Canonの広角ズーム【EF 20-35mm F2.8 L】の外観レビュー
EFレンズ黎明期の大三元広角ズーム
今回のレンズレビューは【Canon EF 20-35mm F2.8 L】と言うEOS初期の大口径広角ズームです。
今では誰も語らないようなレンズでネット上でも情報はわずかほど(海外の方が不思議と情報が多い)
まぁせっかく手元にあるので少しでも興味がある人に向けてレビューしてみます。
【キヤノンカメラミュージアム:EF 20-35mm F2.8 L】
マウント | キヤノンEF |
レンズ構成 | 12群15枚 |
最短撮影距離 | 0.5m |
絞り枚数 | 6枚 |
フィルター径 | 72mm |
全長×最大径 | 79.2×89 |
重量 | 570g |
発売年月 | 1989年10月 |
発売時価格 | ¥190,700 |
発売は平成元年の1989年で既に30年を超える骨董級のAFレンズです。これが現行のEFマウントボディと合わせても何ら問題なく作動出来るのがスゴイね。
当時としては世界最高の明るさを誇る画期的な広角ズームであり、EOSを使うプロやハイアマの所有率は高かったとか。
実際、ライバルであるニコンが同スペックのレンズを送り出したのは数年後ですから確かにパイオニアなレンズではあった。
CanonはFD時代から高級広角ズームをラインアップしており以下のような系譜がある。
1978:FD 24-35mm F3.5 S.S.C.
1979:NEW FD 24-35mm F3.5 L
1984:NEW FD 20-35mm F3.5 L
1989:EF 20-35mm F2.8 L
そして1996年にワイド端を大きく広げた「EF17-35mm F2.8 L」が登場し、20-35mm F2.8Lは完全にお役御免となったが1995年頃まで現行品だったようで意外にもロングセラーレンズだったようだ。
SONY α7IIIにSIGMA MC-11を介して装着。
F2.8通しの広角ズームとしては扱いやすいサイズでミラーレスとのバランスも悪くはない。またソニーよりかはRFマウントボディの方がよりマッチするだろう。
鏡胴は金属製のヒンヤリとした手触り。現在のLレンズで主流のエンプラ素材では味わえない贅沢さを感じる。
…とは言えそれ以外は無いものだらけの仕様で、
・防塵防滴
・円形絞り
・USM / 超音波モーター
・フルタイムマニュアルフォーカス
これらは全て非搭載。Lレンズの証である赤リング以外にLuxury感は乏しい。
1993年に登場した普及タイプである「EF20-35mm F3.5-4.5 USM」にはUSMとフルタイムMFが搭載され一部機能が下剋上されてしまうことにもなった。
比較対象として適切ではないだろうけど「SONY FE 12-24mm F4 G」とサイズ比較。
SIGMA MC-11を介してEマウントに変換した状態だと全長はほぼ同じになる。
しかし、これはむしろFE12-24mm F4 Gの驚異的なコンパクトさを再確認することになったか笑
専用の花型レンズフードは「EW-75」
逆光耐性は決して高くないので撮影時には必須のアクセサリー
鏡胴デザインは時代を感じる過渡期のフォルムで今のEFレンズとは異なる雰囲気。外装は半光沢仕上げ、過度な文字等の装飾もないので安っぽさはない。
ズームとピントリングの感触は滑らかで精度良く高品位です。
AFはUSMではないDCモーターなのでそれなりの駆動音がある。特にフォーカスが大きく動く際はガーガー鳴ります笑
AF/MF切り替えは側面のレバーから。フルタイムMFのようなシームレスな操作は出来ない。
最短撮影距離は「0.5m」と物足りなく流石に古さを感じる。
ズームをしてもフィルター枠は回転せず全長も不変。前玉部分のみが内側で移動する疑似インナーズーム的な仕様です。
絞り羽根がわずかに見えますが絞り枚数は「6枚」で角の出る6角形です。
円形絞りでこそないが、偶数絞りであることは光芒がキレイに伸びるメリットにはなる。
マウント面。他メーカーはAF化に際して従来の絞りレバーやAFカプラーなどの機械部品を設けたのに対して、完全電子制御を選んだEFマウントの優れた先見性は現在のミラーレス用レンズを見れば明らか。
これほど思い切った新規マウントを開発したのは、煩雑な構造のFD/NEW FDマウントに相当ウンザリしていた経験からなのではと思います笑
最後にEFレンズはマウント面にあるアルファベットと数字から製造年月を割り出せるのですが、これは「UK」です。明らかになっている法則に沿えば96年製造になるのですが…最終ロットですかね?以外と貴重なのかも。
まとめ
性能向上著しい広角ズームの中で、フィルム時代の設計である「EF20-35mm F2.8L」は中心はシャープですが周辺画質が悪く苦い評価をせざるを得ません。
しかしRAW現像で念入りに補正してあげれば遜色のないレベルの描写にはなります。逆光耐性はどうにもなりませんが。
腐ってもLレンズと言うべきか一定の相場は保たれており、お手軽さはありません。
またこのレンズに限らず年数の経ったEFレンズは耐久寿命を迎えた個体も増え始めており油断出来ない。
光学系ではバルサム切れやコート劣化によるクモリもあるが、厄介なのは電子部品の故障でメーカー修理期間を過ぎた後はほぼお手上げ。
AF時代のレンズは陳腐化した後はさっさと新型に切り替えるのが最善なんでしょうね。
以上【Canon EF 20-35mm F2.8 L】の外観レビューでした。
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