ライカMマウント【MINOLTA M-ROKKOR 28mm f2.8】の外観レビュー
ライカMマウントの日本製ロッコールレンズ
【MINOLTA M-ROKKOR 28mm f2.8】は1981年に発売されたレンジファンダーカメラ「ミノルタCLE」と共に登場したライカMマウントの広角レンズ。
ミノルタCLEはライカとミノルタが提携開発したレンジファンダーカメラ「ライカCL / ライツミノルタCL (1973)」の後継機種にあたるが、ライカは開発に携わることなくミノルタの単独開発となりボディやレンズ群にライカ銘は使用されていない。
これは当時「露出設定は撮影者に委ねられるべきだ」と言うライカがミノルタCLEの絞り優先AE機能=電子シャッター化に難色を示したと言うのが有力だ。
そしてM-ROKKOR 28mm f2.8も当然ミノルタ独自開発となり純然たる“ロッコール”レンズとなった。
レンジファインダー用の交換レンズはファインダーとの兼ね合いから広角レンズが人気で値崩れとは無縁だ。
だがこのレンズの中古相場はおおよそ平均2万円台、安いものは1万円台後半で落札されている場合もある。Mマウントの広角レンズとしては驚くほど格安。
当時から評価も高くライカ純正のエルマリートと遜色がないとも言われた。これはコストパフォーマンスに優れた銘玉か!?
…と思いきや要注意しなければいけないことがある。
既に有名ではあるがこのレンズは高確率で《気泡状のクモリ》が発生しているのだ。発生箇所は前玉の裏側でコーティングの劣化などが原因とか。後は稀に中玉のバルサム切れ個体もあります。
レンズの内部構造に知識があれば前玉の裏なら割と簡単な分解清掃で済むんじゃないの?と思うかもしれませんが、
厄介なことに前玉側のレンズ群が一体型のユニットとして密閉成型されており通常の分解ではまず到達出来ない構造。
当時のミノルタでも前群ユニットごとの修理交換となっていたようだが結局は再発したとか。
荒療治で分解清掃してる方も見かけますが、そこまでするにはなかなか勇気が必要だし完治も不能のようです。
私の手元にあるのは父親が当時購入した個体で製造ロットの差か保管状態が良かったのか分からないがLEDライトで照らすと、ほんのわずかなクモリがある程度で描写への影響は無視して良いレベルだと確認した。
これからの購入にあたってアフターフォローのある有名カメラ店の中古品ならともかく、オクやフリマなどの個人間売買で入手を考えている人は決して価格だけに釣られず慎重に状態を確認した方が良いと思います。曖昧な表現をしている出品者はトラブルの元。
マウント | ライカM |
レンズ構成 | 5群7枚 |
最短撮影距離 | 0.8m |
絞り枚数 | 10枚 |
フィルター径 | 40.5mm |
全長×最大径 | 35.5×51mm |
重量 | 135g |
発売時価格 | ¥54,000 |
レンズ外観
SONY α7IIIへ装着。レンジファインダー用の小型レンズだけあってスマート&レトロモダンなデザインもGood
カメラバックへの収まりも良くミラーレスの小型ボディが活きますね。
ただレンジファインダー用レンズにバランスの良いボディサイズはα7IIIくらいが限界でこれ以上大きくなると、どうかな?と言うのが個人的な感想。
前玉側から。フィルター径は「40.5mm」
クモリの個体は結露した窓ガラスのようなヒドイ状態で、合わせて経年劣化に伴う斑状のコバ落ちなども一目で確認できます。
レンズコーティングはパッと見で色彩が薄く、シングルコート?と思わせますが、しっかりとミノルタ自慢のアクロマチック・コーティングが施されているようです。
実際に使用してみてもフレア・ゴーストの影響は少なく逆光耐性は優秀。
絞り枚数は「10枚」で円形絞りには及ばないが比較的整った形。
最短撮影距離は「0.8m」です。
これにコシナフォクトレンダー「VM E-Close Focus Adapter」で最大まで繰り出すと「約23.5cm」程度まで寄れるようになり一眼レフ用の28mmと同等以上の接写性能を発揮します。
絞りリングは半段絞りにもクリックあり。コチコチと軽快ながらもしっかりとしたレスポンスのある操作性が秀逸。
マウント側から。光の反射でマルチコーティング仕様なのが分かりますね。
レンズ構成はミノルタCLEのTTL測光方式に合わせてバックフォーカス(レンズ後玉から撮像面までの距離)を長く確保できる「レトロフォーカス型」を採用しています。
当時のカタログやカメラ誌の一部では「対称型」とも紹介されているがこれレトロフォーカスで合ってますよね??
フルサイズミラーレスでフィルム時代のレンジファインダー用広角レンズを使用する際は、
画面周辺の「マゼンタ被り」と「結像の流れ」の懸念がありレンズ本来の性能を発揮できない場合がある。
ツァイス ビオゴンをはじめとした「対称型広角」設計のレンズが特に影響が強い傾向。
それらと比べるとレトロフォーカス型の本レンズは画質への影響はごく軽微なことを確認している。
また年々向上するボディ側のセンサー性能による改善もあり特に裏面照射型センサーは明らかな画質改善が認められるそうだ。
この辺りの話はテレセントリック性が云々…で普通に写真を楽しむ上では知る必要のない領域になってきます笑
…まあデジタル一眼でフィルム時代のオールドレンズを使う上では、大なり小なりある程度の妥協は必要、と個人的には思いますがね。
専用フードは金属製の上質なものが用意されています。装着はバヨネット式で収納時は逆さまに装着可能。
M-ROKKORレンズには他に「40mm F2」「90mm F4」がありますが、これらの専用フードはネジ込み式のラバー製で今一つ質感に欠けます。
専用メタルフードが用意された「28mm F2.8」はメーカーの自信の表れがうかがえますね。
【MINOLTA M-ROKKOR 28mm f2.8】の外観レビューは以上です。
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