実用性に富んだビンテージスタイルの28mm F2

今回はコシナフォクトレンダーの【ULTRON Vintage Line 28mm F2 Aspherical】をレビューします。
2024年時点でフォクトレンダーVMマウントは3本の28mmがラインナップしています。
- ULTRON Vintage Line 28mm F2 Aspherical / 2021.06
- COLOR-SKOPAR 28mm F2.8 Aspherical / 2023.08
- NOKTON Vintage Line 28mm F1.5 Aspherical / 2024.01
松竹梅揃った開放値スペックの違いと、それぞれ鏡胴デザインも複数用意されておりコシナらしい趣向性の高さも魅力的です。
この中で2021年に最も早く登場した「ULTRON 28mm F2 TypeIIシルバー」の未使用に近い中古の出物があったので購入してみました。
コシナ公式HP:ULTRON Vintage Line 28mm F2 Aspherical
追記:Type I・Type IIともに生産終了しました。2025年登場の「APO-LANTHAR 28mm F2 Aspherical VM」が実質の上位互換となっています。

それではライカM10-Rに装着。鏡胴外装は真鍮製で重量は「230g」マットなシルバー仕上げが上品です。
サード製レンズながらライカボディに良くマッチしており、高い描写性も期待させる良デザインです。

角形レンズフード「LH-12」を装着。フードは同梱品ではなく別売りとなっています。
このレンズの対応フードは「LH-4N」「LH-12」の2種類が用意されており、今回はレンズ本体がそこそこ安く手に入ったので高級志向のLH-12を選んでみました。
機能とデザイン性に優れた丁寧な作りで表面の結晶塗装がビンテージ感ありますね。この状態でレンズキャップの装着も可能です。
ただ装着後にわずかなカタ付きが生じるロック構造には不満の声もあるようです。また、逆付けにしてコンパクトに収納することも出来ません。

最短撮影距離は「0.5m」距離計連動範囲の最短0.7mを越えた接写が可能です。
連動範囲を超える箇所にクリックストップなどはなくフリーに往来します。
28mmで最短0.5mはクローズアップと呼べる程でもありませんが、表現の幅が広がることは確実です。
ピントリングは指を掛けるレバー式。トルクはSUMMARIT-M35mmの軽さと比べると、グリスのトルクがしっかりとしている。

フィルター径は「39mm」
絞り羽根は「10枚」上画像はF4の絞り形状で円形絞りにはなりません。コチコチと感触の良い絞りリングには半段クリックあり。

SONY α7III+LM-EA9で組み合わせるとAF化と最短距離の短縮が可能になります。
コンパクトなルックスでスナップに最適そうに見えますが、
残念ながらセンサー前のカバーガラスが厚いαでは周辺画質が大幅にスポイルされます。
いくら絞っても周辺像は甘く総合性能は並のオールドレンズ以下。MマウントならミノルタM-ROKKOR 28mmの方がミラーレスと相性が良いです。
このレンズは完全にデジタルライカMかフィルムに最適化したシビアな光学設計ですね。αよりもカバーガラスが薄いニコンZでもちょっと粗が残るんじゃないでしょうか。
ULTRON 28mm F2 実写作例
ボディ:LEICA M10-R
Adobe LightroomでRAW現像
画像内EXIFデータのF値はボディ側で算出した推定値なので参考程度に

まずこのレンズを使い始めるとカラーフリンジが思いのほか目立つことに気付きます。
上の写真を一例として右上端の赤枠部を拡大してみると、

んーガッツリとパープルフリンジが発生してますね。
デジタル使用を前提とした“現代的レンズ設計”と謳う割に、ここまで目立つのは正直宜しくないと言いたい。
撮影時の対策は絞り込んで軽減させることですが、開放性能に優れる本レンズはボケを活かしたいシーンも多く、フリンジを心配して絞ってばかりなのも面白くない。
個人的にはフリンジ及び色収差の除去は後処理前提と割り切る方が楽ですね。
上画像の補正後のようにLightroomの自動色収差除去と手動のスポイトツールを使えば、ほぼ除去出来ます。
このカラーフリンジ特性はULTRONだけではなく、他の28mmのCOLOR SKOPAR、NOKTONでも似た傾向にあるようです。

上記のカラーフリンジは撮影した中で最も顕著だった一枚を挙げましたが、画面内に高輝度域と隣するエッジ部分が無ければ強く発生しないので、レンズ自体の評価を著しく損なう要素にはなりません。
基本的な描写性としては、開放から高コントラストで力強い画作りが特徴。非球面レンズの恩恵か球面収差を纏うような柔らかさは感じません。
ハイキーで華やかなシーンよりも、アンダー寄りのややドライ感のある撮り方が似合うと思いますね。

周辺光量落ちは結構大きい部類かと思います。画面のコントラストを強調し印象的な効果を与えているものとポジティブに捉えています。


ところで、M型ボディでの28mmの使い勝手については、大方の意見と同じく快適とは言えないですね…まあ使い続ければ案外慣れてくるものなんですが。
ファインダー倍率が「0.73倍」のM10系では、28mmのブライトフレームはファインダーの最も外枠の位置でフレーミングは眼をぐるりと見渡して行うことになります。

これは28mmに対応したライカM6などフィルム時代から言われ続けていることですし、ライカジャパン公式のレンズレビューで言及する位ですから欠点ではなく個性の一つとして定着しているのでしょう。
なお、ライカM(Typ240)など多くのM型ライカにはファインダーに28㎜のブライトフレームが内蔵されているが、このフレームは裸眼でも視野枠の見切りがギリギリで、アイポイントが遠くなる眼鏡使用では視野の6割程度しか確認できない。その場合は外付けEVFか、外付けの28㎜レンズ用ビューファインダーを装着すると快適に撮影を行うことができる。
Mレンズの実力:LEICA SUMMICRON-M f2.0/28mm ASPH.

もしライカ製の28mmで最高の体験をしたいのならライカQシリーズがベストになるんでしょうかね。
完成度の高いSUMMILUX 28mm F1.7 ASPH.とフルフレームセンサーをワンパッケージで提供されたら、もうこれでいいやって人も多いですよね。


作例にはありませんが点光源のコマ収差は割と出ていました。
まとめ
「ここがスゴイ」と言うような特筆すべき描写性能を持っているレンズではない感触ですが、
特に使い辛さはなく“スナップシューターの盟友”と付けられたキャッチコピーの通り、Mマウント用28mmとして安定性の高いレベルに仕上がっています。
留意すべき点は、やはりカラーフリンジでJPEG撮って出し派は上手く付き合う必要があるかも。
同スペックで旧型のULTRON28mm F2はデジタルセンサーとの相性はより悪く、中古相場も大きく変わらないので、この新型を強くおすすめします。
他の現行28mmだとコンパクトなカラースコパーF2.8、より大口径でリッチなノクトンF1.5などコシナの手厚いラインナップに感服しますね。
また最近は中国新興メーカーも高級志向のMマウントレンズを投入しているので選択肢は広がって行くでしょうね。
以上、Voigtlander ULTRON Vintage Line28mm F2 Aspherical レビューでした。

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