多彩なフィルムシミュレーションをRAW現像で使うには?
FUJIFILM XシリーズはJPEG撮って出しでも完成度の高い写真が得られることに定評があり、所有するコンデジのX100VIにもレンズ交換式ミラーレスと同等の画質設定メニューを備えている。
カメラ内設定だけでも好みの写真へと作り込むことは可能だが、普段からRAW現像していると「もう少し時間をかけて整えたい」と思うこともあるにはある。
特にFUJIFILMの場合は独自のフィルムシミュレーションを可逆的に適用することで個々のカラールックをより掴みやすくなるはず。
そう言うことで今回フィルムシミュレーションを使用できるRAW現像ソフトを導入したい訳なんですが、前提条件として有料ソフトは追加購入しないこと。
所有済みソフトと無料配布のものを合わせ下記の5つの方法から試してみた。
- Adobe Lightroom
- カメラ内RAW現像
- FUJIFILM X RAW STUDIO
- SILKYPIX RAW FILE CONVERTER EX 3.0
- Capture One FUJIFILM RAW Converter
無料ソフトの選定は富士フイルム公式HPを参考にした。
デジタルカメラQ&A:Qフィルムシミュレーションを適用してRAW現像したい。
Adobe Lightroom

私が使用している【Lightroom6.14】は2017年に更新終了した最後の買い切り版。基本的な編集機能はこの時点で成熟しているので未だに優秀で動作も早い。とは言え新機種のフィルムシミュレーションは当然非対応。
現行のサブスク版 Lightroom Classicに移行すれば完全対応するが実際の使用頻度を考慮するとかなりコスパは悪い。Lightroomモバイルアプリ版も有料版でないとRAW現像は不可。
どうにかLr6でフィルムシミュレーションを使えないか調べてみると、LrClassicでのプリセット作成(xmp)からLr6の古いプリセット(lrtemplate)に変換するテクニックが何やらあるようで、
LrClassicの無料体験期間を利用すれば実現できる可能性が見えてきた。現時点では実行前で上手く成功すれば追記予定。
カメラ内RAW現像

FUJIFILM Xシリーズはカメラ内RAW現像が可能でフィルムシミュレーションやその他の画質設定も一通り編集可能。
最大のメリットはカメラ一台でRAW現像が完結すること。撮影後すぐに編集を行いスマホ転送⇒SNSアップもシームレスに行える。
メリットこそあるものの小さな背面液晶上で一枚づつ編集するので選定画像が多い場合は効率的ではない。
編集中は画像の拡大もできなく変更の反映はQボタン/現像を押しでまとめて表示される。フィルムシミュレーションを見比べようとすれば何回も画面を往復することになる。またバッテリー残量にも気を付ける必要もある。
個人的には不要のカメラ内RAW現像だが、それでも必須の撮影現場があるのも理解できるので全否定するつもりはない。
FUJIFILM X RAW STUDIO

FUJIFILM純正ソフト。PCにカメラ本体をUSB接続してRAW現像を行う。
FUJIFILM X RAW STUDIOをインストールしたコンピュータとカメラをUSBケーブルで接続して利用することで、カメラの画像処理エンジンを使用したRAW現像が可能になります。 現像が撮影と同等の短時間で完了するため、大量なRAWデータのバッチ処理も苦にならず、現像時間がコンピュータの処理能力の影響を受けません。 また、カメラで撮影する際と完全に一致した高品質な画質(階調、色再現、ノイズリダクションなど)が得られます。
カメラ内RAW現像をPCのディスプレイ上で行うイメージのありそうでなかった発想がユニーク。

UIはシンプルかつ画質設定の項目もカメラ側と同じ名称なので親しみやすい。


デジカメWatch:ミニレポート カメラを繋いでRAW現像する「FUJIFILM X RAW STUDIO」の使い方
ソフトの使用感は上のリンク先記事で詳細に解説されておりほぼ同意見。
使用前はもうこれで決まりでしょとインストールし実際にX100VIを接続して現像してみましたが…うーん想像以上のモッサリ動作。プレビュー生成機能がありサクサク動くLightroomに慣れているとなおさら。
RAWの記録サイズが違う「非圧縮/ロスレス圧縮/圧縮」をそれぞれ試したが処理速度に目立った違いはなかった。正直これはRAWファイルのビューワーとしても厳しいかもと感じた。
また書き出した画像は元のRAWファイルと同じフォルダに保存されフォルダ指定ができないのも不便。
ソフトのコンセプト自体は素晴らしいのでアップデートを重ねて改良を期待したい。
SILKYPIX RAW FILE CONVERTER EX 3.0

国産のRAW現像ソフト「SILKYPIX」のFUJIFILM専用版。

生真面目なUIはあまり直感的ではないが慣れるのに時間は掛からないと思う。
有料版と比べ一部機能はオミットされていると思われるが基本機能に不足はなく充実している。

フィルムシミュレーションの処理速度は瞬時ではないが無償ソフトとして申し分なく実用的です。
気になった点は画像拡大時のレスポンスはちょっと遅く感じた。まあそれでも無料なら文句は言えない程度。
Capture One FUJIFILM RAW Converter


フェーズワン製のLightroomに比肩する高機能RAW現像ソフトのFUJIFILM専用版。
インストール後はライセンスキー発行のためにアカウント作成が必要で無料ソフトの中では起動までに最も手間が掛かる。
RAWファイルの読み込みタイプは「カタログ」と「セッション」が選べる。違いは他で詳細に解説しているのでそちらを。
私自身は自宅のデスク上でマイペースに画像編集するのでLightroomと同じカタログが使いやすく感じた。処理速度も若干カタログが早くプレビュー生成すれば無料ソフトとは思えないほどサクサク動く。

やはり無料版なので一部機能制限もあるようだが基本設定は何ら不足なし。UIは慣れたLightroomに近く今回の中で最もしっくりときた現像ソフトだ。

一点不満と言うか不具合を挙げると、まとめて画像を書き出した際に何枚かモザイク状になったりフリーズすることがあった。書き出しはバックグラウンド作業になるので一旦キャンセルすればソフト再起動の必要はない。これはPC側が原因かも知れない。
まとめ
無料提供のRAW現像ソフトに過度な期待は禁物で“全部入り”なんてのはあり得ないことを理解した上で、RAWでフィルムシミュレーションが使えるおすすめソフトは以下の順位。Lightroomは検証中につき除外。
- 1:Capture One FUJIFILM RAW Converter
- 2:SILKYPIX RAW FILE CONVERTER EX 3.0
- 3:FUJIFILM X RAW STUDIO
- 4:カメラ内RAW現像
まあ、あれこれ言っておきながら結局X100VIはJPEG撮って出しに回帰する可能性も十分にあるので最適解はすぐに見つからないかも。
コメント