ライカのコンパクトデジタルカメラ【LEICA X1】のレビュー
APS-Cセンサー搭載のライカXシリーズ初代機
今回レビューするのは2010年にライカより発売されたコンパクトデジタルカメラ【LEICA X1】です。
このカメラは少しの間お借りしていたものでしたが「もう使わないし、気に入ったならどうぞ」みたいな感じで最終的に格安で譲って頂きました。
外観や仕様などの詳細は当時のデジカメWatchの記事を見てもらえばほぼ把握出来るのでそちらを参考に。
最も注目するポイントはそれまでのライカコンデジ(D-LUX)でお決まりだった日本メーカーのOEMから一転「MADE IN GERMANY」を掲げるライカ発プロダクトであることが話題を呼んだ。
撮像素子は1,220万画素のCMOSセンサー、搭載レンズは「ELMARIT 24mm F2.8 ASPH (35mm判換算約36mm)」の準広角単焦点。
LEICA Xシリーズはその後もラインナップを増やしており、
・LEICA X2 / 2012
・LEICA X-Vario / 2013
・LEICA X-E / 2014
・LEICA X / 2014
・LEICA X-U / 2016
正常進化のX2とX-E、ズームレンズ搭載のX-Vario、大口径F1.7のSUMMILUX搭載のX、その他ライカお得意の限定モデルなど複数あり好調であったが既にシリーズ終了。
現在ライカはレンズ交換式も含めAPS-Cのカメラを製造していない。
オプションの便利な2つの専用アクセサリーも付いてきた。
「純正ハンドグリップ18712」と
マップカメラオリジナルのフードアダプター 「BLACKTAG TYPE131」 です。
それらを装着してストラップは両吊りタイプで完成。
これはもうお気楽なコンデジスタイルではなくなってしまったが笑 素の状態と比べてホールド性の向上は素晴らしく、普段ミラーレスを使っていればこのサイズ感の方がしっくりくる。
レンズ外周のネジ込みリングと付け替えるBLACKTAGは主にX2シルバーに合わせたカラーなのでX1のスチールグレーには微妙な色合わせではあるが、
機能性はイイこと尽くめでフードとしての遮光効果はもちろん、アダプター内でレンズが沈胴することで安全性が抜群に高まる。鏡筒の隙間からチリゴミが入り込むことも軽減されるでしょうね。
実写作例
今回はライカの画作りを確認すべく全てJPEG撮って出し。リサイズとEXIF情報の書き込みはLightroomで処理。
画質設定はデフォルトのまま、ホワイトバランスは基本オート
2010年発売で既に10年以上前のコンデジですがAPS-Cセンサー+単焦点の描写力はまだまだ通用出来るレベルにあります。
特にレンズの性能が際立っており、開放から安定した描写で絞っても目立った画質向上はない。
JPEGの画像処理は標準でも独特な味付けで
・華やかさのない渋い発色
・オートWBが結構正確
・シャープネスは標準でも強い
などパッと見が映える万人受けではない。さらにナチュラル設定で撮ればLog撮影かと思うほど薄味です笑
背景の白とびが苦しいですね。ダイナミックレンジの広さを過信し過ぎました。
撮影時はむしろ手前の車がアンダーに見えたのですが、液晶画面は約23万ドットで解像度、階調性に乏しく屋外での視認性はかなり厳しいものがあります。
撮影中の画面内にヒストグラムを出せばある程度はカバーできますが、それでもPC画面で確認するとギャップはある。
やはり納得出来る仕上がりを求めるなら、階調を残すようアンダー目に撮影してRAW現像すべきでしょうね。
半逆光で撮ってみたところフレア・ゴーストがガッツリ出た。しかしここまで顕著に現れたのはこの一枚くらいでしたね。
マクロモードに切り替えて最短+絞り開放
マクロと言っても最短0.3mですから(通常は0.6m)、ごく普通の24mm交換レンズと同等かそれ以下の接写性能です。でもライカでここまで寄れたら十分なんだよねと納得しましょう笑
ちなみにライカX2ではAF性能の改善でマクロ切り替え操作は不要になりました。
グリーンの発色が自然な時と妙に蛍光色っぽくなるカットがある。原色系は色飽和しやすいのかな。
デジカメWatchのレビューでも似たような感じの作例がありますね。
黒猫ちゃんが水を飲んでました。完全な野良ではなく地域猫なので猫用のキレイな水だと思いますよ。
このカメラに限らずですが、黒猫はAFが苦手とする被写体でコントラストAFのX1では完全にお手上げ状態。
幸い猫がジッとしてくれていたおかげでMFでピント合わせが出来た。
ピントリングの代わりとなるサムホイールを回すと、画面内に拡大窓が表示されるのでモニターが見やすい状況であればそこそこ使える印象。
これはライカの画作りが顕著に現れている一枚かも。爽やかな青空だったはずが何でこんなシリアスな雰囲気になるのか。良いか悪いかと言うよりも驚いた笑
この一枚だけでもRAWも撮ってJPEGとの差を確認したかったですね。次の機会にでも試します。
歪曲は電子補正されているのか全く気になりませんね。
明らかな不満点としては軍艦部のシャッター&絞りダイヤルのクリックが緩すぎて肩下げ時やバッグの出し入れで勝手に動いていることが多い。
せめてA位置はもっと固くして欲しい。これはこの個体だけではなくX1の仕様であり、X2では不意に動かない強めのクリック感になっているそうです。
ちなみに今回持参したバッテリーは3個。純正1つに互換品が2つ。
どれもそれなりに古いものなので公称の約260枚には及ばず、メニュー操作や画像再生を最小限にすれば純正のフル充電ならギリ100枚いけるかな?という感じ。
品質の劣る中華製の互換品はより劣化が進んでおり30枚撮れば半分になる有様。完全に緊急用ですね。
しかしこのバッテリー「BP-DC8」は純正品が未だに新品購入出来るのは驚きですね。色々改善されたX2はバッテリー持ちも倍近くなっているそうで羨ましい…
まとめ
流石に10年以上前のコンデジなので使い勝手に欠ける部分は多々あるが、それらを超える“ライカ愛”さえ持てば苦ならないカメラですよ笑
それほど枚数も撮らない街撮りにはちょうど良く、ライカらしいディテールが詰まったボディデザインは今でも魅力的。
とは言え現在はXシリーズ全体の中古数が減り高騰もしているようなので、今から買うには遅すぎて割に合わないカメラなのは確実。
また不具合も散見されており完動品は早々ないと思った方が良いです。症状は他のコンデジでもあるようなものですが例えば
・レンズ沈胴不良
・ボタン・ダイヤル接触不良
・バッテリー押さえの爪折れ
・日付時間用の内蔵電池の完全劣化
特に本体内蔵の日付時間用の電池が完全劣化するのは修理品以外は全て発生していると思った方が良い。X2でも出ているとか。
この個体のX1でもバッテリー交換する度に日付がリセットされ電源ON時に設定画面が出る。古いしこんなモンと割り切っているが撮影時間順に画像整理したい時は意外と不便なんですよね。
まあライカとは言え、いつ壊れても不思議ではないデジタル製品なのは変わりありませんから動く内にしっかり使うべきでしょうね。
以上【LEICA X1】のレビューでした。
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