ニコンのフィルムコンパクトカメラ【Nikon AF600 QD】の作例レビュー
レンズに本気が見えるニコンのプラカメ
今回のフィルムカメラレビューは1993年発売の【Nikon AF600 QD】です。
発売当時、世界最小最軽量の35mmフルオートコンパクトカメラとして登場し『ニコンミニ』の愛称で知られる。
私が入手したものは「Nikon LiteTouch AF」と言う輸出用ネーム版。
割とレアかも知れないが所詮はプラカメなので特に有難みはない笑
後にLiteTouchネームは日本に逆輸入(統合?)されズームコンパクトがシリーズ化されました。
内部の軽量化も徹底的で金属部品は最小限。ファインダーの左側にはパノラマ切り替えレバー。
デート機能は裏蓋に内蔵せずボディ上部液晶から設定する。デート用電源は本体のCR123Aと共有で裏蓋内のボタン電池も不要。これによりボディ厚を減らしスッキリとさせているのは高評価。
フォーマット | 24×36mm 35mmフィルム |
レンズ | ニコンレンズ 28mm F3.5 マクロ 3群3枚 最短撮影距離0.35m |
シャッター | 絞り兼用電子レンズシャッター 1/3~1/350秒 |
フォーカス | 赤外線アクティブ測距式 |
ファインダー | 実像式 0.28倍 視野率82% |
露出制御 | プログラムAE |
その他 | 内蔵ストロボ、セルフタイマー、遠景モード、 パノラマ機能、デート機能 |
使用電池 | CR123A×1 |
外寸 | 108×62×32mm |
重量 | 155g |
発売年月日 | 1993年3月 |
定価は¥37,000で現在は動作品が1万前後の相場。特定の持病もなく故障率は少な目と言える。
チープな見た目のプラカメにそこそこの値が付く理由は「Nikon Lens 28mm F3.5 Macro」の描写性能の高さにある。
3群3枚のトリプレット型で広角28mmを実現したそのレンズはカメラ誌のレビューで非常に高く評価され、目の肥えた一眼レフユーザーをも唸らせた。
当時は広角28mm搭載のコンパクト機もまだ少なく小型軽量も相まってプロ、ハイアマチュアのサブ機としても活躍したそうです。
ちなみに今回は「JOBY ミニ三脚」を着けて持ち出してみました。収納時はカメラ底部にフィットし邪魔にならず、右手の小指まで掛かることで簡易グリップの効果もある。
実写作例
使用フィルム:FUJICOLR100
Nikon ES-2でデジタイズ後、Lightroom+Negative Lab Proで書き出し
まぁ正直言ってニコンミニは撮ってる時の高揚感は皆無に近いカメラですねぇ…
質感の低いプラボディは軽さと引き換えなので特に問題ではないものの、ラバー製のグニッと押すボタン類は微妙な感触。
最も興を削がれるのは非常に小さなファインダーで広角の景色を覗く楽しさは全く感じられずかなりツラいです。
しまいには撮影中に「これはフィルム一本撮った後に売ってしまおうか」と考えるほどしっくりこないまま撮り終えましたが、
いざネガを取り込んで観てみると描写性能は噂通りの本格派。他の欠点もあっさり許せてしまうほどの実力を目の当たりにし完全にキープ決定。
目立つ歪曲もなくピシッと気持ちよく写る。
最短撮影距離は「0.35m」と一眼レフの交換レンズ並に接写性能が高いのが特徴。しかし今回の撮影では接写時のピント中抜けのカットが数枚あった。
まぁニコンミニに限らずこの時代のコンパクト機にはありがちなので文句を言っても仕方ない。AFステップ数もそれほど多くはないでしょうね。
上の写真はアクティブAFが苦手なガラス越しのカットですが上手くAFが合ったようだ。
ウォールアートも細かく描写されている。
ちなみに今回からデジタイズ作業に
Lightroom専用プラグイン「Negative Lab Pro」の製品版を導入しました。試用版で使い勝手の良さを実感しつつも、プラグイン一つに$99はなぁ…と躊躇していた所に、Ver.2.2へのメジャーアップデートが提供されたことで導入決意。
今までの自己流デジタイズ画像をやり直したくなるほどの圧倒的な画質差は感じられないが、色調の安定感は特筆もの。外部ソフトも介さなくなったので作業効率はかなり向上しました。
シャッターラグの大きいカメラですがイイ感じに阪急電車がフレームイン。
何気にこれが梅田スカイビルの初撮影だったりする。
ヘトヘトの猛暑日に撮ったラバーダックも今となってはイイ思い出かな。
この一枚はミニ三脚を使いセルフタイマー撮影。
夕暮れ時なので絞りは開放だろうか。意図的なスローシャッターが切れないのはプログラムAEの歯痒い所。
まとめ
たった3枚のレンズでこれ程までに高画質なのは驚きでしかなく、さすが光学のニコンですね。
これ以降のニコンミニシリーズはズームばかりになってしまったのが残念であり、
より上質なニコンの単焦点コンパクトが欲しければ「Nikon 35Ti/28Ti」になるのかな。
小型軽量+広角レンズは標準レンズを付けたフィルム一眼レフと一緒に持ち出してもサブ機として活躍してくれそうな予感です。
以上【Nikon AF600 QD】のレビューでした。
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