TAMRON 70-150mm F2.8 SOFT 51Aの実写レビュー
ソフト描写とボケのコントロールが楽しめるオールドズームレンズ
ボディ:SONY α7III
Adobe LightroomでRAW現像、レンズ補正なし
レンズ外観レビューは以下
【ソフトxズーム】TAMRON SP 70-150mm F2.8 SOFT 51A 外観レビュー
いきなりネガティブな評価となりますが何だか異様に疲れるレンズでしたね…別に大したものは撮ってないのに。
MFオールドズーム自体が久しぶりなこともあるのですがとにかく左手の操作が忙しかった。
当時はこれが普通の「ズーム/ピント/絞り」の3つのリング操作を行い、さらにソフト調節リングも加わるので単焦点のようにフィーリング重視でサクサク撮るのとはだいぶ違ってくる。
また電子接点のないズームはボディ内手振れ補正の焦点距離設定も適当に出来ないので結構面倒なんですよね。
このレンズが登場した1980年にF2.8通しの望遠ズームは純正を含む国内メーカーにはまだ存在しないはず。
一早く製品化したこの51Aは一般用途ではないソフトレンズとして設計したことで通常撮影にはやや難あり。と言うのが使用前のイメージでしたがソフトOFF時でも高コントラストで十分なシャープさもある。時代を考慮すればむしろ立派な性能と思えますね。
こちらはソフト効果を最大にした写真。ソフト効果よりも背景の奇妙なボケ味に注目してしまいますね。
調節可能なソフト効果の強弱については常に最大で微調整は絞りで行っても良いと思います。
以下の2枚はピントを合わせたアオサギの拡大。
細かい枝葉など背景にすればまさに絵画調と言うようなボケ味となる。若干ミラーレンズっぽさもありますね。
流石にここまでボケの主張が激しいと好みが分かれそうで被写体によっては背景に注意が必要になるだろう。
まあこんなイロモノレンズ使う時点で普通の写りは期待していないでしょうから欠点にはならない。
木漏れ日ではバブルボケが出現する。前回のLEDライトでの作例と同じく85~105mm辺りが輪郭が整いやすい。
また開放F2.8より半段だけ絞るとボケの輪郭はほぼ変わらずにソフト部分のコントラストが少し引き締まるので全体の見栄えは良くなる。
トリオプランなどバブルボケで有名なレンズと比べると口径食の差などで及ばない部分はあるが、それらは3群3枚の超シンプルなトリプレット構成ですからね。
それに比べこの51Aは10群14枚のズームでこのバブルボケなら文句は出ないでしょう。
こっちは2線ボケが顕著に出ている。バブルボケと同様に過剰補正タイプ特有の副産物だ。
このレンズの見所はソフト時のボケ味くらいかと思ってましたがもう一つあった。
「ソフトOFF+テレ端+最短」だと周辺光量が大きく落ちトンネル効果により中心の被写体が際立つ印象的な写真になる。絞りは開放から一段未満の間がちょうど良い感じ。
単焦点ほどのピントのキレこそないもののコントラストは高く、ボケ味もソフト時より自然な印象だ。
川岸にヌートリア。ハトやカモと一緒に餌やりの人からパンを貰ってました。
真面目に解像力を確かめるようなレンズでもないけど遠景の拡大を一枚だけ。
F11まで絞れば周辺まで不足のないレベルまで解像する。これはワイド端の70mmも同様でした。
ソフト機構を組み込んだことで周辺画質は犠牲にしていると思ってましたが同時代のズームと遜色はなさそう。ソフトに切り替えた場合は周辺は流れたままでしたね。
まとめ
撮り方によって面白い描写が得られる特異なズームレンズであることは確かなんですが、操作性やサイズ感などに気軽さは感じられず何度も持ち出したくなるほどの魅力には乏しいかな。
こう言えるのはジャンク価格で入手出来たからなのでしょうけど、アダプトールレンズとしては最上級のレア度で高値の相場となっており希少レンズを体験出来た満足度は大きい。
とは言えバブルボケレンズについては新品で買える「銘匠光学 TTArtisan 100mm f2.8」が発売されたことからコンディションにムラのあるオールドレンズに手を出すリスクは無くなりましたからね。
実用レンズとしてガッツリ使うよりはコレクションとして大事にしようかなと思います。
以上【TAMRON 70-150mm F2.8 SOFT 51A】の実写レビューでした。
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