ミラーレス一眼で再始動するミノルタのAFミラーレンズ
今回はMINOLTAが1989年に発売した【MINOLTA AF REFLEX 500mm F8】をレビューします。

このレンズの入手先はリサイクルショップから。現在の中古相場も安価ですがそれを上回る破格で売られていました。付属品にレンズケースと専用キャップ、NDフィルターなど一通り揃ってお買い得な一本でしたね。
このレンズはキタムラのサイトでプロによる詳細なレビューがありますので、ここでの解説はほぼ不要となってしまいます。なので本記事は書きたい部分だけの内容です。
ShaSha【オールドレンズ】オートフォーカスで動くミラーレンズ「ミノルタ AF 500mm F8 REFLEX」
ちなみにミノルタからカメラ事業を引き継いだソニーは当レンズのバッジ替えリニューアル版を発売していました。製品ページはミラーレンズでAFを実現した原理も解説しています。
SONY製品ページ デジタル一眼カメラ“α”用レンズ:500mm F8 Reflex

光学系はカビなどなく良好であまり使用されず保管状態も良かったレンズと想像できます。
フォーカスは前玉(副鏡)回転繰り出し式、一般的なMFミラーレンズと同じです。AF中は回転するピントリングに触れないよう注意。
最短撮影距離は「4m」決してテレマクロを期待するようなレンズではありませんね。
レンズ先端のねじ込み式のフードを外せば82mm径のフィルターネジが現れます。
レンズ前面を保護したいならフィルターの装着も可能ですが、フィルター上にフードをねじ込むと軽く固着して外すのに苦労しました。
フード側のオスネジが樹脂製なのが原因か、もしかするとネジピッチも若干違う可能性もあります。

そしてAマウントレンズを活用する主役級の必須アクセサリー『LA-EA5』も調達。
Aマウント⇒Eマウントに変換するSONY純正のマウントアダプターとしては決定版と言えるものでAFカプラー対応ボディであれば往年のAマウントレンズも快適に作動します。
SONY LA-EA5 : デジタル一眼カメラ“α”[Eマウント] 互換情報
ちなみにα7CIIの場合だと下記の制約があります。一見すると制約が多いが実用面で致命的となるような問題はありません。
■ローカルフォーカスフレームは中央しか使用できません。
■装着にはマウントアダプターが必要です。
■レンズ補正機能には対応していません。
■撮影条件によっては画面の明るさにムラが出ることがあります。
■マウントアダプターを使用して「Aマウントレンズ」を装着した場合には、ピントリングを回してもMFアシスト機能は自動的には起動しません。 「カスタムキー設定」で任意のキーに「ピント拡大」もしくは「MFアシスト」機能を割り当てて使用してください
■S(シャッター優先)モード、M(マニュアル)モード時は、動画撮影中もシャッタースピードの設定が行なえます。
■タッチシャッターは使用できません。
■ボディ内蔵手ブレ補正機能による3軸手ブレ補正(Pitch/Yaw/Roll)を行います。
■オートフォーカスは動作しますが、暗いシーンや画面周辺部および大きくピントが外れた状態からのオートフォーカスではピントが合いにくい場合があります
またLA-EA5はAFカプラー付きの純正アダプターとしてはかなり良心的な価格で販売されています。
私はECモールのポイントボーナス時に新品購入。中古価格帯よりも大幅に安く買うことができました。


SONY α7CIIに装着。小さなボディに組み合わせでもデザインの破綻はないと思います。
まあカメラ趣味でない人が見ればデカいカメラと思うでしょうし、いつでも持ち運べるようなサイズではありませんが“バズーカ”と比喩される超望遠レンズと比べると圧倒的にコンパクトです。
この状態での重量はベースグリップにSDカードとバッテリー込み「1365g」でした。
剛性に不安もなくミラーレンズは鏡筒内が中空状なので見た目よりもウエイトバランスも安定しています。
ミノルタAF REFLEX500mmで野鳥撮影
ボディ:SONY α7CII
Adobe LightroomでRAW現像

今回、野鳥撮影の素人が使ってみた結果としては想像以上の実用性能で楽しめました。
これはα7CIIのボディ性能による所が大きくネイティブのAマウントボディで使うよりも快適な撮影であることは間違いないはず。
AFは現行の爆速レンズに比べたら当然劣りますが、ノロノロAFでピントは迷子になりイライラ…仕方なくMFで撮影と言ったストレスは一切ありませんでした。


フォーカスエリアが中央固定となるので日の丸構図になりがちなのは仕方ないですね。
中央固定のフォーカスエリアは“スポットL”と同等サイズで内部に細かいAFポイントがありAF-Cでピント追い込みが行われている様子でした。

AF-Cに加え【被写体認識AF:動物/鳥】にすれば瞳AFも余裕の実用レベルで作動します。
フォーカスエリア外にも瞳AF枠は検出されるようでAF自体は行えないが、被写体捕捉のサポートになります。



飛翔中のアオサギを連写してみましたが流石にガチピンは厳しくフレームインがやっとでした。もちろん撮影者自身の技量にも大きな原因があります。

最短撮影距離4mでも大型のアオサギなら画面いっぱいに写すことが可能。
羽毛やクチバシはしっかり描写されており、周辺も流れたようにはならず画質の均一性が結構良いのではと思いますね。

ポートレートっぽく撮ってみると周辺光量が大きく落ちた描写となりました。
これが制約事項の「撮影条件によっては画面の明るさにムラが出ることがあります」に当てはまるのか不明だが、ミラーレンズの特性としてシーンによっては彩度が低く階調も狭い画質となることがあります。

何やら謎の肉片を咥えていました。拡大してもよく分からないしちょっとグロいです。


ハクセキレイの背景にミラーレンズ特有のリングボケが出現。ミラーレンズを持ち出しておいてこのボケに文句を垂れるのはマナー違反です。

ミラーレンズの特性として色収差がほぼゼロであることがロープ部分に見て取れます。


このカラスはやたら人慣れしていて人間が近くを通ってもお構いなしでした。春ごろのカラスは営巣期で攻撃的になると聞きますがそれぞれの性格にもよるんでしょうかね。

小川エリアには採餌中のコサギもいました。低彩度の空間の中で白い羽毛が映えますね。

まとめ
率直にここまで実用的な超望遠レンズだとは思いませんでしたね。アダプターを介した特殊なミラーレンズでもα7CIIの被写体認識AFの優秀さを実感できました。
今回は光量も豊富な状況かつ激しい動体撮影もしなかったのでAF速度やF8の開放値は特に問題とならず、一度ピントが合えばAF-Cの追従性能は良いのでピントの浅さもシビアに感じませんでしたね。
レンズの描写性能は目の肥えた超望遠ユーザーには粗っぽさを感じることは間違いないでしょうね。
例えば現行の超高性能な70-200mm F2.8などにテレコンやトリミングを加えて500mm相当の画角にした方が高画質なんじゃないかと。こればかりは比較するだけ無意味に近いと思います。
このレンズの強みはやはり軽量コンパクトなこと。超望遠レンズは基本的に大きく重いことから興味の範囲外でしたが挑戦してみたい気分が高まりましたね。
以上【MINOLTA AF REFLEX 500mm F8】レビューでした。
コメント