【TECHART LM-EA7】の使用/設定方法のまとめ
【TECHART/テックアート LM-EA7】はSONY Eマウント機でMFレンズのAF化を実現した画期的なマウントアダプター。
SIGMA MC-11などと比べると多少クセのあるアダプターだが、得手不得手を理解すれば十分活躍してくれるアイテムです。
私は現在SONY α7IIIで使用中。以下で現状把握している使用方法を雑多にまとめました。語彙力が足らず実物が手元にないと何言ってるか分からない部分もあるかと思います笑
追記:2022年9月に新型のLM-EA9が発売されるようです。
4基の小型モーターを採用したことで従来の下部モーター格納部がなくなりスマートなスタイルに。AF速度、動作音も改良されたそう。
追記:LM-EA9入手しました 【新型AFアダプター】TECHART LM-EA9 レビュー
使用前の確認
ファームウェアは常に最新を
ファームウェアの更新はスマホアプリからBluetoothを介して行う。
2018年のVer.6.0を最後に更新されていないが※
更新履歴や詳しいアップデート方法は日本正規代理店の焦点工房のサポートページから。
※2020年12月にVer.7.0.0が公開されました。これは「α7R IV」「α6600」専用の動作安定ファームで、他機種で使用した場合はAFレスポンスの低下があるためアップデートはしないようにアナウンスされているので注意。
AF対応するボディ
対応するEマウントボディは“像面位相差AF”搭載機かつ一定の世代から。
ざっくり言うとフルサイズは「α7II」以降のボディ(α7SII除く)
APS-Cでは「α6300」以降のボディ
限度はあるが世代が新しい機種ほどAF性能は良いです。
初代α7やα6000、NEX時代のボディは超絶遅いコントラストAFでの動作になり、散々AFが迷った挙句に合焦不可になることが多く実用性皆無。
また動画撮影のAFにはいずれも非対応。
推奨レンズ重量
日本の正規代理店である焦点工房では「500g以内」
TECHART公式HPでは「700g以内」ただし、最高のAF性能を発揮するには300g以内を推奨とのこと。
Mマウントに改造したレンズもAF化可能。
“ジャーニーコニカ”ことKonica C35の改造レンズも“ジャスピンコニカ”に早変わり!
ライカMマウント以外も装着可能
Mマウントに変換してフランジバックを合わせれば一眼レフ用のレンズも装着可能。
その際はアダプターの二段重ねになるので品質の良いものを選びたい。
この位の重量になってくるとLM-EA7のヘリコイドを長く繰り出した際にわずかに“たわむ”ことがあるので、左手でレンズを支えて負荷を減らすことを意識した方が良い。
コスパに優れるK&F Concept製はマウントの種類によってはLM-EA7のモーターを内蔵した下部が干渉して装着できないケースもある。Canon FD用は装着出来ないはず。
Amazonのレビューでは装着結果が多数報告されているので参考になるし、質問すれば焦点工房さんが返答してくれることもあるっぽい。
★追記:K&F ConceptからLM-EA7の形状と干渉しない改良型が発売されました。
【K&F Concept ライカMマウント 変換アダプター 改良型5種 発売】
型番の末尾に2が付いているのが目印。
光学性能に影響が出るレンズも
LM-EA7は内蔵ヘリコイドがレンズ鏡胴ごと前後させてAFを行うので、ピント合わせの方式によっては描写に影響の出るレンズもある。
オールドレンズでオーソドックスな「全群繰り出し」タイプは問題なし。
レンズの一部を移動させてピントを合わせる「前玉繰り出し」や「インナー/リアフォーカス」などではピントが合わなかったり、描写に影響が出る可能性大。
また収差変動を軽減するための「フローティング機構」を搭載したレンズも同様に影響があるかと。
個人的な憶測ですが、トリプレットやテッサーなどの古典的な前玉繰り出しだとむしろ収差が減るかも知れない。フローティング機構のレンズはピント近くまでMFすれば影響は最小限になるかも。まぁともかく、事前の試し撮りは必須。
撮影方法
LM-EA7は色々設定を変えながら撮影してクセを掴み、自分好みにカスタムすることになるのでこれらは一例として見て頂ければ。
本体設定
本体メニュー画面で設定する項目
・AFシステム:“位相差”に設定
・レンズ補正:最新Verは“オート”で問題ありません
・シャッター半押しAF:好みで。私は親指AFするので“切”
・シャッター半押しAEL:“切”が無難。実絞り測光でAELはやや不便
・レンズなしレリーズ:オールドレンズ使う人は“許可”がデフォ
・電子先幕シャッター:1/1000秒以上で撮るなら“切”かサイレントシャッターで
・露出値ステップ幅:“0.3段”焦点距離の設定等に必要
レンズ焦点距離の登録方法はこちら
撮影方法
ピントリングは基本∞無限遠にセットします。
ボディ側の絞りはレンズに関わらずF2に固定。いずれのレンズでもF2で適正露出が得られるようになっている。F2以上の明るさには設定出来ません。
1:レンズ側 絞り開放でAF
2:レンズ側 絞りを設定
3:シャッターを切る
レンズによっては1、2の手順を【レンズ側 絞りを設定⇒AF】で行った方が適切に撮影出来ることもある。理由は
・開放描写が甘いレンズだとピント精度に影響がある。
・フォーカスシフトが大きいレンズだとピント位置がズレる。
など。この辺りはレンズ個々のクセを掴んで使い分けよう。
無限遠の意味のない屋内ではピントリングの距離目盛を10m~辺りにしてもOK。
また光量が十分以上にある日中屋外だとパンフォーカス位に絞り込んでAFしても特段影響はありません。
フォーカスエリア
フォーカスエリアの設定は
・フレキシブルスポット S/M
・拡張フレキシブルスポット
などでピンポイントかつ画面中央付近でピント位置を決める。
最新ミラーレスは像面位相差AFで広範囲をカバーしているものの「ワイド」や「ゾーン」はあまりオススメしない。周辺のAF精度は明らかに落ちるので一度AFが迷うとかなりモタモタする。※AF-C+瞳AFを使う場合はゾーンの方がオススメ。
私は三分割法の交点辺りまでを使用範囲として、より周辺はフォーカスロックで構図決めをしている。
動体撮影にも対応
AF-Cに対応、瞳AFも作動します。
ただし、連写中のAF追従は「連続撮影:Lo」の低速モードのみ可能。これはLA-EA3やSIGMA MC-11と同様です。
しかし連写後に本体フリーズやファイル修復の動作を何回か経験している。データ破損はないが一部撮影設定がリセットされることもあった。
このアダプター以外では経験していないので少し不安が残る。個人的にはAF-C性能は過度に期待しないようにしている。
※フリーズの件はSDカードフォーマットで解決しました。
50mm以上はMFでカバー
LM-EA7の内蔵ヘリコイドは4.5mmの長さがあり、28mmの場合だと無限遠~0.2m程度までカバー出来る。しかし、およそ50mm以降は内蔵ヘリコイドの長さだけでは足らずに撮影範囲が狭くなります。
一例としてCONTAX Planar 50mm F1.4では「無限遠~0.8m」程度となりレンズ仕様の最短0.45mまで届かない。この場合はレンズ側のピントリングで微調整しつつ、LM-EA7のAFでピントの追い込みをします。
またピントリングを近接にすると本来よりも最短撮影距離が縮まるメリットがあります。最短1m前後が多いレンジファインダー用レンズは汎用性が一気に広がる。
焦点距離の登録
LM-EA7は電子接点のないオールドレンズでもあらかじめレンズ焦点距離を設定することでボディにレンズ情報伝えることが出来る。
これによりEXIF情報に焦点距離を記録出来るほか、シャッター下限速度やボディ内手ブレ補正(3軸補正)の最適化もしてくれる。F値は残念ながらいずれもF2でEXIFに記録。
以下の絞り値に設定して一度シャッターを切ると、次の写真から焦点距離が反映される。電源をオフにしても最後に登録した設定が保存されます。
F11 | 15mm |
F13 | 18mm |
F14 | 21mm |
F16 | 24mm |
F18 | 25mm |
F20 | 28mm |
F22 | 35mm |
F25 | 50mm |
F29 | 90mm |
F32 | 135mm(MF) |
設定を終えた後はボディ側の絞りF2に戻すことを忘れずに。また次に撮影した写真は詳細画面を見てしっかり反映出来ているか確認もしておこう。
専用アプリでカスタム
上記の焦点距離の割り当てはデフォルトの設定。人によっては使いたいレンズが当てはまらない場合もあるだろう。そこで専用アプリを使って自分好みにカスタムが出来る。
ちょっと説明が長くなるのでこちらに別ページを用意しています。
【アプリ】TECHART LM-EA7のレンズデータをカスタムする
無限遠&マクロ&MF微調整モード
MFモードに切り替えると独自機能が追加されたMF撮影が出来る。
α7IIIの場合はカスタムボタンのいずれかに「押す間AF/MFコントロール」か「再押しAF/MFコントロール」を割り当てておこう。
先の焦点距離の登録方法と同じ要領で、ボディ側の絞り値を以下に設定してシャッター。各モードを変更したい時は対応する絞りで再度シャッター。
・F36:無限遠モード
・F40:マクロモード
・F45:MF微調整モード
これも設定後は必ず絞りをF2に戻すこと。
無限遠モードはアダプターのヘリコイドを最小まで縮める。AFで遠景にピントが合いずらいシーンで便利。
マクロモードは逆に最大までヘリコイドを繰り出すモード。AF時よりもさらに一歩接写が出来るので標準レンズでもマクロ域の撮影が可能。一番オススメのモード。
MF微調整モードはDMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)のような感覚で使えるとの説明でAF後に自動ピント拡大でもしてくれるのかと思ったら、どうも違うようで実際はアダプターのヘリコイド位置をMFに切り替えたタイミングで固定する機能のようです。これはDMFよりもフォーカスホールドボタンに近い機能ですよね。
まとめ
長くなりましたが、使用方法は大体こんな感じです。やはり大事なのは使い込んでクセを掴むこと。
最後に保管時はバッテリーの無駄な消費を避けるためにボディから取り外すこと、アダプターに負荷の掛かる重いレンズは付けっぱなしにしないことを忘れずに。
以上【TECHART LM-EA7】の使用/設定方法まとめでした。
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