ドイツ製のコンパクトレンジファインダーカメラ【AGFA OPTIMA 1535 electronic sensor】のレビュー
AGFA OPTIMA最上位機種を入手!
1970年代に登場したドイツ製のコンパクトフィルムカメラ「AGFA OPTIMA electronic sensor」シリーズは日本メーカーとは趣向が違う独特のデザインと操作機構が魅力的。
以前にOPTIMA1035を入手してこれで十分だろうと納得しつつも最上位機種であるレアな「OPTIMA1535」の出品チェックは継続していた。
それからしばらくして格安のジャンク品を入手出来ました。
期待半分で届いた1535はやはりジャンク品なだけあって巻き上げが空回り、シャッターも切れない、通電しているかも不明な不動状態でした。
まぁ外観はキレイだし単なるコレクションとしても悪くないかとも考えたが、この機会に初めてフィルムカメラを修理に出すことにしました。
基本的に電子シャッター式のドイツ製カメラはお断りの修理店が大半です。仮に故障箇所が特定出来てもスペアパーツがなく完治せず返却…と言うのもままある。
いろいろ探して見た所、新潟にある「宮越写真機修理店」さんが快く引き受けて頂けた。決め手は店主自らOPTIMA1535を使用していることで、これ以上の修理店はないだろうと言う確信を得た。
とても丁寧な対応で修理は無事に完了し、トータル費用は未整備の中古相場と同程度に収まったので距離計や露出計などがしっかり調整されたカメラとしてはリーズナブルなものとなった。
所有する1035と1535の違いは
・ピント方式が距離計連動 or 目測式
・セルフタイマーの有無
の2点だけなのでおおよその解説は過去の【OPTIMA1035のレビュー】を参考にどうぞ。
以下では1035と外観を比較してみました。
1035ではセルフタイマーランプだった箇所が距離計窓になっている。ちなみにOPTIMAセンサーシリーズでセルフタイマー搭載は1035のみです。
レンズは同一の「SOLITAR S 40mm F2.8/4群4枚」コーティングの色が若干違いますが、これはロットによってまちまちだそうです。
上から見ると明らかに1535のファインダー部が大型化し存在感が増している。
おなじみオレンジのセンサーレリーズと同軸の巻き上げレバーは整備された1535が軽くスムーズだ。
実際にフィルムを入れた時にはさらに巻き上げの感触が改善されているのが実感出来る上に、1035であったコマ送りの若干のズレが1535には全くなかったのは感動。
本当はファインダー内の写真を載せたかったのですが上手く撮れませんでした…
両者のファインダーを覗き比べると明るさや倍率などは1035の方がクリアで広い視界だ。
やはりレンジファインダーの1535は距離計用のハーフミラーなど挟んでいるために単純な見え心地では一歩劣る。
しかし1535もコンパクトレンジファインダーの中では最高クラスのファインダー性能であることは間違いないし、むしろ1035が明らかに異質の大きさです。
中央の二重像は円形でわずかなアンバー色、周辺は薄いブルーで日本製にはあまりない独特な仕様。
露出はプログラムAEでシャッター速度や絞り値の表示はなく、1035などと同じレッドとグリーンの露出ランプの表示のみ。ゾーンフォーカスマークもありません。
1535のピントリングのゴムは若干太く、凹凸のパターンも変更され操作性が向上。
距離目盛も細かく示されるようになり本格的な雰囲気が増している。
OPTIMA1535 フィルム実写作例
使用フィルム:Kodak Color Plus 200
Nikon ES-2でデジタイズ後、Adobe Lightroom+Negative Lab Proで書き出し
あくまで個人的な評価ですがAGFA OPTIMAシリーズはレンズ性能よりもデザインに対価を払うカメラだと思っています。
写りには不満もないので特に語ることが無いと言うか、ドイツ製のテッサータイプなら何も心配はないでしょう。
やはりこのカメラを唯一無二に成し得たのは、今でも通用する洗練されたモダンデザイン。
箱型のブラックボディにオレンジのシャッターボタン、大型ファインダーなどシンボリックな要素を無駄なく組み合わせた飽きのこないスタイルは傑作。
…まぁ写りが同じであるなら目測式の1035でも十分な満足度は得られると言うことでしょうね。
それでも精密なピント合わせにこだわりたい人の願望を叶えるのが1535です。とは言え距離計の基線長はかなり短く、視度補正レンズもありませんのでそれほど本格的なものとは言えませんね。
空のトーンが若干崩れ気味なのはフィルム感度設定を下げたので、少し露出オーバーになってしまった為かと思われます。
フジカラーのフィルムは次々と値上げや生産終了のアナウンスがされる度にフィルム愛好家達から落胆の声が聞こえてきますね…
個人的にはコスパの良い業務用100とC200がなくなったのは残念。
まぁ私もフィルムが完全消滅することはないと確信している一人で、悲観することなく気ままにフィルム撮影は続けていきます。今後はコダックのColorPlus200やULTRAMAX400辺りをメインにしていくつもり。
レンジファインダーの二重像合致式って神経質にピント合わせをする面倒臭いイメージでしたが、それは状態の悪いカメラに限った話ですね。
しっかり整備されたクリアなファインダー内でスムーズに動く二重像は快適そのもの。シャッターを切らなくても色んな被写体にピント合わせをするのが楽しくなる。
タイムラグの少ないセンサーレリーズはココ!と思った瞬間でバッチリ撮れる。キレの良い独特のシャッター音も愛着湧きます。
まとめ
私は手に入れて大満足のOPTIMA1535ですが、正直なところオススメは目測式の最上位である1035ですね。
理由は入手性と相場。
割と市場数がある1035に対し1535は極端に数が減り相場も数倍はする。
確かにこのボディでレンジファインダーと言うのは大いに価値がありますが、コンパクトレンジファインダーは選択肢が多いので、1535はOPTIMAに魅了された患者向けとなりますね笑
以上【AGFA OPTIMA1535 electronic sensor】のレビューでした。
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