【LEICA M10-R ブラッククローム】のレビュー
デジタルライカMボディを購入
ついにデジタルレンジファインダー【LEICA M10-R ブラッククローム】を購入してしまった。
動機としては《100%物欲の道楽》で何ら間違いありません笑
別にライカを買うに相応しい節目を迎えた訳でもなく、アクティブに行動範囲を広げる性分でもないし、どうしてもライカで撮りたい景色がある訳でもない。
あえて理由を挙げればソニーα7IIIを2018年から5年使い続けて流石に飽きてきたこともある。また買い替えたくなるEマウントボディも今はない。
それによくよく所有レンズを眺めるとEマウントよりライカM/L39マウントの方が多く所有しており、加えてありがたいことに父親が持つMマウントオールドレンズを何本か引き継いで良いことになった。ただ要メンテ品もあるのですぐには使えませんがね。
購入を決断するまでに思案したのは約1ヶ月。資金については“清水の舞台から”と言うほどでもなく、身の回りをその気になって整理したら意外とカバー出来た。
購入先は当初から目星を付けていたカメラ専門店の保証付き中古。
オクやフリマなどの個人間売買サイトも目を通していたが流石にリスクが高くありえない選択。他人にライカを売る自覚のない適当な出品者や、全国チェーン店でも “舶来品に付き保証なし” とか堂々と言ってのけたり色々思うことはあったが単なる悪口になるので控えます。
購入後は初期不良もなく返品保証期間も過ぎたので晴れて自分のカメラとして迎えることとなった。
ちなみに総レリーズ数は画像の通し番号を信用するなら【約400枚】でした。割と長く置いていた在庫かつ初期ファームウェアのままだったので番号リセットはしていないように思える。
M10-R以外の購入候補
M10以前の旧モデルは個人的に不安要素が多く最初から候補外。
他のM10シリーズで最後まで検討したのは「M10-P」これのシルバークロームがエレガントかつカジュアルに使えそうな雰囲気を醸し出していて非常に魅力的だった。
無印M10は一番流通数があり最も安価。ただ2017年発売でα7IIIよりも古いのはちょっとなぁ…と。オート時のベース感度がISO200なのもう~んな感じ(これはM10-Pも同様)あとマイナートラブルが多いような気がする。
背面液晶のないM10-Dはプレミア化しているので選択肢に入らず。ほんの数日だけ「M10 Monochrome」ありかも…と考えたが本当に使い続けられる?との自問にNOでした。
そして総合的にM10シリーズ最終モデルとなるM10-Rがあらゆる面で安定していると判断して決定。
ボディ各部の印象
ブラッククローム外装
上下真鍮カバーのブラッククロームは「ライカかそれ以外のカメラ」と感じるほどモノが違うマットな高級感。
ただこれはどれだけ丁寧に扱ってもキズやスレは避けられませんね。一般的なマグネシウム合金やチタン製カバーと比べると塗装強度は弱く見えるしキズが目立ちやすい。
中古で特に目立つのは両肩側面がストラップとの摩擦で地金が出るほどスレている個体がある。ライカのペイントへの考え方には個人差があると思いますが、貧乏性の私は出来るだけ購入時の状態を維持したい笑
ちなみに使われている真鍮の地金は銀色。金色の地金が出るブラックペイント版のような風格のあるエイジングは出ません。
ベースプレート
フィルム時代から踏襲され続けてきた【M型ライカのお作法】と言えるベースプレート着脱ギミック。
M11で廃止したことは賛否両論となったがM11オーナーからは実用性が増したと概ね受け入れられているようですね。
私も初めは「これこそライカMのアイデンティティの一つ」と100%賛同でしたが、正直今となっては「まぁ別にどっちでも良いかな…」と言う印象なんですよね。デジタルにおいては機能重視ではないノスタルジーなギミックですし。
ともかくフィルムライカに近いボディサイズとベースプレートを合わせ持つのはM10シリーズが最後となった訳で今後も根強い人気が続くはず。
今後は需要があれば特別モデルでベースプレートが復活する可能性はあるでしょうね。
イメージセンサー/画素数
2020年登場時はライカMでトップの4,000万画素 ローパスレスCMOSセンサー。
今まで高画素機に縁がなかったので大いに興味あり。特に高画素化と同時に従来より高感度耐性・ダイナミックレンジの拡大も達成していることにメリットを感じた。M10の高画素モデルと呼ぶより実質の改良モデルに近い。
画像データ量はRAW(DNG)で約44MB前後だが、これはα7IIIの非圧縮RAWとあまり変わらず負荷にならなかった。
ちなみにセンサークリーニング機能はありません。センサーを超音波振動させるためのガラスを一枚追加すれば光学特性に影響が出るからだそうです。
ファインダー
歴代デジタルMからM10で倍率0.68⇒0.73倍に大型化。アイピースサイズも変わり従来のファインダーアクセサリーとの互換性はなく、変換ネジアダプターが必要。
流石に新しい機種なので二重像やブライトフレームもクッキリ、内面反射もなく隅々までクリアな視界です。一番外側に表示される28mmフレームは裸眼/コンタクトレンズなら何とか見える。
シャッター
シャッター機構は最高1/4000秒のフォーカルプレーンメカシャッター。日中で大口径レンズを開放で使う場合は露出オーバーに注意。
無印M10と違うのはM10-P以降に採用された静音シャッターが非常に高品位でレリーズの度に写欲を掻き立てるエモーショナルな魅力を持つ。
今後ライカMのメカシャッターはこれがベンチマークになると言っても過言ではない位の完成度に思える。
測光方式
レンジファインダーでの撮影時は「中央重点測光」のみ。
ライブビュー時は「マルチ・中央重点・スポット」が選択可。
当然レンジファインダー撮影がメインになるが、便利なミラーレスに慣れていると露出傾向の違いに戸惑いましたね。ここまで露出を読む感覚が衰えていたのかと反省しました。
フィルムライカと共有している人はマニュアル露出も苦ではないそうですが、私は基本AEに頼ろうかなと思いますね。シャッター半押しのAEロックとサムダイヤルの露出補正を使えば何度か持ち出す頃には安定して撮れるようになりました。
M11はミラーレスと同じくイメージセンサーで直接測光するように変わりマルチ測光も可能となったが、常時外光に当っていることによりセンサー焼けのリスクが増しているように思えるけど大丈夫なのかな。
背面液晶モニター
3.0型 約104万ドットの背面モニターはα7IIIの92万ドットより少しだけ高精細。色調は同レベルな印象でややグリーン寄り。日本語フォントは特に違和感はない。
メニュー階層は決して使いやすくはないが頻繁にアクセスする性質ではないので不満はない。よく使う機能はお気に入り登録でカスタムメニューが作れる。
M10-Pから採用されたタッチパネルと電子水準器は必須ではないが便利であることは確実。
ライブビューのピーキングは今の感覚だとちょっと粗めかな。表示カラーの変更は可能、感度レベルの変更は出来ません。
バッテリー
ボディの薄型化によりバッテリー容量も従来機から減少(1800mAh⇒1100mAh)
残念ながらバッテリーの消耗スピードはM10シリーズの大きな弱点ですね。感覚だとα7II(NP-FW50 1080mAh)に近い。しかしライカMにはAFや手ブレ補正もないのにやたら消耗する。
実感としてのバッテリーサイクルは
・100%⇒70% 見る見る減っていく
・70%⇒30% いつの間にか半分以下
・30%⇒0% 最後の方で意外と粘る
みたいな感じ。省エネ使用を心掛けても予備がないと心許ないですね。
M10-Rで使いたいレンズ
『Carl Zeiss C Biogon T*35mm F2.8 ZM』
フィルムレンジファインダー「ZEISS IKON ZM」のために調達したレンズ。開放から抜群にシャープで歪曲もほぼゼロの優等生。
しかしながらフィルム使用を前提とした対称型設計であるためにソニーα7IIIだと周辺画質に難があり出番は少ないままだったが、
M10-Rで撮ってみると周辺まで完全実用レベル。デジタルライカMはセンサー前のカバーガラスを極限まで極薄にしているのでフィルム時代の広角レンズも多くが性能発揮出来る。
35mmはライカMの常用レンズとして活躍出来るので将来的にはライカ純正も欲しくなってくるだろうが、まずはこれでレンジファインダーに慣れたい。
『MINOLTA M-ROKKOR 40mm F2』
コンパクトでミラーレスでも使い勝手の良いお気に入りの準標準レンズ。
仕様上50mmのブライトフレームが表示されるので違和感は否めないが、元々レンジファインダーの視野なんて完璧でないと割り切って使うなら全然アリでしょうし、デジタルなら何枚も撮れる上にライブビューもあるのでネガティブな印象はない。
『Voigtlander APO-LANTHAR 50mm F2 VM』
これはM10-Rに合わせた新規導入レンズ。フォクトレンダー史上最高性能の標準レンズでアポズミクロンに唯一比肩出来る50mm。メーカー保証も残ってるほぼ新品なんですがお安く入手出来ました。
よく「ピントのキレが凄まじいのでシビアなピント合わせが求められる」と言われており、中でもVMマウント版は距離計との兼ね合いで相当ピーキーなものかと思ってましたが、
実際使ってみると距離計も全くズレなしでかなり歩留まりの良い感触なんですよね。高性能過ぎてレンズの味に頼れないのは確かです笑
他の50mmには「Canon 50mm F1.4 (L39)」もあるのですが全体的な質感があんまりマッチしなくてピントリングの微妙なガタにちょっと萎えた。
『LEICA SUMMICRON-R 50mm F2』
マウントアダプターを介してライカRレンズを装着。ボディ内のレンズプロファイルにRレンズの各データがあるのでライカ的にも想定されている組み合わせです。
結構マッシブなシルエットで机にゴトリと置くようなバランスなんですが意外にもホールド性が良い。
当然ながら距離計連動はなくライブビューかEVF(ビゾフレックス)での撮影が前提となり、結局やってることはミラーレスと同じになってしまうのが残念である。
Rレンズが一番似合うデジタルボディはライカSLシリーズですね。
まとめ
今までは庶民がライカなんか持ってもビビりながら使うことになり全く楽しめないと思ってましたが、何度か持ち出せば道具として自分のモノになっていく実感が湧いて買って後悔なしですね。
ライカを選ぶ理由は人それぞれにあり、ウィットに富んだフレーズにのせて魅力を伝える人もいますが、私の場合は完全に道楽と開き直ってますので高尚なものはない笑
使ってみてしっくりこなければすぐに売れば良いと考えてましたし、これで何でも撮れるなんてのも100%ありえませんからね。ボディ一台にこの金額払うならα7IVとGMレンズ2,3本選ぶ方が遥かにまとも。
まあ後は要メンテレンズも含めれば28~90mmまでのMマウントレンズが揃うには揃ったのでレンズへの投資は要らないんじゃないかと思う。
またボディを見ての通りレリーズボタンやサムレストなど付けて使いやすくしているのでアクセサリー関連もレビューとしてまとめてみたいと思います。
以上【LEICA M10-R】のレビューでした。
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