ヤシカの標準レンズ【AUTO YASHINON-DS 50mm F1.7】のレビュー
手頃かつ手堅い富岡光学製の標準レンズ
【YASHICA AUTO YASINON-DS 50mm F1.7】はヤシカから1960年代末期~70年代初頭ごろに発売されたM42マウントの標準レンズ。上位レンズとしてF1.4、下位にはF1.9のモデルが用意されていたようです。
ヤシカM42マウントの50mm F1.7は割と短いスパンでモデル変更があったようで、YASHINON-DX⇒DS⇒DS-Mの流れになる。
流通数はレアと言う程ではないが、いずれも少なめ。中古相場に大きな差はなく安価に入手できる。
あまり日の当たることがないレンズですが、ヤシカブランドであることから富岡光学製であることは確定。描写性能はなかなか期待出来そうです。
マウント | M42スクリュー |
レンズ構成 | 5群6枚 |
絞り枚数 | 6枚 |
最短撮影距離 | 0.5m |
フィルター径 | 52mm |
全長 | 約40mm |
重量 | 約227g |
レンズ外観
SONY α7IIIにマウントアダプターを介して装着。ミラーレスの軽快さを損なわない手頃なサイズの標準レンズです。特徴的なピントリングゴムのローレットも指掛かりが良い。
ブラック鏡胴とオレンジの文字指標は後のヤシカコンタックスやヤシカMLレンズに通じるデザインでα7シリーズとの親和性も良好。
最短撮影距離は「0.5m」と一般的な0.45mより少し長い。ここはもう少し頑張って欲しかったところ。
絞りリングはF1.7の次にある・マーク(F2相当)にクリックあり。それ以降は一段ずつのクリックです。
絞り羽根は「6枚」で角が少し緩い六角形です。フィルター径は「52mm」
レンズコーティングはアンバー/パープルのモノコート仕様。
マウント面。絞り連動ピンのみが付いたシンプルなM42マウントです。
このレンズはM42レンズに良くある「Auto⇔Manual 切替えレバー」のない自動絞り専用レンズなのでマウントアダプター使用時は“押しピンタイプ”を選択しなければなりません。
またこのレンズの特徴の一つとしてレンズ後群にトリウムレンズが採用されており、経年による黄変が発生しています。黄変の程度は見た目では軽微でタクマーほどではない。
実写比較
ここで簡単なものですが「RICOH XR RIKENON 50mm f2」との比較をしてみました。同じスペックの「MINOLTA ROKKOR-PF 50mm F1.7」辺りでも持ってたら良かったんですが仕方ない。
共に富岡光学製で5群6枚 ダブルガウスタイプの標準レンズ。
ボディ:SONY α7III
被写体のブリキ人形との距離は約60cm
Adobe Lightroomの同パラメーターでRAW現像
※画像比較をタブ切り替え式に変更しました。
まず一目で分かるのは色合いの大きな違い!
ホワイトバランスを揃えてもここまで差が出たのは、ヤシノンに使われているトリウムレンズによる黄変の影響。トリウムレンズがないリケノンの方が忠実色ではあるか、やや寒色ぎみに感じる。
まぁ今はデジタル一眼でAWBがありますし、目くじらを立てるほどでもないでしょうね。
ボケ味は似たレンズ構成なだけに同じ傾向だが、ヤシノンの方が同じ絞り値でもボケ量が少し多く見える。
以下でピント部分を拡大。
左列がヤシノン、右列がリケノンです。
YASHINON-DS / XR RIKENON
F2ではリケノンの方が解像度がある。F2.8以降は同等と言った所だが、リケノンがわずかに優れているように見える。
中央部は流石「和製ズミクロン」の異名を持つリケノンが優れている。周辺描写も試してみたが特段の差は見取れなかった。
個人的にはオールドレンズらしい優しいボケ味の写真ならヤシノン、カリッと解像重視ならリケノンと使い分けるかな。
まとめ
M42標準レンズの中ではPENTAX Takumarと比べて存在感の薄いYASHINONレンズですが、鏡胴の作りや光学性能は全く劣っていない。個人的にはデザインが好みで、見飽きたTakumarよりも気に入っている。
欠点らしい欠点もなく使いやすい標準レンズで、オールドレンズ初心者にもオススメのレンズです。
以上【YASHICA AUTO YASHINON-DS 50mm F1.7】のレビューでした。
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