液晶プロジェクター【PHILIPS LCP-5200】の投影レンズをミラーレス用に改造してみました。
目次
激レアなPHILIPSレンズをミラーレスに装着!
SONY CPJ-200に続き液晶プロジェクターの改造レンズ2本目。
今回は1995年発売の【PHILIPS LCP-5200】です。
18万画素液晶 定価は¥95,000ほどだった。しかし今となっては無価値に等しいのがこの手のアナログ製品の宿命。
個人的なPHILIPS/フィリップスのイメージは電気シェーバーとかバリカンなどの理容家電が真っ先に浮かぶメーカーでしたが映像関連の製品も多数手がけているようです。
液晶プロジェクターとしては小型で独特な外観。投影レンズと液晶パネルの配置は屈折光学を利用している。
お目当てのレンズはコレ【PHILIPS 35mm F1.7】
プロジェクターレンズにしては珍しい広角大口径が興味を惹く。
37mmのフィルター溝がありレンズキャップも付けられる。
銘板にはLENS MADE IN JAPANの文字。
設計、製造メーカーは推測も出来ないがOEMの可能性が高い。前機種からレンズの大口径化を図ったことがウリの一つだったようなのでこだわりがあるものにしたかったのでしょうか。
レンズを取り外してみました。分解の必要はなくピント調節用のヘリコイドを回して行くだけでポロリと外れた。
レンズユニットはかなり小柄。
SONY CPJ-200より液晶サイズが小さいので大体想像は付いていたが、やはりイメージサークルも小さくフルサイズだとクラレと強い歪曲があり実用はかなり厳しい感じ。
と言うことでAPS-Cのα6300に取り付けてみました。画角は約52.5mmの標準域となり広角大口径の魅力は薄れるものの仕方ない。
当初ピント合わせは手動のヘリコイドアダプターで行うつもりだったが、AFアダプター「LM-EA7」でもフランジバックに問題がなくAFレンズとして使うことにした。ただしピントリングはないのでMFは一切出来ない。
まぁライカM or M42⇒SONY Eのヘリコイドアダプターに付け替えればフランジバックそのままにMF版への換装も出来る。
改造レンズ単体だとこんな感じ。
改造はかなり簡単で2種類のM42接写リングNo.1を取り付けただけ。
1つはPENTAX製でその中にレンズユニットを通してエポキシ接着。リング内部の段差で止まり内径もピッタリ。これにより光軸合わせは一切不要。
2つ目は中華製を連結。これはPENTAX製よりもわずかに短く無限遠を出すのに都合が良い。
後はM42からライカMへ変換しLM-EA7へ。
ちなみに取り付けている「K&F CONCEPT M42-LM」はLM-EA7に干渉せずに装着できる改良バージョンです。
マウント面を見るとバックフォーカスには結構余裕がある。
どう工夫しても無限遠が出せなかったCPJ-200の55mm F1.5と同じような結果も覚悟していたが案外すんなりとクリアした。
実写作例
ボディはα6300
Adobe LightroomでRAW現像 レンズ補正なし
PHILIPS 35mm F1.7の一番の特徴は中央部の解像度の高さ。同スペックのオールドレンズと比べても遜色のないレベルで、プロジェクターレンズとしては異例の描写性能。しかし中間域からの画質はへろへろですが。
また期待していたボケ味は良くも悪くも“普通”でクセ玉とはならなかったのは残念だ。
条件が良ければプロジェクターレンズとは思えぬピントのキレを見せる。
コントラストも高くAFもキビキビと合い、逆行耐性も並のオールドレンズに負けない実力がある。
LM-EA7のマクロモードで撮影。最短撮影距離は「約0.35m」
ボケは若干グルグル傾向はあるものの目立ったクセはなく、玉ボケにバブルボケは出ません。
プロジェクターレンズの特性と言うべきか遠景描写は明らかに性能が低下。
まとめ
写真用レンズと比べると粗は多いが、想像以上に真っ当な写りでプロジェクターレンズとしての面白みには欠けるかな。
一番の成果は、躊躇なく廃棄されそうなプロジェクターからPHILIPS銘の交換レンズを作り出せたことかも。
液晶プロジェクターはスライド用と比べズームレンズが多く思ってた以上に使えそうな玉が見つからない。
中には「135mm F1.0」なんてプロジェクターレンズを見つけて驚愕しましたが、サイズ重量的に物理的に改造不可な代物でした笑 なんせプロジェクター本体で30kgはありましたからね。
以上「PHILIPS LCP-5200/35mm F1.7」の改造レンズレビューでした。