オクで見つけた見慣れないMF標準ズーム【ZYKKOR 35-70mm F2.8 ニコンF用】の外観レビュー。
ZYKKOR 35-70mm F2.8は韓国製ズーム
全く聞いたことのないメーカーだがZYKKORの読み方は“ザイコール”で北米の光学メーカーらしい。主に様々なメーカーからOEM供給を受けた製品に自社ブランド名を付けて販売していたようだ。その中には日本製レンズも多数含まれる。
この辺りはオールドレンズではまだ知名度のあるSoligorやVivitarらと同じ商法ですな。
ZYKKORブランドは現在も存続しているようでAmazonなどで検索するとカメラアクセサリーを中心に手掛けているようだ。
マウント | ニコンF |
レンズ構成 | 不明 |
最短撮影距離 | 0.45m |
絞り枚数 | 6枚 |
フィルター径 | 55mm |
全長×最大径 | 90.5×65.5mm※ |
重量 | 440g※ |
マウントがニコンAiタイプなので70年後半~80年代の製品と思われるが素性は全く不明。
韓国製レンズなのでネットで情報収集すると「Kalimar 35-70mm F2.8」がこれと同一のレンズであることまでは分かった。あまりにもマイナー過ぎるメーカーは海外サイトの情報ばかりで当時は日本市場に流通していなかったのだろう。
KalimarもOEMレンズらしく次にMade in Koreaのオールドレンズで調べると、どうやら韓国製のオールドレンズは全てSAMYANG製とのこと。。。
SAMYANG……サ、サムヤン!?
サムヤン(三洋オプティクス)の名は最近になって存在感が出てきたので、てっきり新興レンズメーカーかと思ってましたが、1972年設立でフィルム全盛時代から存在していたようです。調べてみるモンやなぁ。
100%確定ではないがサムヤン製のオールドレンズと言う珍品?を手にすることができたのはオールドレンズ好きにはなかなかの収穫です笑
レンズ外観チェック

鏡胴デザインや文字の色使いなどにどことなく当時のコシナ感が漂う。
鏡胴は金属製で直進式のズームリングはそこそこ滑らか。絞りリングはF4以降に半段絞りクリックがあるなど配慮も細かく当時の日本製レンズと比べて遜色ない。

SONY α7IIIにマウントアダプターを介して装着。
開放値F2.8のズームレンズながら比較的コンパクトでホールド性も悪くない。見た目の面白味はあまり感じません。

フロント側。フィルター径55mm 絞り羽根は6枚
レンズ銘のMCの通りマルチコート仕様ですが、レンズの反射色を見るにMCが施されているのは一部分だけに見える。
まぁレンズ構成によっては全面MC処理してもコストに見合った効果は得られない場合もあるようで、このパターンは日本製レンズでも珍しくないことで特にセコイ印象はない。

製造国を表す「LENS MADE IN KOREA」の刻印。
最短撮影距離は「0.45m」と標準単焦点と同等。
国内メーカーも含めズームレンズがまだまだ未熟な当時は、最短0.5m以上や「マクロモード切り替えでワイド端のみ」近接可能など使い勝手が今一つ(光学性能を優先してのことだろうが)なレンズが多い中、ズーム全域でこの距離を実現したのは立派。

マウント側は至って普通。
対応マウントはニコンAiタイプです。今更ニコンボディで使う人なんていないでしょうね…
どうも怪しい…本当にF2.8通し??
海外サイトでこのレンズのレビュー記事がありそこには《70mmにズームすると露出が暗くなるような気がする》的な一文がありましたが、それは気のせいではないみたいです…私も室内でテストしてみたところ、明らかにテレ端で露出が一段ほど暗くなりました笑
イヤイヤ、でもレンズ銘板に「35-70mm F2.8」ってあるでしょーがって思いますよね?? でも鏡胴をじっくり見ると怪しいものが…

このちっちゃいブルーのラインが開放F2.8に設定している時にF4を指していますよね。
で70の数字も同じ青色、F4時にはF5.6、F5.6時にF8と一段暗い位置に連動してます。
…はぁ、このレンズF2.8通しやなくて「F2.8-4」やんけ!
あ~あ、よくよく冷静になってみればこのサイズでフィルター径55mm、たかが2倍ズームと言えどもF2.8通しで設計するなんて不可能。
正真正銘F2.8通しの「Tokina AT-X 35-70mm F2.8(MF)」がフィルター径62mm 重量500g越えですからね~。実態がF2.8-4となると評判の良くない「SIGMA ZOOM-MASTER 35-70mm F2.8-4」とどっこいなところでしょうか。
問題はレンズ銘板からして明らかにF2.8通しズームと誤解を招く表示ってアリなんでしょうか? 当時はこんな小さい線一本で言い訳が効く時代だったのか?? まさかOEMで仕入れたメーカーも仕様を把握していなかったなんてことは流石にないですよね(・ω・)
まぁ私は払った額は小さいし、ネタになる珍品の韓国製オールドレンズとして手元に置いておきます。あまり気が乗りませんが、いつか試し撮りレポートを書きたいと思います。
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