ホームメーカー別PENTAX/RICOH【ソフトフォーカス】smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8 レビュー

【ソフトフォーカス】smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8 レビュー

AFソフトフォーカスレンズ【smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8】のレビュー

AF仕様のソフトフォーカスレンズ

今回のレンズレビューはPENTAXからフィルム時代に発売されたAFソフトフォーカスレンズ

【smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8】です。

1983~95年まで販売されその後はPENTAX-FA版にマイナーチェンジ。2005年までカタログに載り続けたロングセラーの光学系であった。

他にペンタックスの35mm用ソフトレンズでは
「smc PENTAX-FA SOFT 28mm F2.8」
「smc PENTAX SOFT 85mm F2.2」

があり特に85mm F2.2は“1群2枚”の思い切りの良すぎるレンズ構成が写し出す描写はかなりのクセ玉。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8
マウントペンタックスKAF
レンズ構成4群5枚
絞り枚数9枚
最短撮影距離0.5m
最大撮影倍率0.25倍
フィルター径52mm
全長×最大径60×65mm
重量300g

入手先はジャンク品からでレンズ内外にはカビが多数あり。

一通り分解清掃を実施しクリアにはなったがコーティングにはカビ跡がいくつか残った。まぁ実用では無視出来る位でしょうしクセのあるソフトレンズなので全くに気しない。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

外見上の特徴は絞りリングに設けられたソフト効果の指標。絞り込むほどにソフト量が弱くなって行くことが分かる。

絞りでソフト量=球面収差をコントロールするのは割と単純な手法で他メーカーではレンズの一部を移動させてソフト量を調節する凝ったものもある。

実際の絞り動作にはこのレンズ独自の仕様があり、
“F2.8~F5.6までは実絞り” それ以降は
“F5.6を開放に固定した自動絞り” になる。

素人視点ですがこれはソフト量で変わるファインダー像やフォーカスシフトなどを考えた結果なのかなと思います。

そしてKAFレンズでは例外的に絞りA位置がないんですよね。このレンズの構造上、止むを得ないのでしょうがボディによって機能制限が出ます。

K-3III以外のペンタックス デジ一眼だとPENTAX-Mなど電子接点なしのレンズとほぼ同じ使用感になるんじゃないでしょうか。適正露出を得るには「Mモードでグリーンボタン押しの実絞り測光」が必要。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8
F4

絞り羽根の枚数は「9枚」完全な円形絞りではないものの、ソフト量を調節する重要部位であることから丁寧な作りに見える。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8
F5.6

上がF5.6の絞り形状。Kマウントボディに装着してF5.6以降の絞り設定にするとこの状態で測光とAFを行う。

F2.8の単焦点なのにファインダー像はキットズーム並の明るさになってしまうがAFで使うのなら不自由しないでしょう。

またミラーレスでアダプターを介して使用する場合は通常のオールドレンズと同じ全絞り域での実絞り測光となり一眼レフよりも使いやすく、ソフト量の確認も遥かに楽。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

最短撮影距離は「0.5m」中望遠としては短い仕様で最大撮影倍率は「0.25倍」のクォーターマクロだ。

ピントリングはこの時期のAFレンズによくあるスカスカのトルクではなく、積極的なMF操作も考慮した節度あるトルク感で悪くない。クイックシフトフォーカスは登場前なのでありません。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

マウント側。KAFマウントなので電子接点やAFカプラーも備えている。

フォーカス時はレンズ前群を移動させて後群は固定されたまま。

これはフローティング機構の一種でペンタックス独自名称の「FREEシステム / 後群分離型フォーカシングシステム」を採用している。

マクロレンズなどに良く見られる方式で0.5mの最短距離の短さからも“ソフトマクロ”としての特性も盛り込んだレンズと言える。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

フィルム一眼レフのMZ-5Nに装着。この組み合わせは絞り優先AEが問題なく作動する。絞りA位置がないためP、Tvモードは不可。

AF速度もそこそこ早いですが、ソフト効果が強い設定だと緻密なピント精度は期待出来ません。AFセンサーの原理上、最新ボディでも同様だと思います。

このボディはMZ-Mのスプリット入りスクリーンに交換しているのでMFも難しくはない。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

smc PENTAX FA 50mm F1.4と並べてサイズ比較。

とてもコンパクトなFA50mm F1.4と比べても多少高さがある程度で手頃なサイズです。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

SONY α7IIIにアダプターを介して装着。

やや間延びしたフォルムだが頻繁に操作する絞りリングが指の届きやすい位置にあるため使い心地は中々良い。と言うよりも今後使うならこっちがメインでしょうね。

実写作例

ボディ:SONY α7III
Adobe LightroomでRAW現像 レンズ補正なし

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

最近はブラックミストフィルターなどが人気でソフト描写自体は一時期と比べると注目されてはいる。

しかし専用のソフトレンズはイロモノ感が強く直ぐに飽きられ需要は少ない。

現行でソフトレンズを作っているのはレンズベビーくらいじゃないでしょうか。ちなみに過去にはLensbaby Velvet56のレビューも書いています。

【ソフトマクロ】Lensbaby Velvet56 外観レビュー

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

普通に撮ってもあまり面白くない実感はあるのですが、前ボケを積極的に撮り入れると絵画調のようなボケの表現に面白さが見えてくる。

前ボケには主張の強い二線ボケが目立ち点光源があればバブルボケも発生。

球面収差を意図的に増大させたソフトレンズ全般で出るボケ方で一般的には好ましくないとされるボケだが、これがソフトレンズが今でも魅力を発揮出来るポイントと見た。

特にこのレンズは程よい望遠画角と最短距離0.5mの短さでボケを作りやすくフットワークも良い。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

前ボケをトンネル状に配置して撮影。ファインダー内にこの光景が現れるとおおってなります笑

被写体をソフトに写すのではなくクセボケを出すレンズとして使う方が色々と工夫が捗る。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

これは前ボケを入れずに普通に撮った写真。ハイライト部分のホワホワした滲みは典型的なソフトレンズの描写。良くも悪くも昭和っぽいかな。

手持ち撮影で構図ズレがありますが絞りごとのソフト効果の推移。

ソフト量最大のF2.8は使いにくさがあり、良い塩梅となるF3.5~F4辺りで撮ることほとんどでした。

F8は高コントラストで画面隅までシャッキリ写ってますね。ポートレート域に性能ピークを置いた設計と思われ、FREEシステムの効果もあるのか周辺画質は遠景よりも近距離のほうが良好です。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

撮っている最中から気付いたことは露出明るめに撮っても白トビしにくく、ハイライト耐性が意外と高い。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

飼い主と一緒にバラ園に来たサビ猫ちゃん。堂々と人間観察してました。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8
smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

左側に薄っすらですがバブルボケの傾向が見られる。口径食もほとんど出ないと思います。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

流石に被写体がバラばかりだと構図が似たり寄ったりになってしまいますね。

smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8

まとめ

今回の撮影スポットである「中之島バラ園」は何回も訪れていて正直マンネリ化していたものの、このレンズ一本で撮ってみると良い刺激になった。

Lensbaby Velvet56にハマっていた時はVelvet85も欲しくなってしまったが、大きく重いのが気になり購入には至らなかった。

代替として85mmのソフトレンズはジャンク品で入手したこのレンズでも十分に楽しめそうです。

以上【smc PENTAX-F SOFT 85mm F2.8】のレビューでした。



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