ロモグラフィー「New Petzval 55mm f1.7 MARK II」の外観レビュー
ぐるぐるボケが特徴の古典レンズがミラーレス専用設計で登場
今回は『Lomography/ロモグラフィー』から販売されている
【New Petzval 55mm f1.7 MARKII / ソニーE】をレビュー
1840年に発明されたレンズ“Petzval/ペッツバール”と言えば最近は映画作品で用いられその幻想的な描写が注目され映像分野で熱い存在となっているそうだ。
◆Lomography 製品ページ:New Petzval 55 mm f/1.7 MKII
◆Lomography マガジン:Petzval Art Lenses:ヒストリー

そのペッツバールを2013年に復刻させたロモグラフィーが続く2019年にミラーレス専用に新規開発したのが「New Petzval 55mm f1.7 MARKII」
使い所をかなり選びそうなレンズで正直欲しいとは思わずスルーしていたが
ある家電量販店にて投げ売りの処分価格で置かれているのを発見。余程売り切りたいのか定価の半額以下で何ならカメラ店の買取価格よりも安い。
あまりの安さに展示品等の訳ありかと思ったがシンプルに売れ残りの新品在庫のようだ。
対応マウントはソニーEで全く問題なし。他にはキヤノンRF、ニコンZ用がある。
鏡胴タイプは3種あり「アルミニウムブラック」「真鍮ゴールド」「真鍮ブラックペイント」これは見ての通りオリジナルに近い派手な真鍮ゴールド。
マウント | ソニーE |
レンズ構成 | 3群4枚 |
絞り枚数 | 8枚 |
最短撮影距離 | 0.6m |
フィルター径 | 67mm |
重量 | 575g※ |
全長×最大径 | 80×74mm |
国内発売年月 | 2019/05.23 |

SONY α7IIIに装着。目立ちますねぇ…ピカピカ金色の鏡胴には『百』のマークでも欲しくなりそう。
真鍮素材は無垢ではなくサテン仕上げで恐らくコート塗装処理もしていそうな手触り。指紋は目立ちやすくクロスでの手入れは欠かせない。
重量は仕様表になく実測は「575g」でした。55mm F1.7の標準レンズのカテゴリとしてはかなりの重量級。

フロントのレンズ銘板や鏡胴の指標などは全てシルクプリント。指標は同系色で視認性はあまり高くない。
操作部は3ヵ所あり先端側から
「ボケコントロールリング」「絞りレバー」「ピントリング」の順に並ぶ。
絞りやボケの調整はクリックレスのフリータイプ。操作リングのヘリコイドはグリスがよく効いた良質なトルク感。
そして絞りとピントリングの間には「ウォーターハウス式絞りプレート」のスロットが備わる。

差し替えて交換する絞りプレートはエフェクト効果が異なる4種類が付属。
固定絞り形状により変化する開放値は各プレートに刻印されている。
それぞれのボケの変化は後に簡単なサンプル画像を載せます。

絞りプレートとは別のレバー操作の虹彩絞りは「8枚」F2辺りまでは円形を保つが以降は角の緩い8角形になる。

最短撮影距離は仕様上「0.6m」となっているが、これにボケ調節が加わると最大で「約0.55m」まで短縮される。
ピント方式は全群繰り出し式。
ボケ調節は前玉のみが繰り出すようでオールドズームなどにあったマクロ機能とよく似た機構だ。
どちらの動作も前玉は回転しない直進式。また鏡胴内で動くため全長は変わらない。

マウントに電子接点はありません。
ボディに取り付けた際のガタつきはなく工作精度は良好。
後玉の位置はマウント側に近くフランジバックの長い一眼レフには流用出来ない設計であることが分かる。
ちなみに仕様表にはマルチコートとあるがコート色はマゼンタ/パープルが大部分を占め、シアンやグリーンが輝く如何にもなマルチコートとは違いオールドレンズ寄りに見える。

やたら豪華な元箱やパンフ等はロモレンズの特徴。この点はライカと遜色がない充実ぶり。
中央のかぶせ式レンズキャップはレンズと同じ真鍮製でズシリと重く高級感は抜群。
しかし装着時に逆さまにすると重さが仇となって自重落下するし、レンズフィルター付けるとサイズが合わなくなるなど実用性は低い。
これは保管しておくことにして汎用の樹脂製キャップに変更。
ボケサンプル画像
まずはこのレンズの醍醐味である「ぐるぐるボケ」の変化を比較
絞り値は全て開放、ボケレベルは1~7まである調節範囲の内1,3,5,7を抜粋
画像ギャラリーはクリック拡大後、画像内左右アイコンやキーボードの左右キーで切替え可。




ボケレベルを上げるにつれ周辺の玉ボケが変形し同心円状に流れていくのが分かる。
玉ボケにエッジが強いバブルボケのような傾向は見られないようだ。
また中心画質はボケレベルに関わらず開放からシャープである点も見どころ。
撮影距離に制限のある室内撮影だとこんな感じですが屋外だと背景を大きく離せられるのでグルグルはより強烈になります。
次は絞りプレートによる玉ボケの比較





これは絞りプレート形状そのまんまに写るストレートな表現となるので撮影センスが求められそうです。
また玉ボケだけではなく若干の2線ボケが出るような変化も現れるようだ。
まとめ
ロモグラフィーはどちらかと言えばトイカメ中心のメーカーイメージがあるかも知れないが、このペッツバールはかなり気合の入った作りで高級感のあるMFレンズです。
肝心の描写性は単なるぐるぐるボケレンズだろと思いきや意外と手強いレンズで、アート的なセンス不足を自覚する私には魅力的な写真を撮るには中々難しい。
一応作例として撮れた分は実写レビューで紹介出来ればと思います。
以上「New Petzval 55mm f1.7 MARK II」の外観レビューでした。
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