ライカとソニー、異なるイメージセンサーによる画質を比較
今回は2メーカーのボディで同じレンズを使用し画質の違いを比較をしてみました。

使用ボディ:
- LEICA M10-R:約4000万画素 ローパスレス表面照射型CMOS
- SONY α7CII:約3300万画素 ローパスあり裏面照射型CMOS
比較理由として、オールドレンズの世界では広く知られていることですが、各メーカーのイメージセンサーの仕様によって画質やレンズ本来の性能が左右されることがあります。
例えば、ライカMボディでは周辺部までキッチリ写るMマウントレンズでも、アダプターを介してソニーEマウントボディに装着すると周辺画質が低下してしまうケースがあります。
画質低下を招く主な要因としてよく挙げられるのは、
- イメージセンサー前のカバーガラスやIRカットフィルター類(センサースタック)
- センサー周辺のマイクロレンズ設計
- オールドレンズのテレセントリック性
これらはライカも度々言及しており一例として下記を抜粋。
ライカMレンズの性能をフルに引き出す場合、レンズから急角度でCMOSセンサーに入る光にも対応できるようにしておく必要があります。そのためイメージセンサー前のカバーガラスのデザインが重要です。薄いほどMレンズ本来の性能を発揮できると言えます。
(中略)かつてはMデジタルでも、画素の開口や入射角について課題があり、画面周辺部のみ各画素のマイクロレンズをオフセットして何とか対応するような時代もありましたが(注:ライカM8などの頃)、今ではセンサー技術が進歩したため、そこまでしなくてもよくなりました。
カバーガラスが薄いほどフィルム時代のオールドレンズ本来の性能を発揮できるという理屈で間違いないと言えます。
各メーカーのカバーガラス厚は凡そ判明しており、以下の数値が定説となっています。
- ソニーE:約2mm
- ニコンZ:約1mm
- ライカM:1mm以下
画質差が顕著に表れるのは主にバックフォーカスの短い「レンジファインダー用の広角レンズ群」であり、一眼レフ用レンズはソニーEの厚いカバーガラスでも個人的には支障を感じません。
また当然ですが、各ネイティブマウントレンズはセンサー仕様に基づいて専用設計されているため、これらがボディ性能の優劣に直結するものでもありません。
あくまでマウントアダプターを介してオールドレンズを取っ替え引っ替えするようなユーザー層が知っておくべき要素だと思います。
そして今回比較するレンズは主にレンジファインダー用の35mmレンズを6本選出しました。
- LEICA SUMMARIT-M 35mm F2.4 ASPH.
- LEICA SUMMARON 35mm F3.5
- LEICA SUMMILUX-M 35mm F1.4 2nd
- ZEISS C Biogon T*35mm F2.8 ZM
- NIKON W-NIKKOR 3.5cm F2.5
- MINOLTA M-ROKKOR 40mm F2 (CLE用)
比較画像はカバーガラス厚による画質差が最も顕著となる『画面端』のみを拡大比較しています。
三脚使用、ピントリングは無限遠に固定
マウントアダプターは日本製のRayqual
周辺光量落ちの強いレンズはディテール確認のため光量補正しています。
LEICA SUMMARIT-M 35mm F2.4 ASPH.
4群6枚 変形ガウスタイプ(推定)

ソニーEでは絞り開放で像の流れが目立ちます。絞り込むと徐々に画質が向上するものの、ライカMの水準にまでは到達しません。
ズマリット35mm F2.4はデジタル時代に登場した6bitコード付きレンズですが、他メーカーのセンサーへの親和性は低そうです。
LEICA SUMMARON 35mm F3.5
4群6枚 ガウスタイプ

1950年代のオールドレンズながら安定した周辺画質です。
やはりソニーだと多少の画質低下が見られます。
しかし半世紀以上前のオールドレンズであることを勘定すれば、アタリ/ハズレ玉などの個体差でもこのくらいの違いはありそうに思えます。
個人的にこのサンハン・ズマロンはソニーで使ってもアリだと思いますね。
LEICA SUMMILUX-M 35mm F1.4 2nd
5群7枚 ガウスタイプ

意外なことに球面ズミルックスことSUMMILUX-M 35mm・2ndがライカ・ソニー間で最も画質差の少ない結果となりました。
このレンズはクセ玉で有名であるように、開放付近の収差が非常に強いことが逆に幸いしている可能性もあるのでしょうか。
ZEISS C Biogon T*35mm F2.8 ZM
5群7枚 広角対称型

ソニーで最も悪い結果を出したのが、コシナツァイスのCビオゴン35mmでした。
後玉が大きく突き出たバックフォーカスの短いビオゴンタイプのテレセン性が特にシビアな広角対称型レンズです。
デジタルライカMでは余裕の実用レベルですが、これでもフィルム撮影時よりは少しスポイルされている可能性があります。
NIKON W-NIKKOR 3.5cm F2.5
4群6枚 ガウスタイプ

サンハンズマロンと同じ古典的なガウスタイプで一段程度明るいF2.5の大口径です。
開放付近はソニーが甘いものの、絞り込めば顕著な画質差はなさそうです。ライカでも隅の隅に像の甘い部分があるのは素の性能かもしれません。
MINOLTA M-ROKKOR 40mm F2
4群6枚 ガウスタイプ

35mmより若干標準寄りのガウス型でテレセン性に寛容かと思っていましたが、ソニーでは想定以上のパフォーマンス低下が見られます。
F8でもまだ像が甘く、遠景をキッチリ撮るならF11は必須となります。これにはちょっと残念な印象があります。
まとめ
今回比較した6本のレンズをソニーEマウントボディで性能低下が少ない順に並べると、以下の通り。
- SUMMILUX-M 35mm F1.4 2nd
- SUMMARON 35mm F3.5
- W-NIKKOR 3.5cm F2.5
- SUMMARIT-M 35mm F2.4 ASPH.
- M-ROKKOR 40mm F2
- C Biogon T*35mm F2.8 ZM
ただ、どの程度まで実用レベルと判断するかは個人の許容範囲に委ねられます。
絞り開放メインで周辺画質は重視しない人もいるでしょうけど、
像面湾曲・非点収差・コマ収差などにも少なからず影響が出ると思うので、ボケ味や点光源の描写にも若干影響する可能性があります。
個人的には収穫のある比較だったので、次回の機会にはレンジファインダー用の28mmや50mmなども追加してみる予定です。
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