

ピント部は柔らかく滲み、前ボケにはバブルボケも出現。

F4辺りから通常レンズのように引き締まった描写へ変化するが、意図的に出している像面湾曲の影響で隅は解像はしない。

このVelvet56はピーキーな印象を持つかもしれないが、実際に使ってみるとフィルム時代の専らポートレート用のソフトレンズよりも汎用性が高く様々なシーンで活躍出来る。

MACRO-ELMARIT-R 60mm vs. Makro-PlanarT*60mm

ピント部中央と被写界深度内の周辺部を拡大して比較

左:ライカ 右:コンタックス
上段:中央 下段:周辺

正直言ってこの2本は優劣のない同等の画質に見えますね。ある意味ホッとする結果でもある笑

開放付近で玉ボケの形にわずかな差が見られるが並べて初めて分かる程度。周辺画質や軸上色収差なども同等です。同じスペックで高性能に設計すれば似た描写になるんでしょうかね?

マクロプラナーは前述の通り色合いに赤みがあることが判別のポイントとなるのかな。

2本とも各カメラシステム終了時まで現行品であったことからオールドマクロとしてトップクラスの実力であることは間違いないでしょう。

またトミオカマクロ60mmはこの2本と比べ開放付近は見劣りのある描写だった。とは言え絞れば遜色のない性能になっていた。

ZUIKO AUTO-MACRO 50mm vs. PlanarT*50mm

この50mm同士の比較はマクロレンズが如何に近接撮影を得意とするか示す結果となった。

中央部はF4に絞れば大差は無くなるものの、ズイコーマクロは開放から周辺のピントも安定しており驚異的と言える。

対するプラナーはスペック以上の接写によって像面湾曲が増大しているのか周辺のピント位置がズレてるように見える。F8でもピントに明瞭さはなく差は縮まらない。

しかし通常のレンズは無限遠で最高性能が出る設計になっているのでヘリコイドアダプターでマクロ撮影すれば設計外の画質になるのは当然であり、プラナー50mm F1.4の評価を下げる要因にはならない。

実写比較②

次の比較は出来るだけ被写体が同じサイズに写る(撮影倍率を揃える)ようカメラの位置を調整しています。

フィルムパトローネの背後にはLEDライトを配置して玉ボケもチェックできるようにしてみた。

ZUIKO AUTO-MACRO 50mm F2

左右のNEOPANとF-IIのパトローネは中央のPROVIAにピントを合わせれば被写界深度内に入るよう配置しました。

おおよそ弱点が無いと思えるズイコーマクロで唯一気になるのは、F2.8でわずかに手裏剣型の玉ボケが出る。

YASHICA ML MACRO 55mm F2.8

TOMIOKA MACRO YASHINON 60mm F2.8

玉ボケの絞り形状は角張った6角形。

CONTAX Makro-Planar T*60mm F2.8 AEJ

F4ではヤシコンAEタイプでお馴染みの手裏剣型の玉ボケが出ている。

LEICA MACRO-ELMARIT-R 60mm F2.8

このサンプルでもマクロプラナーとの違いは玉ボケの形くらいで拮抗した性能。

CONTAX Planar T*50mm F1.4 MMJ

これはMMタイプなので玉ボケは手裏剣にならない。

比較①と同様に中心画質は絞るほどにシャープになるが、左右パトローネのディテールは他のマクロと比べて甘いまま。やはり通常の標準レンズだと画質に無理が生じる撮影距離のようだ。

LENSBABY Velvet 56mm F1.6

絞り羽根は円形に近く玉ボケの角張りはあまり目立たない。ソフト効果とボケのバランスはF2.8がいい塩梅。

まとめ

今回は比較対象が多くじっくりと検証した訳ではないがマクロレンズってフィルム時代から基本高性能でどれも端正に写る優等生なんですよね。

正直な所もうちょっと描写に差があれば面白かったと思うのは贅沢な考えかな。遠景や逆光耐性などを含めた総合的な比較になると差は出てくるかもしれませんね。

ベストなマクロレンズを選ぶなら鏡胴サイズや操作性なども重要で、個人的にはヤシカMLマクロ55mmとマクロエルマリート60mm、次点でズイコーマクロ50mmが使いやすいと思える。

まあここから標準マクロが増えることはない(と思う…)が減ることもなさそうな現状ですね笑

以上、オールドマクロレンズの比較レビューでした。





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