2本のRollei QBMレンズのレビュー
ドイツ・ローライ製一眼レフ用の交換レンズ
今回は以前から所有していたものの放置していたローライQBMの2本の単焦点レンズをレビューします。
- Rollei Planar 50mm F1.4 HFT
- Schneider-Kreuznach SL-Tele Xenar 135mm F3.5
Rollei QBM(Quick Bayonet Mount )は1970~80年代まで展開していたローライの35mm一眼レフ「Rolleiflex」用のレンズ交換式マウントシステム。
ボディはごく普通の一眼レフから唯一無二のスタイルが話題となったRolleiflex SL2000/3000シリーズなどがある。
レンズラインナップはフィッシュアイから超望遠にズームまでカバーした充実ぶりだが同時にレンズブランドの雑多感も否めない。
ツァイスを始めフォクトレンダーやシュナイダーなどのドイツ老舗メーカー群から廉価な日本製ローライナーまで多様でスペック被りなどもあり全容把握が難しい。
当時は日本製カメラの圧倒的攻勢の前に何とかカメラ事業の継続を模索していたのが実情だが、その取っ付き難いイメージは現在もありオールドレンズとしての人気は今一つな印象だ。
高級ラインにはツァイス銘の「18mm F4」「28mm F2」「 35mm F1.4」「85mm F1.4」などコンタレックスやコンタックス/ヤシカと同じ設計の流れを汲む高性能レンズが何本か存在するがこれらは流通数や相場的にもほぼコレクター向け。
他の普及スペックレンズも入手性の良いコンタックス/ヤシカ版と比べるとあえて選ぶ理由は低いですね。
レンズ構成 | 6群7枚 |
絞り枚数 | 6枚 |
最短撮影距離 | 0.45m |
フィルター径 | 49mm |
標準レンズの「Planar 50mm F1.4 HFT」はローライQBMレンズの花形でこれとF1.8が最も多く流通している。
この個体は前期型でピント&絞りリングが金属ローレットタイプ。製造は旧西ドイツでツァイス純度の高いプラナーだ。
後期型(カタログ画像のRolleiflex SL2000Fに付いてるやつ)は各リングがゴム巻きになりシンガポール製(最初期はドイツ製)となった。
コーティングはローライ独自のHFT(High-Fidelity-Transfer)が施されておりレンズの反射色から一目でマルチコートと分かる。
HFTはツァイスT*コーティングと比較されがちでヤシコン版のプラナー50mm F1.4と描写性の違いがよくネタにされる。
レンズ構成 | 5群5枚 |
絞り枚数 | 5枚 |
最短撮影距離 | 1.5m |
フィルター径 | 49mm |
シュナイダー銘の「SL-Tele Xenar 135mm F3.5」は開放値を抑えたコンパクトな望遠レンズ。
こちらも金属鏡胴のしっかりとした作り。組込み式のレンズフードは樹脂製であるがチープさはなくグッタペルカ風の意匠が舶来カメラらしさを感じる。
レンズコーティングに特別な仕様はなく時代的にごく普通のモノコートに見える。
Planar 50mm F1.4 HFT 作例
ボディ:SONY α7III
Adobe LightroomでRAW現像、レンズ補正なし
今回はコスモスがメインの撮影。ボケ重視の写真が多いと思いますがレンズの性質はある程度伝わるかと思います。
レンズ構成はスタンダードな6群7枚の変形ダブルガウス。ある意味安心出来るオールドレンズらしい絞りを効かせた描写の変化が味わえる。
開放付近の周辺光量落ちは結構出ますね。
開放から条件を問わず割とコントラストの高い描写を見せるが、逆光耐性についてはやや敏感な印象がある。
上の写真は画面左側に曲線のゴーストが縦断してますね。レンズ縁の反射かな。
これは確かF4位まで絞った状態。開放だと画面中にシャワー状のゴースト/フレアが出ていた。フードや手をかざせばカット出来たと思うが意図的に出そうと思えば簡単に出る。
主観では日本製のヤシコンプラナーよりもクラシカルな描写性がありオールドレンズの個性として見た場合は絶妙なバランスの使い心地があった。
SL-Tele Xenar 135mm F3.5 作例
かつては望遠の入門だった「135mm F3.5」は現在使うオールドレンズとしてあまりにも平凡で訴求力に乏しい不人気上位のレンズスペック。
そこら中にある日本メーカー製では特に使いたくなる魅力を感じないが、ドイツ製シュナイダー銘が付くレンズであれば何か特別なものを秘めているのではと安易な期待をしてしまうんですね笑
使ってみた結果としては非常に実直な写りで開放値の暗さが全くハンデと感じない優秀な単焦点でした。
開放から画面全体のコントラスト、シャープが安定しておりピントの山も掴みやすい。
特筆する絶品のボケ味と言ったものは感じないが前後のボケや玉ボケにクセはなく被写体と自然に馴染む。口径食も別に気にする程でもありません。
逆光耐性についてはやや弱いと思います。特に厳しくない条件でもフレアが出やすい印象だった。見た目は格好良い引き出し式フードも大きな効果は期待出来ないでしょうね。
上の写真は右上にややフレアがありシャドウが浮いている。まあこのシーンだとネガティブな要素ではなくむしろアリなんじゃないかと思いますけどね。
これは最短撮影距離の1.5mで撮影。
まとめ
今回は50mmと135mmの広角域を捨てた単焦点コンビでしたが撮りたいと思うものは十分に撮れる結果だった。
Planar50mm F1.4はまあダブルガウスの予想範囲内の描写、Tele Xenar135mm F3.5は予想以上に使いやすく歩留りの高さに感心した。共にコンパクトなサイズであることも良ポイント。
正直な所、興味も薄れてきて適当なタイミングで手放そうかと思っていた2本のレンズだったのですが使ってみると良さが分かり暫定キープに変更ですね。
QBMレンズはこれ以上集める気も起きないが、手ごろに入手出来るレンズは何本かあるので気になる人は試してみてもいいんじゃないでしょうか。
以上、Rollei QBMレンズのレビューでした。
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