【TAMRON 70-180mm F2.8 Di III VXD (Model A056)】のレビュー
待望のFE大口径望遠ズームを入手
予約購入していた【TAMRON 70-180mm F2.8 Di III VXD (Model A056)】が無事手に入ったのでレビューしたいと思います。
タムロン製品情報:TAMRON 70-180mm F2.8 Di III VXD
レンズ発表時はその注目度の高さから、初回出荷分を逃せば入荷待ち状態が続くのではと予想していましたが、昨今の状況が影響してか在庫は普通にあるようですね。
ともかく発売延期にもならずタムロンさんありがとうの一言です。
2020/6/2追記:タムロンから当レンズの一部製品に回収アナウンスが出ています。
海外批評サイトのサンプルで画面端の流れが指摘されていましたが、メーカー発表だと調整不足による像面湾曲だったようで。しかも個体レベルではなくロット単位で存在する。
70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056) ご愛用のお客様へ
上の公式案内ページからシリアルNoを入力して照会出来るが、私の個体は残念ながら対象レンズでした…ゲェ
この前撮った写真だと異常は感じられない写りだったんですけどね。まぁ工場預かりになって困る時期でもないし、本来の性能になって戻ってくるなら良しとします。面倒は面倒だけどね!
追記:タムロンへレンズを発送。到着したその日の内に交換品が発送されました。結果として点検、再調整ではなく新品交換となりました。なのでシリアルナンバーも変更されています。
不良個体に当ったのは運が悪かったけど、交換はスムーズに終えられたので全く不満はありません。
外観の感想は他のユーザーとほぼ同じなので程々に。
タムロンのフルサイズミラーレス用レンズは標準の「28-75mm F2.8 Di III RXD(A036)」が大好評で、続いて広角の「17-28mm(A046)」、そして満を持して登場した最後のピース「70-180mm(A056)」が揃いF2.8ズームの大三元完成となった。
どれも純正レンズよりズーム域が少し狭いけど、ここが上手いこと “こういうのでいいんだよ” のニーズにマッチしていて独自性を確立出来ているんですね。
画像で見るよりも実際に手に取ってみた方が「よくここまでのサイズに出来たものだ」とタムロンの技術力に驚嘆するはず。普通ならF4望遠ズームのサイズです。
1kg超が当たり前だったF2.8通し望遠ズームでクラス最軽量の「810g」を達成。
手ブレ補正やAF/MFスイッチなどはボディ側で賄うことで、光学性能と小型化をとことん追求したのはミラーレス用レンズとして合理的。これ以上の高機能を望むなら、それこそ純正レンズを選ぶべきだ。
個人的な外観に関しての雑多な評価はこんな感じ。
◎good
・白鏡胴じゃないので悪目立ちしない。
・簡易防滴構造。
・ズームしても全長が伸びるのは3cmほど。
・自重で伸びないズームリング。ロックスイッチ付。
×bad
・スレキズが付きやすい鏡胴。
・操作リングゴムはホコリが付きやすい。
△無評価
・AF/MF切り替えスイッチなし。
・レンズ内手ブレ補正なし。
・三脚座の対応なし。
・製造国はレンズが「ベトナム」フードは「フィリピン」
・電源オフ時はフォーカスレンズがコトコト動く。
タムロンFE Di IIIシリーズに共通するマット仕上げの鏡胴はあまり評判は良くなく、使い続けているとスレキズがどうしても増えてくるはず。これはある程度受け入れるしかなさそう。
α7IIIでこのレンズを使う時はにエクステンショングリップを装着してホールド性を向上させています。
今手元にあるレンズで最もサイズが近かったのがSIGMA MC-11を付けた「Canon EF100mm F2.8 MACRO L IS USM」だった。フィルター径も同じ「67mm」
以前の「FE 85mm F1.8」のレビュー内で運用次第ではFE85mmは手放すかもと言いましたが、実際に手にして見るとサイズからスペックまでそもそも比べるようなレンズではありませんでしたね。
とは言え私はポートレートは撮らず85mm単は猫撮りくらいで稼働率は低い。やっぱり手放してしまうかも知れない。
実写作例
ボディはSONY α7III
Adobe LightroomでRAW現像 / レンズ補正適用 / 周辺光量補正は好みで調整。
今回は奈良公園の鹿たちに撮影協力してもらいました。
フォーカスエリアの設定はほとんどが「ゾーン」です。
私自身がF2.8望遠ズームは初めてなので比較できるレンズは単焦点の「Canon EF200mm F2.8L II USM」くらいですかね。
2400万画素程度では全く粗が見えない開放から均一でシャープな描写。その上、カリカリになり過ぎないのがとてもイイ。
タムロンの各レンズはこの辺りの描写性を意識している印象ですね。
背景がテクスチャー状で被写体との距離が近い場合は、若干グルグルボケの傾向があるかも。
絞れば軽減されるかの検証まではしていないが、
ボケ味は単焦点の「Canon EF200mm F2.8L II USM」の方が滑らかで素直な印象だった。
鹿でも動物瞳AFがそこそこの頻度で作動します。
鼻先に引っ張られることなく、瞳にピントが合っていますね。
瞳を検出しない場合でも瞳を優先してAFが作動している感触。AF-Cは速度精度共に純正と同等かそれ以上、タムロン史上最高レベルと自負するのも納得です。
しかしAF-Sは妙にモタつく場面があり、う~ん?と首を傾げる。
これはサードパーティ製のEマウントレンズによく見られる挙動で、ソニーのライセンス化で設計しているとは言え、やはり純正のみが持つブラックボックス的なものがあるんじゃないかと。
このレンズはAF-Cをデフォルトとして使えばストレスは全く感じない。
MF時のみ最短撮影距離が縮まるマクロモードで撮った藤の花。
最短距離はワイド端70mmで「0.86m⇒0.27m」になり最大撮影倍率は1:2のハーフマクロとなる。
周辺画質はクセ玉のようになるので基本ピントは中央に合わせる。タムロンHPにはこの機能についての特設ページもある。
【サポート情報:70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)の近接領域での撮影について】
あくまでオマケ機能としたもので、がっつりマクロ撮影したい時は専用レンズを選択したいが、これで十分だと言う人も少なくないと思う。
また事前にボディ側のカスタムボタンに「AF/MFコントロール」を設定しておけばスムーズにモード切り替えできる。私はLM-EA7でもAF/MFを多用するので再設定の必要はなかった。
今までα7IIIで使う望遠レンズはSIGMA MC-11+EFレンズを使っていたが機能制限があり、
・ファストハイブリットAFではなく像面位相差AFのみ
・連続撮影 Lo:約3コマ/秒のみ
・ボディ内手振れ補正は3軸補正
・DMF不可、ピント自動拡大なし
などから解放されボディ性能を遺憾なく発揮しているのを実感。一時は頼りになったMC-11もすっかり出番が減ってしまった。
芝生広場よりも森の中の方がネイチャー感増してイイですね。
焦点距離や点光源の強さによっては玉ボケに年輪ボケが出ることもある。個人的にはズームレンズなので仕方ないかなと。
9枚円形絞りなのでF5.6程度までは真円を保つ。
芝生で顔をゴシゴシ。
今回作例に挙げてませんが遠景写真はどのズーム域でも片ボケは一切見られなかった。
幸運にも初めて小鹿ちゃんに出会えました。
必要以上に近づかないことを心掛けて、サイレントシャッターで撮影。
まとめ
「ようやく辿り着いた望遠レンズ」
現状300mmも必要ない私には、これ一本あればもう望遠沼から抜け出せたも同然の救済レンズとなりました。
サードパーティ製ながらEマウントユーザーで良かったと思える珠玉の一本と断言できますね。これよりも小型軽量のF2.8望遠ズームはどこのメーカーからも出ないんじゃないでしょうか?
純正のFE望遠レンズは高級路線なので躊躇している人は、このレンズに行き着くはず。
どうせ値下がりも期待出来ないでしょうから、欲しいと思ったらすぐに手に入れるべきレンズだと思いますね。
以上【TAMRON 70-180mm F2.8 Di III VXD (Model A056)】のレビューでした。
コメントを残す