TAMRON SP 70-150mm F2.8 SOFT 51A のレビュー
ジャンク棚で発見。レアなタムロンのソフトズームレンズ
今回のレンズレビューはタムロンのアダプトール2時代に発売された「SP 70-150mm F2.8 SOFT 51A」です。

焦点距離は2倍程度の中望遠ズームと言った感じで当時は各メーカーごとにラインナップがある定番のズーム域でしたが、どれも普及レンズのポジションで凡庸ズームの印象は否めず今さら好んで使いたくなる魅力は感じない。
タムロンも安価なF3.5通しの「02A」 や 「20A」を販売していたが、上位レンズであるSPを冠したこの51Aは大口径のF2.8通しでソフトフォーカス調節機能も搭載。ポートレートズームの訴求力を高めた意欲的なレンズとして世に送り出した。
しかし巷の反応は著しくなくあまり売れなかったとされています。今は現存数も少なくアダプトール2の中では最もレアな珍品レンズとなった。
タムロン製品ページ SP 70-150mm F2.8 SOFT 51A
ちなみにソフト調節範囲を拡大した後継レンズも参考出展されていたものの51Aが振るわなかった影響か結局お蔵入りとなったそうです。
マウント | アダプトール2 |
レンズ構成 | 10群14枚 |
絞り枚数 | 8枚 |
最短撮影距離 | 0.98m |
フィルター径 | 62mm |
全長×最大径 | 147mm×67.5mm |
重量 | 760g |
発売年 | 1980~83年 |
発売時価格 | ¥74,000 |
その希少さ故に欲しいと思っても簡単には見つからず、状態が悪くても高値で興味本位のオールドズームにその金額は出せないと諦めていた。
…それがなんと全国展開しているカメラ店の《ジャンクコーナー》にあった。しかも別件の帰りに初めて訪れた店舗と言う巡り合わせ。
ありふれたオールドレンズの中にしれっと並んでおりアダプトールの望遠ズームか、ふーんと何気なく手に取るとSP/70-150mm/1:2.8の文字でアレ?
そして見間違え様のないソフト調節リングもあって、うわーマジか…何で?と思いつつ確保。
状態はカビクモリなくオールドズームなら当然の内部ゴミが数点ある程度。操作部分も問題なく十分美品と言えるコンディションだった。
何故ジャンク行きになったか定かではないが、
もしかすると普及版でそこら中にあるF3.5と間違えたのか単純にこのレンズの希少価値を知らなかったのか。
まあ掘り出し物が入手出来たので悪口言いたくはありませんが、写真スタジオと併設している店舗は正直言ってスタッフの商品知識の差が大きいと感じた経験が何度かあるんですよね。

SONY α7IIIに装着。アダプトールはヤシコン用を選択。
この時代のMFズームはワンハンドズームなどと呼ばれた直進ズーム式が多かったが、これはズームとピントリングが分かれた今では当たり前の回転リング式。
フォーカスは前群の回転繰り出し式、ズームはインナータイプで全長は変わらない。この仕様自体は当時としてはよくある形式だった。
速写性では直進ズームが有利かと思いますがズーミングとフォーカシングの精度では回転式が優る。それに見た目にも高級感があり恰好良い。

最短撮影距離は「0.98m」
最大撮影倍率がテレ端で「1:4.6」隣に書かれた1:2.3は2倍テレコン使用時の最大倍率です。
特別接写に強い訳ではないが望遠ズームで最短1mを切ればまあテレマクロと名乗っても大袈裟ではないんじゃないでしょうか。

絞りリングは半段クリックあり。そして最大の特徴でもあるソフト効果の調節リングは絞りリングの上に備わる。
オフ状態の場合のみロックが掛かりロックボタンから解除する。ソフト効果は3段階の指標があるがクリックはない。
ソフト調節では絞り羽根より後方の後群レンズ全体が内部で結構大胆に移動している。

前玉はBBARマルチコーティングの反射色が目を惹く。フィルター径は「62mm」
先端には組込み式フードがあるものの申し訳程度の深さしかなく遮光効果はほぼ期待出来ませんね。先端ガードの役目くらいに思っていた方が良いかも。
ソフト効果サンプル
ソフト効果のサンプルとして室内の同条件で撮影してみました。
ズーム域は70 / 85 / 105 / 150mm
三脚使用、絞りは全て開放、同パラメーターでRAW現像
70mm




まずこのレンズはソフト効果よりも《バブルボケ》が出せるズームレンズとして使う方が断然面白いと思いますね。
特に興味深いのは一般的なソフトレンズは補正不足/アンダーコレクション側に球面収差をコントロールすることで前ボケに副産物のバブルボケが発生するが、このレンズは逆の過剰補正/オーバーコレクション側に設計されており後ボケにバブルが発生する。
簡単に言えば前ボケか後ボケ、どちらを重視するかの設計思想の違いと思われるが後ボケの方が玉ボケを作りやすい。
85mm




ソフト効果を強めると微妙に画角が広くなり玉ボケは小さく周辺の口径食も軽減される。バブルボケと同時に2線ボケも目立ってくる。
またソフトOFF状態はズーミングでピント位置は変化しない、ただしソフトに切替えるとピントは少し移動する。
105mm




口径食が少なくバブルボケを強調したいなら85~105mmがスイートスポットのようだ。
150mm




テレ端の150mmは特に口径食が大きくソフト効果を強めても全体の変化は少なめ。
また玉ボケ内に2、3個ほど点々が見えますがこれはレンズ内のゴミです。
最後に以下は前後に玉ボケを発生させた場合の比較。ソフト効果は最大。


まとめ
実店舗のジャンク棚は転売ヤーに狩り尽くされてると思ってたので、このようなレアものが並びタイミング良く入手出来たことは今でも信じられない気分だ。
レンズの素性としてはギミックありきの珍品レンズなのでどうしても奇をてらった写真ばかり狙ってしまうのが良くも悪くもと言ったところ。
後に屋外での実写レビューも行うので興味のある方は参考にどうぞ。
以上【TAMRON SP 70-150mm F2.8 SOFT 51A】のレビューでした。
【クセボケズーム】TAMRON 70-150mm F2.8 SOFT 51A 実写レビュー
コメント
ずっとヤフオクで探さしてますが、状態の良いものがありません。羨ましいですね。
てるさん
ブログをご覧頂きありがとうございます。
ヤフオクもレアモノは確実に競り合いになりお得に落札出来ることは少なくなりましたね。
キレイな出物が見つかると良いですね。
こんばんは!バブリーな写真が好きでこのレンズを使いたいと思ってますが、希少過ぎて笑。APS-Cで撮影すると、もっとバブルボケが大きくはっきりするのですかね?
てるさん
こんばんは。コメントありがとうございます。
実写レビューのページにも載せていますが画面周辺は口径食が出やすい傾向なので
画面中央を使うAPS-Cだとバブルボケはより引き立つはずです。
しかし長く重いMFレンズなので使っていて結構疲れるのがネックになります笑
個人的には他のバブルボケ単焦点レンズの方がサクサク撮れるんじゃないかなと思いますね。
こんな回答でよければ参考下さい。
ありがとうございました!
トリオプランとフジノン55mmで楽しんでいますが、「51a」での検索でたどり着きました。改めて他の記事も拝見させていただきます\(^o^)/