SONY Eマウント用の準広角単焦点【ZEISS Loxia 35mm F2】のレビュー
Eマウント用の35mmレンズにLoxiaを選択
ソニーEマウント用の35mm単焦点は純正・サードメーカー含め激戦区でもはや飽和状態。
その中から使い勝手や予算などを踏まえ何本か購入候補を決めた末に
【ZEISS Loxia 35mm F2】を導入しました。
他の候補であるコスパの良い「SONY FE 35mm F1.8」でも十分に満足出来たでしょうが、レンズ沼を拗らせた者から見るとやや個性に欠ける。
もう少し予算を増やして「Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2」でもアリかと考えたが精製水の如く不純物を排除した描写は持て余しそうだと判断。
う~んまぁそもそも35mmホントに要るかなぁ?なんて冷静に考え始め出して今回は物欲に打ち勝った…
…と思った矢先でタイミング良く?Loxia35mmの美品の出物があり、かなり満足の行く値段で手に入った。立派な元箱などの付属品も完備です。
新品は中々のお値段ですが2014年発売と言うこともあり中古相場は落ち着いている。現行のツァイスレンズとしてはお手軽な部類でしょうね。
マウント | SONY E |
レンズ構成 | 6群9枚 |
絞り枚数 | 10枚 |
最短撮影距離 | 0.3m |
フィルター径 | 52mm |
全長×最大径 | 59×62mm |
重量 | 340g |
発売年月 | 2014/12 |
SONY α7IIIに装着。ネイティブEマウントレンズなだけあり、デザインも含めボディとのフィット感は満点。
ただ、レンズ着脱がやや硬く撮影時のスムーズなレンズ交換は難しそう。ピントリングや絞りリングなどの操作部分を強く掴んで回すのは極力避けたい。
ピントリングは電子式のバイワイヤではない繊細なヘリコイドのトルクを堪能出来る。準広角としては回転角が幅広く作っているのも高級感がある。
フォーカスは繰り出し式で全長が少し伸びます。
絞りリングはマウント根元なので指の添え方次第で少々窮屈に感じる。とは言え、適度なクリック感を持ちながら人差し指一本でも操作出来るスムーズさは秀逸だ。
絞りクリックは1/3段刻み。デクリック機能付きで無段階操作に切り替え可能。
付属品の専用レンズフードを装着
フード本体は金属製で内側は反射防止の植毛紙が貼られた上質な作り。装着部のバヨネット部品はプラ製ですがこの方がレンズ側が擦れなくて良い。
絞り羽根は「10枚」と多めですが円形絞りではありません。ほとんどのケースでは気にならないはずですが、イルミネーションなどの点光源では玉ボケに角が出ます。
ちなみにLoxiaシリーズはボディ側より絞りのコントロールは行えません。また対応する撮影モードは「絞り優先」「マニュアル」のみです。
レンズ銘板にはBiogon銘入り。フィルター径は「52mm」
ミラーレス専用設計であることを活かして後玉はマウント近くまで後退している。
マウント外周には印象的なブルーのゴムスカートがあり防塵防滴に配慮。
絞りのデクリック機能はマウント面に設けられたスイッチを同梱の専用ツールを使って切り替える。
世代的に同じ時期のEマウント ツァイスレンズである「SONY FE Sonnar 55mm F1.8 ZA」と並べてみる。
直径はほぼ同じで全長はLoxia35が頭一つ分低くコンパクトさが際立つ。
ちなみにツァイス製品は2013年頃からブランド表記を【ZEISS】に統一したそうです。それとイメージカラーはブルーかな。
馴染み深い【Carl Zeiss】は社名として使われ続けるそうだ。
ミラーレス専用“Biogon”は階調表現に優れた描写
ボディ:SONY α7III
Adobe LightroomでRAW現像
レンズプロファイルは埋め込み式でレンズ補正は自動適用。
2014年発売で年月の経つLoxia35は既に評価は固まっているレンズです。
主な特徴としては
・開放描写は柔らかい
・自然な表現のボケ
・歪曲は実質ゼロ
と言った所で、特に現代レンズとしては甘めの開放付近の描写は好みが分かれるポイントでしょう。
個人的には普段からオールドレンズを使う撮影スタイルなので余裕で許容範囲内です。
今回の撮影で最も感心させられたのは豊かな階調表現。
α7IIIの液晶性能は今や低い部類に入るので撮影中にこれを実感することはなかったが、PCのRAW編集画面で見ると安定したトーンで白とびや黒つぶれがなく素直に現像出来る写真ばかりであった。
ただJPEG撮って出しだと印象は少し変わるかも知れませんね。
最短撮影距離は「0.3m」と35mmとしてごく普通だが十分な近接性能を持つ。
ピントリングの回転角は大きいのでピントのピーク位置は緻密に探れる。
ザワザワしがちな草木の背景ボケは比較的穏やか。
F2 ピント部拡大
最も解像する中央でも開放は柔らかくピント部の周りに滲み(ハロ)も見える。
しかし画面全体のコントラストは高く、同等のスペックのオールドレンズなどと比べると明らかに現代レンズらしい余裕がある。
梅の花を開放で撮ってみた。これも優れたコントラストで被写体の立体感も見事なものだと思いますね。
ボケを撮り入れたスナップ撮影ならF2~2.8辺りの微妙に変化して行くピントのキレとボケの具合を見ながら小刻みに絞りを変えるのが面白い。
まぁシャッターチャンス優先ならそんなのんびりしてられませんがね笑
かなりアオリの構図だが歪みは全く感じさせない。
後で確認しましたがこのレンズはボディ側のレンズ補正をオートにしても歪曲補正は一切掛けられておらず100%光学設計による実力です。あっぱれビオゴン。
手前の植物をボカすためにF2で遠景を撮ってみた。開放でも一応写るものはしっかり写ってます。
ただ日中でも周辺にコマ収差が見えることもあり、夜景では目立つかなと思います。
Loxiaシリーズは他に21mm/25mm/50mm/85mm/がありそれらは万能的な性能評価がされているのに対してこの35mmの描写性は浮いた存在とも言える。
これで思い出すのはかつての京セラ コンタックスGシリーズの“Planar T*35mm F2”だ。このレンズもなかなか個性的で過去のレビューでも取り上げた。
せっかく2本が手元にありますから撮り比べしてみても面白いでしょうね。
追記:性能比較してみました
【Biogon vs. Planar】Carl Zeiss 35mm F2 実写比較レビュー
まとめ
Loxia35mm F2はツァイスらしい設計思想を感じることが出来るレンズ。崩した言い方をすれば設計者の趣味がハッキリと現れたレンズに思えます笑
MF専用であることも含め描写にも嗜好性があるので撮影用途によって不向きはあるでしょうね。
LoxiaシリーズはBatisやOtusのように最新光学を惜しみなく注いだハイクラスのラインアップではないことは確かで、目指しているのはコシナの「Zeiss ZM」やかつての「CONTAX G」が近いと思う。
個人的にはLoxiaを選んで良かったと実感しているので35mmはしばらくこれで撮ってみるつもりです。
以上【ZEISS Loxia 35mm F2】のレビューでした。
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