コンパクトフィルムカメラ【AGFA OPTIMA1035 electronic sensor】のレビュー
シックデザインのドイツ製コンパクトカメラ
【AGFA OPTIMA1035 electronic sensor】は1976年に発売されたドイツ製のコンパクトフィルムカメラ。
『AGFA/アグファ・ゲバルト』と言えばフィルムメーカーのイメージが強いが、80年代初頭まではカメラも自社製造していたようです。
日本国内では(株)大沢商会が代理店として輸入販売していた。
フォーマット | 24×36 35mm判フィルム |
レンズ | 40mm F2.8、4群4枚、∞~0.9m |
シャッター | 15~1/1000秒 電子式レンズシャッター |
露出制御 | プログラムAE |
ファインダー | 約0.8倍、近距離補正マーク、露出適正/警告ランプあり |
寸法(横×縦×奥) | 104×69×56mm |
重量 | 276g |
使用電池 | MR-9(H-D)×3 |
販売時価格 | ¥35,500 |
アグファ オプティマには兄弟機と呼べる4機種がありスペックによる格付けがなされている。モデル名の数字は主に最高シャッター速度を表す。
4機種同時発売ではなく535と1035が初めに発売され、後に335と1535が追加された。
335 | 535 | 1035 | 1535 | |
距離方式 | 目測式 | 目測式 | 目測式 | 二重像合致式 |
レンズ | 40mm F3.5 | 40mm F2.8 | 40mm F2.8 (マルチコート) | 40mm F2.8 (マルチコート) |
シャッター | 1/30~1/300 | 15~1/500 | 15~1/1000 | 15~1/1000 |
セルフタイマー | なし | なし | あり | なし |
335~1035は相場に大きな差がないので、どうせ手に入れるなら上位の1035を狙うべき。私は最初に535を買ったが動作不良だったので1035を買い直した。
唯一のレンジファインダー仕様である1535は流通数が極端に少なく、相場も他の何倍もする。
コレがメチャクチャ欲しい時期もあったが冷静になってみればF2.8レンズのレンジファインダーは国産カメラだと別に珍しくもないのよね。
追記:結局物欲に負けて1535を買ってしまいました。
【レンジファインダー】AGFA OPTIMA 1535 レビュー
この他にも内蔵ストロボを搭載の「Optima Flash」
沈胴レンズと自動巻き上げ用のモーターを内蔵した「Agfa Compact」
中国製の「QINGDAO Flash」などもあり製品シリーズとしての息は結構長かったようです。
ボディに貼り革が一切なく各パーツを無駄なく記号的に配置したデザインはいかにも欧州的で洗練されている。
よく似ていると言われるのが中判カメラの「プラウベルマキナ67」でそれを手のひらサイズに縮小したかようなイメージ。
重量も276gと軽量ですが、外装は金属製で表層にプラスチック樹脂をコーティングしたものらしいです。塗装ハゲのある個体も割と見るので塗膜はそれほど強くはなさそう。
正面から見て右上にある大きなファインダーは倍率が約0.8倍と言う非常に豪華なもので初めて覗いた時は広く隅までクリアな視界に驚くはず。
前面には文字が集中していたが上部はスッキリしておりオレンジの大きなシャッターボタンが目を引く。
アグファはこれを『センサーレリーズ』と名付けメーカーアイコンとして様々なカメラに採用していた。巻き上げレバーの同軸にシャッターボタンがあるのも何気に珍しい。
シャッターストロークは非常に浅くまさにフェザータッチです。
シャッター音も特徴的で「ジャッ」とか「ベッ」とか形容しがたい独特の音で結構クセになる
ちなみにシャッターユニットは電子制御ですが、レリーズ機構はOLYMPUS XAのような電磁レリーズではなく機械式ようです。
少し難儀な所は電池切れの際にシャッターロックが掛からないこと。
レリーズ音はするけど実際にシャッターは開いていないので未露光になる。ファインダー内の露出ランプがバッテリーチェック機能も兼ねているのでフィルム装填前に確認しておこう。
このフィルムカメラには有るべきはずの巻き戻しクランクが存在しない。
その役目になるのがシャッターボタン横の「R/リワインドボタン」
ココを押し込みながらR文字の位置に動かすとカメラ内部でギヤが切り替わり、隣接する《巻き上げレバー》が《巻き戻しレバー》へと変わる。
後はフィルムが完全に巻き取れるまで船を漕ぐかのようにレバーをギコギコと動かし続ける。ユニークながらも技術力の高さが光る機構です。
しかしコレねぇ…実際に使ってみると結構面倒なんですよ。
36枚撮りだとまだ終わらんのか?ってくらいレバーを動かし続けなくてはなりません。巻き戻す感触は重めで、裏に肉抜きのあるプラ製の巻き上げレバーに少し負荷も掛かっているように思える。
まぁフィルム撮影自体が今では面倒なものですからこれもデジタルでは味わえない体験ですね。
搭載レンズは「SOLITAR S 40mm F2.8/4群4枚」FUJICAのコンパクト機にも見られた後群の貼り合わせを分離した変形テッサータイプに近いものと思われる。
上位機の1035はマルチコート仕様なのでカラーネガの発色性にも優れているでしょうね。
フィルター径は「49mm」 ASA(ISO)設定範囲は「25~400」
ピント合わせは目測式のゾーンフォーカス。3つのピクトグラムにクリック位置あり。
ピントリングを回すとファインダー内の距離指標針も連動する。これは1035だけの機能です。
レンズ根元に絞りリングが付いてますがこれはストロボ撮影時の専用リング。
レンズの反対側には距離目盛もあります。最短撮影距離は「0.9m」
個人的にはこちらを表側にした方が格好良く見えそうですね。
背面はこれ以上なくシンプルで清々しい。
右下の「Made in Germany」の文字がさりげなくも誇らしげ。この個体はファインダー枠の左端が一部凹んでいるのが残念だ。
フィルム室も一般的な国産カメラとは違う独特の構造になっており、フィルムパトローネの出し入れがしやすいように底部も連動して開く。
またドイツ製に多くあるモルト不要の構造になっているのもポイントが高い。
フィルムの装填はいわゆるイージーローディング機構でフィルム先を挿し込むだけで失敗せずにセット出来る。
巻き取り側は遮光構造になっており、誤って裏蓋を開けてしまっても撮影済みのコマは感光せずに保護されるはず。
電池室はファインダーの隣にある。
裏蓋を開けないと電池交換は出来ないので撮影中に電池切れになると厄介です。
そして今、AGFA OPTIMAの使用ハードルを上げてしまっているのは電池の問題。
使用電池は「MR-9(H-D) 水銀電池×3個」で既に製造終了しています。
海外製の同形アルカリ電池が新品購入可能なのでそれが代用できます。
ボタン電池LR-44からの変換アダプターもあるけど3つ分買うと結構高いのでお試し感覚ではあまりオススメは出来ない。
主観であるがこの電池を使って撮影すると電圧差なのか若干アンダーめの写りになった。次回は簡易的な露出補正としてフィルム感度設定を一段ほど下げてみようかと思う。
このカメラにはストラップホールがなく、左側面の三脚穴にストラップ金具を取り付ける仕様(U1/4インチネジ)画像のストラップは他社品です。
左手にハンドストラップを通すと取り回しが少し不便になることもあるが、仮に右側に配置すればフェザータッチのシャッターを不意に押してしまう事故もあり得るのでこれが正解なんでしょう。そもそも内部スペース的に右側の設置は無理なんだけど。
まとめ
当時は輸入品で販路も狭く大衆にはヒットしなかったそうだが、今見ても古臭さを感じない秀逸な洗練デザインは数あるコンパクトカメラの中でもかなりの高得点を付けたい。
現在では国産コンパクトと比べて流通数も少なく、ドイツ製と言う取っ付き辛いイメージや電池の調達がやや不便なこともあってかフィルム再ブームになっても特に注目されていません。
そのおかげで相場も高騰していませんがね。
舶来物のコンパクトカメラ好きは一つ持っていても損はない一品だと思います。
以上【AGFA OPTIMA1035 electronic sensor】のレビューでした。
【フィルム作例】AGFA OPTIMA 1035 実写レビュー
コメント
細かいことですが、テッサーは3群4枚じゃないでしょうか..?
通りすがりさん
いえいえ、全然細かくないですよ笑
agfa optimaのレンズ構成については情報が少なく、
ネット上では3群4枚と4群4枚の記述があり調べるほどに悩みました。
最終的にはこちらのサイト様にレンズの分解写真があり4枚に分割されていることが確認出来ました。
http://www.bubu.jp/solitarccc/solitar.htm
あとはカメラの八百富さんのブログでも4群4枚の記述があったので確定かなと。
https://www.yaotomi.co.jp/blog/used/2009/09/agfa-optima-1035-op-10.html
憶測ですが貼り合わせ部分を分割した変形テッサー型?ではないかと思います。