CONTAXの超広角 単焦点レンズ【CONTAX Carl Zeiss DistagonT* 18mm F4 MMJ】の外観レビュー
ヤシコン定番の超広角レンズ
【CONTAX DistagonT*18mm F4】はコンタックス/ヤシカ初期からラインアップされていた超広角レンズ。当時からツァイス広角レンズの中で1、2を争う銘玉と評されコンタックス末期までその地位は揺るがなかった。
コンタックスの超広角レンズ群はあまりにも高価な「DistagonT*15mm F3.5」だいぶ遅れて登場した「DistagonT*21mm F2.8」など手を出しづらいレンズの中で、
ツァイスとしては比較的手ごろな価格とコンパクトかつ定評のあるこの18mm F4に行き着くのは至極当然でプロ・アマ含めかなりのユーザーが愛用していたと聞きます。
「Distagon18mm F4」の名を冠するツァイス製レンズはヤシコン以前にもCONTAREXやRollei QBMマウント版などが既に存在していたが高価な舶来品で販路は狭く、アマチュアにまで広く普及させたのはヤシコンの存在に依るところが大きい。
そんなこんなでツァイスの18mmは超広角で欠かせない焦点距離となり、
21世紀になってコシナツァイスから一眼レフ用の「DistagonT*18mm F3.5 」とレンジファインダー用の「DistagonT*18mm F4 ZM」が登場。しかし残念なことに2本とも既に生産終了。
現行品ではSONY フルサイズEマウント用のAFレンズ「Zeiss Batis 18mm F2.8」がラインアップしています。
さらにツァイスにこだわりがなければ同じヤシコンマウントの「Yashica ML 21mm F3.5」も銘玉と高く評価されていますね。
マウント | コンタックス/ヤシカ |
レンズ構成 | 9群10枚 |
最短撮影距離 | 0.3m |
絞り枚数 | 6枚 |
フィルター径 | 86mm※ |
全長×最大径 | 51.5×70.0mm |
重量 | 350g |
発売年 | 1975年(AE) |
発売時価格 | ¥12,4000 |
※70/86アダプターリング使用時
9群10枚からなるレトロフォーカス構成には、フォカース時に一部のレンズが異なる動きをするフローティング機構も搭載し近接時の画質低下を抑制する。
Distagon/ディスタゴンの由来は距離を示すDistanceから付けられ、バックフォーカス(レンズ後玉と撮像面の距離)が長い一眼レフの普及と共に発展したレンズタイプだ。
レンズ外観
まずはこのレンズの特徴であるコンパクトさを確認するため、他のヤシコンレンズと並べて比較。
Planar50mm F1.4 / Distagon18mm F4 / Distagon25mm F2.8
超広角ゆえに前玉周りが少し太めだがDistagon25mm F2.8よりも全長は短く、標準レンズのPlanar50mm F1.4とほぼ変わらない感覚で使用出来る。
意図的な設計かは不明だがピントリングの位置が3本ともほぼ一緒なのが面白いですね。
SONY α7IIIにマウントアダプターを介して装着。
アダプター分全長が伸びてしまうが、このサイズで超広角が撮れるなら全然余裕でホールド性も良くネガティブ要素にはならない。
フロント側。大口径ではないが良い写りを期待させる面構えです。
前玉は突出した出目金タイプです。レンズフィルターのネジ溝はなく、フィルターを装着したい場合は純正アクセサリー「70/86リング」が必要となります。
70/86リングを装着。フィルター径はかなり大きい「86mm」でラッパ状に広がった仰々しい雰囲気となる。
前玉の保護と引き換えに長所のコンパクトさを損なう上に、正直レンズフードとしての効果もほとんど期待できません。
Distagon18mmは逆光耐性に定評があり、空の色も濃く写るのでPLフィルターも基本不要。ハードな環境に持ち出さない限りこの状態で使うつもりはありません。
最短撮影距離は「0.3m」と時代的にごくごく普通。
ピントリングを回すとフロントの前玉部ごと回転します。これはツァイスレンズにしては少しチープな印象を受ける。
絞りリングは一段ずつのクリック。この個体は絞りリングのゴムが劣化して一部欠落してしまっている。
リア側から。後期生産の日本製MMJは後玉周りの部品がドイツ製のものと比べて多少簡略化されているようだ。もちろんこれが直接光学性能へ影響することはない。
レンズのフロントキャップはかぶせ式です。
下のキャップはレンズ付属のラバー製。経年劣化でボロボロになるようなヤワな材質ではありません。上の70/86リング用は金属製です。
純正フィルム一眼レフ「CONTAX 167MT」に装着。標準レンズと見紛うコンパクトさは当時のユーザーから強く支持されたことが容易に想像できます。倍率の大きい光学ファインダーで見る超広角の光景は歪みも少なくとても気持ちが良い。
まとめ
ヤシコン広角レンズで銘玉と言われ、今でも使ってみたいと考える人もいるかと思いますが、
進歩著しい広角レンズにおいて現代レンズとまともに対決すれば、広角ズームと同等以下と苦い評価をせざるを得ません。
しかし個人的にはDistagon18mmに大きな欠点はないと感じている。オールドレンズですから周辺光量落ちは多少ありますし、隅々まで高解像でもありません。
それでも何か良い写りに見えることがあるのです。曖昧に言えば「レンズの味」なんですがそれが妙に画にまとまりを付けてくれると言うか、技量不足をごまかしてくれると言うか笑
光学的長所を挙げるならファインダーでも分かる端正に補正された歪曲収差は流石ツァイスの単焦点と頷けます。
以上【CONTAX Carl Zeiss DistagonT* 18mm F4 MMJ】の外観レビューでした。
【超広角】α7III×CONTAX DistagonT*18mm F4 MMJ 実写レビュー
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