【KONICA M-HEXANON DUAL 21-35mm F3.4-4】の外観レビュー
Mヘキサノンの最広角をカバーする限定生産レンズ
今回レンズレビューするのは【KONICA M-HEXANON DUAL 21-35mm F3.4-4】です。
ライカMマウントを採用したレンジファインダーカメラ「KONICA HEXAR RF (1999)」に付随する交換レンズ群『M-HEXANON』シリーズでは最後となる2002年に限定800本が販売された。
最大の特徴は21mm⇔35mmの焦点距離が切替え可能な2焦点レンズであること。Mマウントサイズで実現するには高度な光学設計と機械精度が求められる。
同様のコンセプトレンズはライカも2本製造しておりこちらは3焦点のトリエルマー。
・TRI-ELMAR-M 28-35-50mm F4 ASPH (1998)
・TRI-ELMAR-M 16-18-21mm F4 ASPH (2006)
マウント | コニカKM |
レンズ構成 | 10群11枚 |
絞り枚数 | 10枚 |
最短撮影距離 | 0.8m |
フィルター径 | 62mm |
全長×最大径 | 57×68mm |
重量 | 295g |
発売年 | 2002年 |
発売時価格 | ¥198,000 |
世に800本しか存在しないレアレンズの割に即完売とはならなかったようで、この個体は当時父親が売れ残りの処分価格で購入したもの。ヘキサーRFは持っていないのに買う気になるくらいに割引されていたそうです。
2000年前後に起きたライカ/クラシックカメラブームも終息しつつあり、ブームに乗じた限定品でも捌き切れないことは珍しくなくお買い得な時期でもあったとか。
今ではプレミア価格になって手が届かないレアモノも多数あるがこのレンズは発売から現在まで相場安定している。付属品完備だと定価以上は付きますね。
10群11枚からなるレンズ構成は21/35mmでのみ性能を追求した特別設計。中間域ではピントもまともに合わなくなる正真正銘の2焦点レンズです。
また他のM-HEXANONレンズと同じく貼り合わせ面を除く全てにマルチコートが施され高コントラストで色再現性に優れた描写を発揮する。
フォーカスは前群の回転繰り出しでレンズ銘板より内側のみが動く。フィルター枠は不回転で全長も変わらずフィルターを装着すれば疑似インナーフォーカスの感覚です。
フィルター径は「62mm」でレンジファインダー用レンズとしては大型…と言うか最大クラスでしょうね。
絞り羽根は「10枚」で比較的円形に配慮した絞り形状。
鏡胴に刻まれた各指標は21mmがオレンジ、35mmがグリーンで色分けされ識別しやすくまとまっている。
絞りリングには中間クリックあり、焦点距離リングも両端のクリックストップで確実な切り替え操作が行える。
最短撮影距離は「0.8m」一般的な距離計連動範囲の最短0.7mには届かないが不満と言うほどでもない。
フォカース操作は指を掛けるレバータイプで材質は鏡胴と同じく金属製。
焦点距離を切り替えると後群が移動しバックフォーカスも変化する。マウント面からレンズ先端までの全長は変わりません。
大きめの専用フードはファインダーや二重像のケラレに配慮して先端を角型にしたタイプ。装着はピンと溝を合わせてスライド固定させる。レンズフィルターとの干渉もありません。
装着後はレンズキャップが装着出来なくなるものの遮光性やレンズ先端の保護性能は高そうだ。
LEICA M10-Rに装着。フードと外付けファインダーVL-6も合わせたフル装備。なかなか存在感のあるシルエットで街中で威圧感を減らしたいならフードは外してもいいかも。
距離計連動するボディ側ファインダーは35mmフレームで固定される。
21/35mmフレーム対応の外付けファインダーはフィルムカメラだと構図確認に必須のアイテムだが、デジタルであれば21mm使用時はライブビューやEVF(ビゾフレックス)でカバー出来る。
同じく21mmに対応する「FUJIFILM VF-X21」と比較。
サイズはコニカの方が多少大きく外装は両方とも樹脂製。質感はよく似ている。
フジはコシナのOEMで間違いないのですが、なんとなくコニカもこれは…な雰囲気がありますね笑
FUJIFILM VF-X21 | KONICA VL-6 | |
視野率 | 85% | 88% |
倍率 | 0.42 | 0.4 |
アイポイント | 15mm | 15mm |
上の表はそれぞれの仕様で実際の見え心地としては一長一短のある印象。
倍率こそコニカがやや低いものの、視野率が広いため画面隅まで目配せしやすい。フジは接眼レンズが小さく眼の位置が中心から少しズレると接眼枠で遮られやすい。
視界の色合いはコニカが青っぽくフジはニュートラル。
内面反射はフジが断然優秀でコニカはゴーストが出やすい。
どちらも高品質な日本製ファインダーなのは確かで構図確認の役割としては十分です。ただコニカは限定品なので万が一紛失した時のダメージは大きいですね。
こちらはミラーレスのSONY α7IIIに装着したスタイル。このサイズ感とルックスはかなりの高得点を付けたくなる。
ただ最大の問題はαボディだとこのレンズの光学性能が大きくスポイルされるのです。
裏面照射型センサーによって周辺の色被りこそ出ないが、センサー前のカバーガラスが厚めに設計されたαは周辺画質がかなり残念なことになる。
よりガラス厚の薄いニコンZなら多少改善するかと思いますが、最薄ガラスかつ距離計連動するライカMボディで使ってやるのが最適でしょうね。
まとめ
Mマウントでは希少な2焦点レンズかつ限定品であるものの、スペック的に派手さは無いせいか特段注目されないポジションに収まっているのも一応納得は出来ますね。
製品クオリティとしてはかなり気合が入っており専用の付属品も充実して豪華だ。
そして最後に、M-HEXANONレンズをHEXAR RF以外のMマウントボディで使う場合に最も憂慮するのが距離計連動精度の問題。
コニカ自身はボディレンズ共にライカMではなく独自の「コニカKMマウント」と呼称し動作保証するのは自社製品の組み合わせのみとしています。
マウント形状はライカMを採用しているので装着は問題なく行えるが、ピント精度に関わるフランジバックや距離計カム/コロなどの設計値がライカとは微妙に違い相性の悪いボディがあると言われている。
これは特に初期製品に目立っていたようで、私もM10-Rと距離計が明らかにズレたレンズとカメラ店で遭遇しました。後期頃には互換性も改善されたと言われているが確信めいた情報は乏しいようです。独自のカム構造でライカボディ側に合わせて調整するのも難しいとか何とか。
幸いこのレンズはシリーズ最後期だからなのかM10-Rとの距離計精度は全く問題なく安心して使えます。
以上【KONICA M-HEXANON DUAL 21-35mm F3.4-4】の外観レビューでした。
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