L39マウントの超広角レンズ【AVENON SUPER WIDE L 21mm F2.8】の外観レビュー
手頃な販売価格で人気を博した国産ノンライツ超広角レンズ
今回レビューするレンズは1994年に発売された【AVENON SUPER WIDE L 21mm F2.8】です。
『アベノン光機:AVENON』はレンズメーカーの「三協光機:コムラー」倒産後に設計者らOBが80年代初頭に立ち上げた光学メーカー。
社名及びブランド銘のアベノンは設立者の名前より取られ付けられた。
当初の看板商品はL39マウントの28mm F3.5でコスパ重視のいわゆる“プアマンズ・ライカ”的な立ち位置からニーズに応える実直なメーカーであった。この28mm F3.5は幾度かマイナーチェンジを重ねつつ事業終了の2002年まで生産されたロングセラーレンズだ。
またAVENONレンズは海外向けに「Kobalux」や「Pasoptik」などネーム替えして輸出もしていたようだ。
2000年前後のレンジファインダーブーム時にはCONTAX Gレンズのライカマウントへの改造も行っており、ネット上でしか拝見したことがないが改造パーツが違和感なく調和した端正な仕上げが印象的だった。

AVENON 21mm F2.8は当初マニアらが集う中古カメラ市で数量限定の販売予定だったが、思いのほか反響が大きくレギュラー品としてラインアップされた経緯がある。
この時はまだコシナフォクレンダーの影もなく安価なレンジファインダー用超広角レンズが不在だったので新品で手に入るAVENON21mmは魅力的だったと容易に想像できる。
マウント | L39スクリュー |
レンズ構成 | 6群8枚 |
絞り枚数 | 6枚 |
最短撮影距離 | 1.0m |
フィルター径 | 58mm |
全長×最大径 | 49×64mm |
販売時価格 | ¥64,800 |
2000年にはブラック鏡胴の記念モデルも販売。価格は¥72,800で各部に改良も加えられた。
・最短撮影距離が1m⇒0.75m
・絞り羽根枚数が6枚⇒8枚
・絞りリングに中間クリック追加
現在は両タイプも相場に大きな差はないように見える。共に流通数は少なめで、ここ最近は定価並みの相場となっているようだ。付属品完備なら定価以上はザラ。
私は相場が上がる直前に入手出来たのでラッキーでした。と言うより別に高騰するようなレンズには思えないのですがね…笑

鏡胴の美しいシルバーマット仕上げが目を惹く。マウント根本の部品はもう少し光沢を抑えたシルバーの方が良かったと思いますね。
操作性も良好でフォーカス時に前玉が回転するような廉価な作りでもありません。
しかし数ある高品位なレンジファインダーレンズの中ではやはりコストの限界が見える印象ですね。

レンズ構成は6群8枚のレトロフォーカスタイプ。周辺光量を確保するためかこのクラスのレンズとしては大きな前玉が特徴。
ちなみにこのレンズは第3群の貼り合わせレンズにバルサム切れが発生しやすい持病があります。
軽微なものはほとんど影響が現れませんが大部分がクモるとハイライトの滲みが目立つので購入時には注意。
後は絞り羽根にオイルが付着しやすい。これらの持病はアベノン28mm F3.5でもよく見られます。

最短撮影距離は「1m」と長めですがレンジファインダーと超広角の性質上、不便を感じることは少ないでしょう。
絞りリングは中間の点指標はあるもののクリックは一段づつです。

6枚の絞り羽根はややくびれた6角形です。上画像はF5.6。

フィルター径は大きめの「58mm」
コーティングは一部マルチコートのように見えますが、残念ながら逆光耐性はかなり低い部類に入ります。

これは専用レンズフード。こんな薄いフードでも効果はあるので常用したい。
しかしこのレンズのフィルター部はケラレにシビアな設計で、一般的なフィルターの上からフードを付けると余裕でケラレてしまいます。
国産の薄枠設計フィルターでも全てダメだと思います。おそらく最薄であるHAKUBA ULTIMA(高さ約3.4mm)でもアウトでした。

それからカメラ屋のジャンクコーナーで見つけた超薄枠の海外製UVフィルターが使えそうだったので試してみました。
高さは超薄い3.0mmでフードを重ねてもケラレが出ない!
おぉイイもの見つけた~と思ってた矢先、数回フードを着脱しただけでネジ溝がバカになりフードが空回りするようになってしまった笑
流石の中華クオリティと言うか、よくよく見ればコーティングもかなり安っぽくて逆光耐性が悪化しそうだしコレもういらないです笑
しばらくは前玉保護優先でフィルターありフードなしで使うつもり。

レトロフォーカスタイプと言えどフランジバックの短いレンジファインダー用レンズなだけあって後玉は結構飛び出ています。

L39⇒ライカM変換アダプターでフィルム機のZeiss Ikon ZMに装着。レンズが大柄なので存在感があります。
アベノン21mmには別売りで外付けファインダーもありましたが、これもなかなか出回らないので別のものを調達しました。

選んだのは富士フイルムの「VF-X21」です。
本来はFUJIFILM X70専用アクセサリーですがレンジファインダーに使い勝手の良い「21/28mm」の兼用フレームなのがナイス。
視認性も良好で一個持っていても損はしないと思う。目測式のベッサLとかにも重宝しそう。
ちなみにこれはコシナOEM製品でコシナ自身はフォクトレンダー銘のほか複数のメーカーから同じ形状で画角の違うのものが出ていました。

こちらはミラーレスのSONY α7IIIに装着。全体バランスはこちらの方が良好です。
ただ、テレセン特性の影響で周辺画質には明らかな影響が出ますね。
中心は開放から結構シャープですが、周辺はいくら絞っても流れっぱなしです。
個人的にこの写りではオールドレンズを楽しめるようなレベルではなくデジタル前提で導入するのはオススメしません。
やはり本来の性能が発揮出来るのはフィルムのみ。ある意味贅沢なレンズと言うことかな。
まとめ
発売は90年代なのでオールドレンズとしては若いものの、古き良き国産マニュアルレンズを感じられる作りはなかなか好印象。
気になる描写に関してはフィルム実写レビューで確かめてみたい。既に一本撮影済みで現像後が楽しみだ。
以上【AVENON SUPER WIDE L 21mm F2.8】の外観レビューでした。
【上海申光400】AVENON SUPER WIDE L 21mm F2.8 実写レビュー
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