高級コンパクトカメラ【Rollei AFM35】の外観レビュー
RolleiとFUJIFILMが共鳴する高級コンパクトフィルムカメラ
今回レビューするのは2001年に発売された
高級コンパクトフィルムカメラ【Rollei AFM35】です。
このカメラの入手は2年程前になります。既に数本フィルム撮影してますが、どんどん後回しになりレビューする機会を見逃していた。最近のネタ不足によってようやく登場となりました笑
コンセプトとしては“銘機ローライ35の基本を受け継ぐ”と言うことだが、まぁ隠すまでもなく同年の「富士フイルム KLASSE/クラッセ」をベースとしたOEM製品。性能に違いはなく外観ロゴなどを変更したものです。
この時期、フジはローライへOEMカメラを供給しており「Pregoシリーズ」の中にもいくつか確認出来る。
以下、レビュー内容はAFM35とKLASSEごちゃ混ぜで進めます笑
フォーマット | 24×36mm 35mmフィルム |
レンズ | S-Apogon 38mm F2.6 HFT 3群4枚・最短撮影距離0.4m |
シャッター | 1/2~1/290秒(F2.6時) ~1/1000(F16時)・B |
フォーカス | 外部パッシブ式、AF・MFモード、AFロック可 |
ファインダー | 実像式、視野率85%・倍率0.48倍 |
露出制御 | Cds外部測光、プログラムAE・絞り優先AE |
その他 | 露出補正±0.5~1.0EV、逆光補正+2EV、 AEB撮影±0.5~1.0EV、内蔵ストロボ(GN11)、 セルフタイマー、デート日付機能 |
使用電池 | リチウム電池 CR-2×1 |
外寸 | 123×63.5×37mm |
重量 | 250g |
発売時価格 | ¥89,800 |
ベースのKLASSEは定価¥77,000と他メーカーの高級コンパクトと比べ割安な価格設定であった。
ただ、それらと同水準のカメラと言う訳ではなく細かい仕様や操作性などには価格なりの割り切りが確実にあります。プロ・ハイアマの需要も汲む高級コンパクトとしては一応の仲間入り的な扱いとされていた。
最後発で参入したフジの戦略は高級コンパクトの敷居を下げることでより広い層のユーザーを取り込むことを重視。フルオートで撮影する分には他社と遜色のない実力はしっかり持っていますし、
高性能レンズとAEB/オートブラケティング機能を活かし、露出にシビアな“リバーサルフィルム推奨”を謳う位には自信を持っていた。
2007年には弱点をほぼ全て改良したKLASSE W/Sが発売された。
全体デザインはクラシック風スタイルで間延びなくメリハリが効いたディテール。グリップラバーが単なる角形ではなく微妙な角度でカットしているのも細かい。
ローライのプレスロゴが入った肩部分はクラッセでは空白の場所だが後付け感もなく馴染んでいる。外装はマグネシウム合金とアルミニウム。
サイズは他社と比べやや大きい分ホールド性に優れ、指の置き場所にも窮屈さはない。
ストラップ金具は左右にあり“両吊り”が出来るのはコンパクト機で何気に貴重。
搭載レンズは「S-Apogon 38mm F2.6」でスペック、構成もクラッセの「SUPER-EBC FUJINON」と全く同じ。上の画像はF4時の絞り形状。
レンズ構成は3群4枚テッサータイプ。1群目に非球面レンズを採用。テッサータイプで定番≒限界のF2.8ではなくF2.6で仕上げたのは開放性能に自信があるからだとか。
レンズコーティングにはローライ独自の“HFTコート”が施されクラッセのスーパーEBCコートとは反射色が違い、まんま流用したものではないそうです。
高級コンパクトでテッサー型と言うのは、他社の贅沢なレンズ構成と比べれば低コストな印象もあるが、見方を変えれば完成の域にあったテッサーをさらに磨き上げたテッサー採用コンパクトの最終型と言っても大げさではないと思う。
レンズの脇にはフォーカスダイヤル。各指標にクリックあり。個人的に使うのは遠景をキッチリ撮りたい時に∞に固定する程度ですね。
他に例えばフォーカスは5m、絞りをF8かF11に固定すれば日中のパンフォーカススナップと言った使い方も可能。
ダイヤル中央はロックボタン。AF設定時にロックが掛かります。
ボディ上部。各ボタンやダイヤルはスッキリと配置されている。液晶画面の各設定表示も分かりやすい。
ただし露出補正の煩わしさは説明書なしだと機能があることにさえ気付かないレベル。
設定階層をブラケティングと一緒くたにしているため2ヶ所のボタンを何度も押さなければならず、一回でも押し間違えるとほぼやり直し。
流石に不評だったのか後継のクラッセW/Sでは前面フォーカスダイヤル部分を露出補正レバーに変え独立させている。
電源オフでストロボ発光禁止をはじめ各設定がリセットされる点は残念。ストロボオート時は1/45秒以下になると自動発光。5分間操作なしでパワーオフモードになる。
右肩のダイヤルは電源とP、Aモード切り替えを一つにまとめたシンプルで機能的なもの。
ダイヤルのロック機能はないが手応えのあるクリック感で誤操作もなく不意に回らない。
指掛かりの良さとクラシック感を醸す側面の綾目ローレット加工はコストを掛けたこだわりポイントだ。これはフォーカスダイヤルにも施されている。
シャッターボタンにはグリーンの差し色が入れられており、この時期のローライコンパクトのアイコンカラーとなっている。
実像式のファインダーは視認性が高く倍率0.48も上々。
ファインダー内にシャッター速度の表示がないのは他社に劣る。AEB・MF設定時には下部に表示が出ます。AFやストロボのサインはファインダー右外のランプから。
ボディ背面。ファインダー横にはデート機能と途中巻き戻しボタン。デート日付は2040年まで対応。
ベースのクラッセもそうなのだが、裏蓋の塗装強度が他の部分と比べ明らかに弱く傷みやすい。流通個体を見ても無傷のものは少ないです。
これは我慢して使うしかない…と思っていた所に程なくして本体以上に珍しい純正のケースが激安で手に入った。
これで裏蓋のダメージを隠しつつ保護も出来る。ホールド性もさらに向上するので必須アイテムだ。何より見た目が良い。
フィルム室内の圧着板やガイドレールは金属製でしっかりと作り込まれています。モルトは結構細かく使われてますね。
ボディ底面。製造国表示はないですけど
クラッセと同じく「MADE IN INDONESIA」かと思われます。
使用電池はリチウムCR-2を一本。コスパに優れる充電式でも問題なく作動しました。本体と分離する電池蓋は紛失に注意。
最後に3つのコンパクトカメラと並べてみた
左奥から「Rollei QZ35W」「Rollei AFM35」「Leica mini」
超高級コンパクトのQZ35Wはサイズも動作音も一番大きい。
所有する中ではライカミニのサイズが最も近かった。まぁ外装は金属とプラなので質感はかなり違いますがね。それでもライカミニのエルマーレンズは魅力的です。
まとめ
高級コンパクトが完全に成熟した2001年発売で新しく特定の持病もない。
憶測ですが大きめのボディサイズが内部機構に余裕を与えているのではないでしょうかね。無理な小型化は電子部品などに不具合が出易いイメージです。
大人気ながらいくつも持病を抱えるCONTAX T2(1991)よりかは安心度はケタ違いだと思いますね。愛用している人には悪いですがT2はもう投機商材と化してますので…
このRollei AFM35と初代KLASSEは私が入手した時と比べると数は減り、相場も少し上がりましたが定価以下も狙える常識的な価格に見えます。
多くを求めなければコンパクトカメラはこれ一台で十分に所有欲は満せるはず。まぁ私が言っても説得力はゼロですがね笑
以上「Rollei AFM35」の外観レビューでした。
コメントを残す