【MINOLTA SUPER ROKKOR 5cm F1.8】の外観レビュー
ミノルタ レンジファインダー用の標準ロッコール最終型
今回は国産ノンライツの標準レンズ
ミノルタ / 千代田光学精工製の【SUPER ROKKOR 5cm F1.8】をレビューします。
入手はボディの「MINOLTA 35 MODEL IIB (1958年) 」とセットでジャンク購入しました。
当時もこの組み合わせで販売されており同社レンジファインダー製品の最終モデルにあたります。
ボディはファインダーにカビあり、クロームメッキは腐食があったりと正にジャンク同然。しかしシャッターだけは不思議なくらい調子が良い。
ミノルタはこの後に「ミノルタ スカイ」なる独自マウントの機種を試作していたが、かのライカM3の完成度の前に発売を断念。他の国内メーカーと同じく一眼レフの開発に舵を切った訳ですね。
とは言え後々ライカと協業関係を結び「LEITZ minolta CL (1973年) 」を販売することになるとは当時は想像出来たでしょうか。
お目当てのレンズはピントリングの塗装剥げが結構目立つ個体。
流通数は決して多くはないものの、その大半はピントリングがキレイなので本来は傷みにくい塗装のはずです。
そして肝心の光学系はキレイで絞り羽根も問題なし。ジャンクとしては文句なくアタリでした。
ただヘリコイドグリスが硬くなっていたので分解整備を実施。ヘリコイドの部品精度が優れているのか仕上がりは非常に滑らかなトルクになりました。
また中身を見ると少なくとも過去1回は整備されたものでしたね。おかげでネジの固着もなく分解は楽でした。
マウント | ライカL / L39 |
レンズ構成 | 5群6枚 |
最短撮影距離 | 1m |
絞り枚数 | 10枚 |
フィルター径 | 46mm |
全長×最大径 | 41×54mm※ |
重量 | 約257g※ |
レンズ構成は『5群6枚』のガウスタイプ。定番の4群6枚構成から2群目の貼り合わせ面を分離させることでコマ収差の改善を図ったものだそうです。
ミノルタ特集のムック本内インタビューには当レンズを“ミノルタ始まって以来の傑作レンズ”と社内で評価していたとか。
それに対し先代の「SUPER ROKKOR 5cm F2 (6群7枚) 」は“枚数だけ多いヤ〇ザなガラス玉”と酷い言われようでした笑 ライカズミクロンの空気レンズを模倣した贅沢な構成の割にはクセ玉のようですね。
またレンズ交換式レンズシャッターカメラ「MINOLTA SUPER A (1957年)」にラインナップしていた同名同スペックレンズはこれらと同じ光学系とも言われています。
所有する同クラスの国産L39の50mmと並べてみるとロッコールがひと際大きいサイズ。
鏡胴デザインはライカコピーから脱却したモダンスタイルで後のミノルタ一眼レフ用レンズAUTO ROKKORに繋がるような意匠も感じられます。
サイズ的には「Canon 50mm F1.4 (L39) 」が近く年代的にもほぼ同期かと思います。
距離指標目盛りはメートル表記
最短撮影距離は「1m」でL39標準レンズならごく普通のスペックです。
絞り値は等間隔の配置で識別性も良く操作しやすい。
フィルター径は「46mm」このクラスの標準レンズとしては大きめ。
レンズフードは専用のかぶせ式フードが用意されています。
レンズコーティングは主にアンバー / マゼンタを組み合わせたモノコート仕様。
この時期の一部のロッコールレンズで実用化されていた《アクロマチックコーティング》は施されていないようです。
絞り羽根は「10枚」でギザギザの絞り形状が目立ちます。
マウント側は特に特徴もなく模範的な作りです。
L-Mアダプターを介してLEICA M10-Rに装着。
程よいサイズ感とモダンなデザインがM型ボディと良くマッチしています。
何より操作性の良いピントリングと正確な距離計精度のおかげで快適な撮影ができます。
まとめ
国産ノンライツの標準オールドレンズは各メーカーから数多くあり
市場にいくらでも転がっている安価なものから超プレミア価格となっている希少レンズまで多種多様ですが、
ややレアな流通数の割に比較的手ごろな価格で入手できる「SUPER ROKKOR 5cm F1.8」はデザインと操作性の良さにおいては相場を超える価値があると思いますね。
スペック自体は平凡なものですが堅実な描写性能と作りの良さを手に感じ取れるレンズです。
以上【SUPER ROKKOR 5cm F1.8】の外観レビューでした。
【MINOLTA】SUPER ROKKOR 5cm F1.8 実写レビュー
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