ミノルタの電子技術を導入し独自進化したライカのフィルム一眼レフ

今回はライカのフィルム一眼レフ【LEICA R5】の外観をレビュー。
あわせて、当時ライカと技術提携していたミノルタの「MINOLTA XD」とも比較します。MINOLTA XDはライカR4~R7のベースボディとなり、ライカRシリーズを語るうえで外せない一眼レフです。
| フォーマット | 24×36mm 35mm判フィルム |
| マウント | ライカR |
| シャッター | 電子式縦走行メタルフォーカルプレーン 15~1/2000秒 B・1/100秒の機械式シャッターあり |
| 露出制御 | マニュアル・絞り優先AE・シャッター速度優先AE・バリアブルプログラム |
| 測光方式 | SPD素子によるTTL測光 全面測光・スポット測光 |
| 使用電源 | SR44×2個 |
| ファインダー | ペンタプリズム固定式 倍率0.8倍 視野率92% スクリーン交換式(4種) ±2の視度調節機構あり |
| 幅x高さx奥行き | 138.5×89.1×62.2mm |
| 重量 | 625g |
| 発売年 | 1987年 |
| 販売価格 | ¥330,000 |
ライカR5はライカR4(1980)の後継機として1987年に発売されました。
外観は従来とほぼ同じで、内部のスペックアップが図られています。
- シャッター最高速度1/1000⇒1/2000秒へ拡大
- TTL測光によるストロボオート制御に対応
- 多様化したプログラムモード
- 視度補正機構を内蔵
- 電子部品の信頼性向上
その後の1991年に撮影モードを一部省略した廉価機「ライカR-E」が、1992年には後継機の「ライカR7」が発売されました。
順当な進化を遂げているとは言え、R5登場時の日本メーカーは既に“αショック”後のAF一眼レフ開発競争に突入していますから、目新しい点は特に無いのが実情です。

ライカR5は生産時期によって主に前期型・後期型に分かれています。仕様はそのまま外観に以下のような変更が加えられています。
- 前面両肩ロゴの左右入替え
- 赤バッジを“Leitz”から“Leica”へ変更
- シャッター速度ダイヤルの造形変更
- 裏蓋にサムグリップ追加
外観変更の理由は、併売時期もあったライカR6(1988)の外観仕様に合わせるためと思われます。
また装着するRマウントレンズはボディ側との互換性を完全発揮する3カムタイプ以降のレンズが推奨されます。

左右ストラップアイレットの上部にはトップカバーへのキズを防ぐ保護パーツがあります。
レンズ着脱レバーの近くには絞りプレビューレバーと電子式セルフタイマーノブが配置されています。
ライカRあるあるの一つとして絞りプレビューレバーはプラ製で強度が弱く、破損しやすいと言われています。あまり頻繁な操作は控えた方が良いかと思います。

これもライカRあるあるで“パルパス割れ”と呼ばれる経年現象があります。
ミラーボックス内壁の反射防止材パルパスが経年劣化により、ひび割れや白化が生じます。
これは設計を一新した純ドイツ製のライカR8(1996)でも発生しているようで、R4以降のシリーズ全体の持病みたいなものです。
見た目こそ残念ですが、パルパス割れは基本的に撮影への影響はないと言われています。
もし不安が残るようであれば、白いコピー紙の上でマウント部を下向きにして空シャッターを数回切り、破片クズの発生があるか確認してみても良いかと思います。

軍艦部のダイヤルやレバーの配置はR4からR7までほとんど同じです。
シャッター機構はミノルタXDを基礎に、当時先進的だった瞬間絞り込み測光による自動露出制御“サイバネーションシステム”をさらに高度化した【バリアブルプログラム】がR5で新たに採用されました。
標準のプログラムモードに加え、開放絞り重視の高速シャッター優先モード、パンフォーカス重視の被写界深度優先モードを使い分けることができます。今で言うプログラムシフトの前身のようなものですね。
- モードセレクターから撮影モードをPに設定
- レンズの絞りリングを最小絞り値に固定
シャッターダイヤルの【P】マークと隣接する1/30に合わせるとノーマル、それ以上、以下のシャッター速度設定でPモードが切り替わります。
- 1/30:ノーマル
- 1/60~1/2000:高速シャッター優先
- 1/15~1/2:被写界深度優先モード
測光方式は全面測光、スポット測光の2つが備わっていますが、スポット測光が使用可能なのはマニュアル、絞り優先AEのみです。絞り優先AEのスポット測光設定時はシャッター半押しでAEロックが可能。
オレンジ色で示すB・1/100秒は機械式シャッターにより電池なしで作動します。これはミノルタXDからの踏襲です。
また前期・後期でシャッターダイヤル数字盤の造形に変更があります。前期型はプリント、後期型は立体成型となっています。

背面はフィルムカメラらしく、とてもスッキリとした造形。
裏蓋は後期型になるとサムグリップが付いたものに変更され、ホールド性が向上しています。

アイピースには専用アイカップを装着することができますが、数が少なくレア物扱いです。
サイズ的に他メーカー品を流用することも難しく、個人的に不便でもないので特に問題ないですね。
ファインダー左側には視度調節とアイピースシャッターのつまみがあります。調節範囲は±2に対応。これはミノルタXD-Sと同じ機構かと思います。
ミノルタXDと比較

ベース機のミノルタXDとの外観に露骨な流用箇所は見当たりません。正面から見るとR5は割と撫で肩スタイルなんですね。
セルフタイマーはXDは機械式、R5は電子式のLEDランプ付きです。
バヨネットマウントを固定するネジ本数はR5が多く、重量のあるRレンズ群に対応する堅牢なイメージを受けます。
またR5のレフミラー奥に細かな凸状のパターンが見えますが、これはミラーボックス下部の測光用SPD素子に光を反射させるサブミラーです。

カメラ全体の印象を決めるペンタプリズム部分の造形はまったく異なり、ミノルタXDは多面体を使った一眼レフらしい精悍なフォルムです。
対するライカは、なだらかな曲線で構成され、ホットシューも包み込むような柔らかい印象を与えています。
さらにトップカバーは厚さ1mmの亜鉛ダイキャスト製で、まるで装甲のような頑強さも持ち合わせています。

軍艦部の操作系はXDベースにライカ流のアレンジが加えられています。
共に巻き上げレバーの分割巻き上げは出来ませんが、巻き上げのストロークがとても滑らかなので調子が良い個体だとヌルっとした感触が味わえます。
レリーズの感触もほぼ同じで、瞬間絞り込み測光特有の一瞬のレリーズラグがあります。

フィルム室内は細部を除けば目立った違いはありません。ちなみに裏蓋を入れ替えて装着することも可能でした。
ファインダーの見え方については、ミノルタXDのほうが断然優れています。やはり独自のアキュートマットスクリーンが秀逸で、とても明るくピントの山が明瞭です。
R5も決して悪くはありませんが、よく言われるように、やや青みがかった視界と周辺マット部でピントがつかみにくい点に見劣りを感じます。ただし視度調整と多少の慣れで何とかなりそうな印象です。

ボディ底も同じような作りで、R5にはモータードライブ/ワインダー用の接点があります。

電池蓋を並べて見るとこれは同一パーツで確定ですね。それぞれ入れ替えてボディに取り付けてみても全く問題ありませんでした。
まとめ
私のライカR5は数年前にジャンク扱いで入手したものが、特に不具合なく撮影できるアタリ個体だったので幸運でした。
ライカRの電子シャッター機はシリーズを通して不具合の出ている個体が見られ、現役時と比べると底値のような相場ですが、故障品は基本的に修理不能となります。
現在では機械式シャッターの「ライカR6/6.2」が最も人気で、当然ながら相場も高値です。機械式なので故障しても修理できる点が強みとされますが、修理費はM型ライカ並みになると思います。
もしライカRマウントレンズでフィルム撮影したいだけなら、アダプターを介せばCanon EFマウントボディでも使えなくはないので、純正ボディに強くこだわる必要もないかも知れませんね。
以上【Leica R5】の外観レビューでした。
過去にフィルム撮影した記事は以下のリンクです。


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