“Planar”の名を冠した旧コンタックス用の広角レンズ
今回はレンジファインダーカメラの旧Contaxにラインアップしていた広角レンズ、
【Carl Zeiss Planar 35mm F3.5】をレビューします。

コンタックスCマウントの35mmで最も有名なのは間違いなく「Biogon 35mm F2.8」であり、開放値の明るさで当時のライカに明確な差を付け、ツァイスの高い光学設計を誇る代表的な広角レンズでした。
一方、【Planar 35mm F3.5】は1954年に発売された最後発のモデルで、開放値からも分かるようにヒエラルキーとしては下位に位置する廉価タイプです。

| マウント | コンタックスC(外爪式) |
| レンズ構成 | 4群5枚 |
| 絞り枚数 | 9枚 |
| 最短撮影距離 | 0.9m |
| フィルター径 | 40.5mm |
| 全長×最大径 | 22×56mm※ |
| 重量 | 240g※ |
| 発売年 | 1954年 |
※当ブログ実測値
気になる描写性能は「Biogonに負けず劣らず、廉価版としては立派だ」というのがおおよその評価のようです。
ただ、当時はあまり売れなかったとされ、総生産数もBiogonに比べて少なく中古相場は逆転傾向にあります。まあ残念ながら現在も人気のない地味な存在のため、垂涎のオールドレンズと呼べるほどではないと思います笑

レンズ構成は4群5枚。
Planarと聞くと典型的な4群6枚のガウスタイプを思い浮かべる方が多いと思いますが、これはクセノタータイプを反転させたような独特の光学設計です。
また、ツァイスが他社に供給したPlanar銘の中判カメラ用リーフシャッターレンズにも似たような構成が見られます。
これらも含めて広義のガウスタイプといえるかもしれませんが、少なくとも35mmフォーマットの広角レンズでこの構成は珍しいものだと思います。

contax IIIaにレンズを装着。年代的にも整合性のある組み合わせでしょうかね。
合わせてZeiss製ターレットファインダーも載せると、もう純度100%ドイツ製舶来カメラのオーラ全開です。
ただ、ボディがシャッター不調なので今のところは所有欲を満たすコレクションでしかありません。

フィルム室側から見てみると後玉の位置は撮像面から距離が離れた、バックフォーカスの長いレンズであると一目で分かります。
対するビオゴン35mmは戦前・戦後で設計に変更があったものの、特色として後玉が撮像面側に大きく突き出しており、同じ35mmでも別系統であることが良く分かります。

フィルター径は「40.5mm」です。現行生産のフィルターサイズなので入手性に優れます。
またフィルター枠部は絞り操作リングも兼ねておりクリックフリーに回転します。外側の絞り指標の間隔も十分に広く使い勝手は良好です。
レンズコーティングはアンバーとマゼンタの組み合わせです。
この時期のツァイスにはTコーティング銘が省略されたレンズが多く、やや寂しい印象もありますが性能が劣っている訳でありません。むしろ時代なりに品質向上しています。

最短撮影距離は「0.9m」
旧コンタックスのレンジファインダーシムテムとしてはごく普通です。また輸出国によってフィート/feet表記の個体も存在します。
ピントリングの回転角はかなり広く、無限遠から最短0.9mまで約135°もありました。
最大級の距離計の基線長を誇る旧コンタックスならではの仕様と言えるのでしょうか。
またピントリング回転と同時に先端の絞りリングも一緒に回ってしまうのはご愛敬。

絞り羽根は「9枚」で構成され、ほとんどの絞り値で手裏剣状の絞り形状になります。

このレンズを他のボディに装着するため、マウントアダプターも調達しました。
焦点工房が販売する「SHOTEN SCM2」は、旧コンタックスC/ニコンSマウントの外爪レンズをライカMマウントに変換するアダプターです。

オール真鍮製でマウント内側の内面反射処理も丁寧に仕上げられており、クオリティは良好です。
肝心の装着感についてはMマウントのボディ側には問題ありませんでしたが、レンズ側の外爪バヨネットは装着するレンズによって大きく変わるように思います。
このPlanar35mmはやや硬い程度で着脱に支障はありませんでしたが、所有するニコンSマウントレンズの1本は信じられないほど硬く装着をためらうほどでした。
安易にアダプターを削らず、バヨネット爪に薄くグリスを塗布して着脱を繰り返したところ、何とか許容範囲内の硬さに収まりました。

シルバーメッキ一の質感はレンズとの一体感がありますね。
これでライカMマウント仕様となりましたが、残念ながらライカMボディには装着できません。ボディマウント内の距離計コロがレンズ後端と干渉してしまうためです。
この点は高価な距離計連動タイプのアダプターでも同様で、以前から装着不可レンズリストに含まれる1本でした。現在ではミラーレス一眼で使用するのが最も実用的です。

SONY α7CIIに装着。さらにTECHART LM-EA9を介することでAF撮影も可能です。
通常0.9mの最短撮影距離は「約0.3m」まで短縮可能となり、ボケを活かした撮影も楽しめる訳ですね。

ちなみにレンズ先端に余っていたステップアップリングを装着してみると、絞りの操作性が向上しました。

同スペックの「LEICA SUMMARON 35mm F3.5」と並べると、鏡胴の太さがまるで違います。
重量もプラナーはMアダプター装着時で約280gあり、ズマロンより100g以上重くなります。
コンタックスCマウントの外爪レンズは構造上、鏡胴が太くなる傾向があり、これはカメラシステムの差と捉えるべきだと思いますね。

そして京セラ・コンタックスの「CONTAX G Planar T*35mm F2/1996」と並べてみたくなるのも長い歴史を持つツァイスならでは。
この2本には約40年間もの時代の隔たりがありますが、その間にPlanarの名を持つ35mmは登場しませんでした。
直接の後継レンズではないでしょうが、実際に手にして揃うと嬉しくなりますね。
まとめ
このレンズの入手から時間は経過していますが、なかなか持ち出す機会がないのが現状です。
ただデジタルセンサーとの相性は上位のビオゴンより良好なのは間違いないです。やはりバックフォーカスに余裕があるのが大きいですね。
実写作例も揃えばレビューとしてまとめたいのですが、記事内で紹介した他の35mmと撮り比べてみるのも面白いかも知れませんね。
以上【Carl Zeiss Planar 35mm F3.5】の外観レビューでした。

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