「New Petzval 55mm f1.7 MKII」の実写レビュー
盛大なぐるぐるボケが使い手を翻弄するアートレンズ
ボディ:SONY α7III
Adobe LightroomでRAW現像
レンズ外観は以下
【アートレンズ】New Petzval 55mm f1.7 MKII 外観レビュー
ぐるぐるボケの基本としてフレーミングは日の丸構図がメインとなる。
解像するのは本当に中央部のみで開放からシャープな描写はお見事。
このレンズが如何に異端であるかを証明する一枚。
中間域辺りでピントを合わせると中央と周辺部分がボケる凄まじい描写だ。
通常のレンズでは甚大欠陥レベルの像面湾曲や非点収差などが盛りに盛られているので絞り込んでも画質の均一性は望めませんし、まともな写りを求めるレンズではありませんね。
この距離で撮っても前後に玉ボケが出るのが面白い。
7段階あるボケコントロールリングは中間レベル域がバランス良く仕上がりやすい。
またピントを合わせた後にボケレベルを調節をするとピント位置がずれるので、ボケコントロールリングはもう一つのピントリングでもあると意識した方が柔軟に使えると思います。
これに絞り操作も加わると少し煩雑な操作でもあるが、ミラーレスならボケ具合やピーキング等も常時モニターに反映されるのでそれほど難しくもありません。
ここからは見頃の時期を迎えたバラ園で撮った写真。
上の写真はグルグルこそ控えめだがボケ味の美しいレンズとしても良さげな写りだ。
階調性については明らかにクセのあるレンズに感じましたね。
ハイライト/シャドウの階調は豊富とは言えずマルチパターン測光で撮影しているとシーンによってはAEが敏感になることもあった。たぶん大きめの周辺光量落ちも影響してると思いますね。
被写体は基本中央であることから中央重点平均測光がベターかも知れない。
この傾向自体は特段悪いとは思わずシャドウが思い切りよく落ちた雰囲気のある写真になったりもして面白いものです。
逆光耐性はサンプルを出せるほど試していないが凡庸な感じ。
オールドレンズのような演出効果もあるハッキリとしたフレア・ゴーストは出ませんでした。
背景に奥行きがなくともテクスチャーのある壁でもグルグルは出るようだ。
まとめ
ペッツバールレンズは専らぐるぐるボケを活かしたポートレート向けに思われるが
このNew Petzval 55mm f1.7 MKIIは標準画角であることから人物以外のスナップ等にも対応出来る柔軟さはありますね。
とは言え決してサクサク撮れるような使い勝手ではなく、
ズッシリとした真鍮鏡胴を構えながらトルクのあるヘリコイドを回してピントとボケ味を探る撮影スタイルは過程も楽しむ気持ちでないと億劫に感じてしまうかも。
今回使用した状態ではウォーターハウス式の絞りプレートを使う余裕はとてもありませんでしたね。
過去に使用した「Lensbaby Twist 60」と比べると同じぐるぐるボケレンズでも
ロモグラフィーのペッツバールは光学史に残る銘レンズの復刻ラインでもあり立派な鏡胴の作りでモノが良い。加えてボケコントロールや絞りプレートなど付加価値も高いハイグレードレンズ。
対するレンズベビーは重量も操作性も軽いライトな使い心地で良くも悪くも高級感とは無縁。しかしそこがある意味レンズベビーの持ち味。
単純なぐるぐるボケの描写レベルではペッツバールに軍配が上がると思います。まだまだクセは掴み切れていないので次回に持ち出す時が楽しみなレンズですね。
以上「New Petzval 55mm f1.7 MKII」の実写レビューでした。
コメントを残す